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第13回 税制改正による主な変更点

毎年年末には税制改正が行われ、2016年も1月1日から新規定が発効しています。今年の重要な変更点についてまとめました。

1. 基礎控除(Grundfreibetrag、ゼロ税率)

所得税法上の基礎控除は、毎年のように増額されています。所得に非課税枠を設けて納税者の最低生活水準を保障するもので、今年1月1日からは、その額が昨年の8472 ユーロから180ユーロ引き上げられ、8652ユーロになりました。夫婦世帯では倍額になり、2人の合計収入が1万7304ユーロ以上から、所得税の納税義務が発生します。

2. 家族関係

まず、児童手当が増額されています。第一子、第二子には月額190ユーロ(これまでは188ユーロ)、第三子には196ユーロ(同194ユーロ)、その後は子供1人当たり221ユーロ(同219ユーロ)が支給されます。今年からの変更点で重要なのは、家族公庫に子供の納税者ID番号(Steuer-ID)が提出してある場合にのみ、児童手当が支給される点です。

また、年少者扶養控除(Kinderfreibetrag)も増額されました。これは子供の最低生活水準に配慮する目的を持ち、確定申告の際、児童手当か年少者扶養控除のどちらかを、課税所得から差し引きます。これについては税務署が判断し、適用します。年少者扶養控除は、これまでの2256ユーロから48ユーロ増額され、2304ユーロになりました。

一人親家庭ではこれに加えて、課税所得への控除枠が設けられています。この額は昨年末に従来の1308ユーロから、1908ユーロになりました。2015年1月1日までさかのぼって適用されるため、今年行う2015年の申告分から有効となります。

3. 扶養料(Unterhalt)

基礎控除の変更に関連して、扶養料控除に関する上限額も引き上げられ、8652ユーロになりました。この額よりも低い収入を得ている扶養家族に対して金銭的援助をしている場合には、扶養料が特別支出とみなされて控除対象となります。

離婚後、元の配偶者に扶養料を支払っている場合には、従来通り上限額1万3805ユーロが控除されます。新たに条件に加えられたのは、扶養料を支払う側が自身の確定申告の際に、扶養料受取人の納税者ID番号を記載しなければならない点です。

4. 貯蓄関連

預貯金などで利息を受け取った人も、金融機関に納税者ID番号を通知する義務を負うことになりました。通常、利息に対する課税については、一定額まで有効となる課税免除申請を提出しますが、今年からは、金融機関に納税者ID番号を知らせていない場合には、これが無効となります。その結果、金融機関は資本収益税25%と、相応の連帯税5.5%を利息から差し引いて税務署に納めることになります。

5. 社会保険

労働者(工員など)および被用者においては、社会保険で保険料算出の基準となる上限額が変更されました。老齢年金・失業保険の保険料算出基準となる給与上限額は、ドイツ西部で税込年収7万4400ユーロ(前年7万2600ユーロ)、東部で税込年収6万4800ユーロ(前年6万2400ユーロ)に引き上げられています。健康・介護保険では、この上限は全国一律5万850ユーロ(前年 4万9500ユーロ)です。給与総額がこれよりも多い場合、この上限が保険料算出の基準となり、それ以上の所得には保険料が発生しません。

今年度、社会保険の法定保険料に変更はありませんが、健康保険については、保険機関によっては被保険者の追加保険料が引き上げられています。

公的健康保険を解約し、民間健康保険に加入し直したい場合には、通常、年齢などのほか、最低所得額が加入条件として設定されています。この額が、今年から税込年収5万6250ユーロ(前年5万4900ユーロ)に引き上げられました。この額を上回る収入のある人だけが、民間健康保険に加入することができます。

6. 自営業者

今年から決算報告書の作成義務が緩和されました。決算報告書の作成義務が発生する上限額が、売上、利益とも、商法上も税法上も引き上げられています。これにより小規模事業者は決算義務から解放され、ずっと簡便な収支計算書だけで申告処理ができるようになりました。利益についての上限額は年間6万ユーロ(従来は5万ユーロ)、売上高についての上限額は年間60万ユーロ(同50万ユーロ)です。

まとめ

今回は、「納税者ID番号」という言葉が何度も登場しました。オンライン上でのデータの同期化が進んでいることを背景に、すべての個人が保有するこのID番号がますます重要になっています。最近では税務署への電子申告(オンライン申告)も浸透していますが、このID番号があれば、個人が保険料などのデータを簡単に入手でき、税務署も同様に同じデータを受け取ることができます。電子申告についてのご相談は、弊社までお気軽にご連絡ください。

(筆者:税理士ファブリス・ベーナー)

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