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ミュンヘン・インターナショナル・スクール
Di. 21. Nov. 2017

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

歯科治療に対する認識 -予防歯科の重要性-

人自身の歯に虫歯らしきものを発見したとき、まず考えるのが「歯医者さんに行かないと」でしょう。当然といえば当然の話ですが、これがドイツだと、最初に頭に浮かぶのは財布の中身。治療費がいくらかかるか分からないという不安が先に立ちます。

少し前まで、ドイツでは広範囲の歯科治療費が公的医療保険でまかなわれていました。しかし社会保障を取り巻く環境の変化により、1980~90年代に歯科医療給付額は大幅に引き下げられ、その結果、公的保険がカバーするのは必要最低限の疾病(緊急の応急処置や抜歯など)に限られ、治療費の心配が必要な時代になったわけです。

歯科衛生士による歯磨き指導の様子
歯科衛生士による歯磨き指導の様子

日本でも社会保障費は膨らみ続けており、ここ20数年で歯科医療費に充てる予算はかなり引き下げられました。とはいえ、ある程度はカバーしつつも給付額を全体的に下げるという、広く浅く保険の適用範囲を維持する政策でした。しかし、それと同時に歯科医療サイドに大きな負担を求める政策だったため、全体として「安かろう、悪かろう」の保険歯科治療が黙認される結果に。ともあれ、日本では先進国の中でもほかに例を見ない低価格の治療費設定で、さらに自己負担は3割負担のみで、治療範囲は幅広いという状況にあります。

いろいろな種類の歯間ブラシ
いろいろな種類の歯間ブラシ

さて、私たちを悩ませる歯科治療費ですが、将来的な出費を確実に抑える方法があるのです。それは何かというと「予防歯科」。主に専門的な歯科衛生クリーニングと歯磨き指導のことですが、これが徹底されているかどうかで将来の歯科治療費が大きく変わってくるのです。

歯科の2大疾病は「虫歯」と「歯周病」。どちらも口の中にいる細菌が大きく関わっています。そこで、定期的な歯科衛生クリーニングと正しい歯磨き指導により、口の中を良い状態に保つのです。また、その時点で何か問題が見つかれば、早い段階で処置を施すことができます。年に3~4回の歯科衛生クリーニングが理想的ですが、年2回でも結果は違ってきます。もちろん、これにはコストがかかりますが、予防歯科を行うことによって、将来かかるかもしれない数千~数万ユーロの治療費が節約できる可能性がある! と考えれば、非常に経済的です。

この話、決して大げさなことではありません。歯科衛生プログラムを国策として実施することにより、口腔内疾病と歯科医療費の大幅な抑制に成功したのが北欧スウェーデンです。現在でこそ、国民の虫歯や歯周病が少なく、高齢者の歯の残存数が多いことで知られる「歯科健康大国」ですが、1970年代まではスウェーデンも歯科疾患による歯科医療費の増大に悩んでいました。そこで、イエテボリ大学歯学部と政府が共同で国家プロジェクトを立ち上げ、全国民に定期的な歯科衛生処置とセルフケアの指導を受けることを義務化したのです。その結果は絶大で、スウェーデンは短期間のうちに世界で最も歯科疾患の少ない国となったのです。

お口の健康と歯科治療費節約のため、専門的な歯科衛生プログラムの受診をお勧めします。通院している歯科医院で、どのようなサービスがあるか相談してみてください。

 
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