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Fr. 06. Dez. 2019

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

歯科治療に用いられる器具 1

多くの人が経験している(20代~50代の日本人の約96%が虫歯治療経験者)にも関わらず、「虫歯を治療する際、どのような器具で、いかなる治療が行われているでしょう?」との問いに対して、具体的に回答できる人は、ほとんどいないのではないでしょうか。それもそのはず。歯科治療の多くは口の中で行われますし、かぶせ物などの技工物は当然ながら歯科技工士がラボで作成するため、治療の過程が患者さんの目に触れることは、ほとんどないのです。

しかも、ほんの小さな虫歯1本を治療するためだけでも、使用される器具や薬剤は15種類を超え、さらに大掛かりな治療になれば、歯科技工の作業工程も含め100以上のプロセスを経て治療が行われます。その一つ一つを説明するときりがないのですが、虫歯治療の代表的な器具といえば誰もが思いつくのが、「キィーン」という嫌な音を出す機械(正式な名称はエアタービン)。つい悪い印象だけが先行してしまうエアタービンですが、実は歯科医療に革命をもたらした偉大な機械なのです。そこで今回は、エアタービンの名誉挽回! 少しでもこの苦手な機械を見直してもらい、皆さんの虫歯治療の恐怖心を少しでも減すために、エアタービンについてご紹介いたします。

現代に生きる私たちは、虫歯で歯が痛くなったとき、当然のように「歯科医院で歯の治療をしてもらう」と考えるでしょう。しかし、虫歯の治療が一般的に行われるようになったのはそれほど昔のことではなく、1960年以前であれば「歯は痛ければ抜く」というのが当たり前の時代でした。虫歯になれば菌が感染した部分を削る必要がありますが、その当時の器具(歯を削るドリル)は回転数が低い上に軸ブレが大きく、歯を削るたびに頭の中で道路工事が行われているかのような激しい振動と痛みを伴うものでした。さらに時代をさかのぼると、ドリルの動力源は昔のミシンのような足踏み式で、ベルトの動力によってドリルを回転させていました。そんな機械で歯を削られるくらいなら「歯を抜いたほうがまし!」と思うのは当然で、さらには麻酔の技術がそれほど発達していなかったために、治療中に患者が気絶してしまうこともあったのだとか。第二次世界大戦を挟んで歯科医療レベルは停滞します。しかし戦後、食糧事情が向上するのに比例して虫歯が激増したため、多くの国で効率的な歯科治療が急務となりました。

 

そこで1950年代後半に登場したのがエアタービンです。送りこまれた圧縮空気がタービンヘッドの回転羽根を回すことにより超高速回転(30~50万回転/分)が可能に。振動が少なく、安定して歯を効率よく削る原理です。この製品の販売は、米国と日本でほぼ同時だったのですが、偶然にも全く接点のない二つの会社が同じ原理で製品を開発していました。

エアタービン(上)とマイクロモーター(下)
エアタービン(上)とマイクロモーター(下)

そして1960年代後半には、ほぼ日本中の歯科医院にエアタービンが普及し、さらに歯科麻酔の技術が発達したことによって、「無痛歯科治療」が可能な時代となったのです。現在ではエアタービンだけでなく、従来のモーター式機器が改良され(マイクロモーター)、低速から高速まで自由に回転数をコントロールしながら、キィーン音なしで治療を行うことができるレベルになっています。

虫歯治療の際に「キィーン」というエアタービンの音を聞いたとき、昔の人たちの苦労と現代歯科医療の恩恵に思いをはせると、治療中の緊張も少し楽になるかも!?

 

 

 

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