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Fri, 29 March 2024

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

IFRS第16号の導入について

IFRS第16号が導入されたらどのような変更がありますか。

国際財務報告基準(IFRS)のリース新基準である第16号においては、リースを判定する要因は貸し手と借り手、どちらの企業が使用権資産を持つかによります。ある企業が契約上で資産の使用権を持つ場合には、使用権資産をその借り手の貸借対照表に計上しなければなりません。

リースの対象資産が特定されれば、IFRS第16号では使用権資産の計上が必要です。契約には、これまではオペレーティング・リースと見なされていたもので、新たに使用権資産の計上が必要になるリースが含まれている場合があるため、契約を慎重に確かめなければなりません。

IFRS第16号ではリースを、契約または契約の一部と判断するため、リースが別々の特定可能な資産からなる複数の項目を含む場合があり、それぞれに会計処理が必要になる可能性もあります。その好例は、リース契約が資産のメンテナンスも対象とする場合です。契約のあらゆる部分を正しく特定するために、全てのリース契約を確かめる必要があります。

こうした変更はいつ実施されますか。

IFRS第16号は2019年1月1日以降に始まる全ての会計年度に適用されるため、借り手がこうした使用権資産の価値を算出する必要があるのは、おそらく2019年12月31日に会計年度末を迎える財務報告が最初となります。

貸借対照表にはどのような影響がありますか。

IFRS第16号は、これまでオペレーティング・リースの取引をしていた大半の企業におそらく大きな影響を与えます。貸借対照表の資産と負債の両方に重大な影響が出る場合があり、これが一部の貸借対照表比率に影響を与え、そのため所定の契約条項に影響をもたらす可能性があります。

損益計算書にはどのような影響を与えますか。

損益計算書では、これまでは支払いリース料として反映されていましたが、利息費用と減価償却費として反映されることになります。重要業績評価指標(KPI)として、税引前利益に支払利息と固定資産の減価償却費を加えて算出される「EBITDA」を用いている企業では、IFRS第16号の分類が企業に大きな影響を与えます。これまでほとんどの支払いリース料は企業の営業費用であったため、EBITDAはこの支払額を差し引いた額でした。IFRS第16号の適用により、EBITDAは利息費用と減価償却費の分だけ大きく増えることになります。EBITDAに対するこうした変更は非常に重要になるでしょう。IFRS第16号では減価償却費と利息費用の算出により、おそらく契約初期の年度の契約費用がゆがめられることになります。

これはIAS第17号とどのような違いがありますか。

国際会計基準(IAS)第17号は基本的に2種類のリースを認め、これは原則として貸し手と借り手のどちらがリース対象資産の所有に伴うリスクと利益を持つかで決まりました。例えばオペレーティング・リースでは、リースに対する項目は費用が発生すれば損益計算書の費用だけでした。またファイナンス・リースでは、借り手が将来的な支払いリース料の現在価値を算出しなければならず、この価値は貸借対照表に、リース負債および同じ価値の資産として計上されていました。

IFRS 第16号は全てのリースに影響しますか。

リース取引の開始時点の資産価値が5000ドル未満、あるいはリース期間が12カ月未満の場合には、対象から除外されます。

ジェフ・ジョンソン ジェフ・ジョンソン
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BDOに9年勤務。英国会計基準(UK GAAP)や国際会計基準(IFRS)、米国会計基準(US GAAP)の豊富な知識を基に、監査と財務会計を専門とする。勅許会計士(ACA)の資格を持つ。

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