オクトーバーフェストとメルツェンビール日に日に夕暮れが早くなり、秋の気配を感じるようになると、ミュンヘンの街はそわそわしはじめます。気の 合う仲間が集まれば、額をつき合わせて何やら相談を始めます。話題はと言うと……そう、ビールのお祭りオクトーバーフェストです。このお祭りは、毎年10月の第1日曜日を最終日とし、それより前の16日間開催されます。2009年は9月19日から10月4日までです。 オクトーバーフェストに行く前に、お祭りの起源とこの時期だけの特別なビールについて少し予習をしておきませんか? おっと失礼、「オクトーバーフェストに行く」 (Ich gehe zum Oktoberfest) そんなこと、本場ミュンヘンでは言いません。「ヴィーゼンに行く」 (I geh auf’d Wiesn)、これが正解。会場のテレージエンヴィーゼにバイエルン訛りをたっぷり掛けて、「ヴィーゼン(牧場)に行っちゃおうぜ」というのがミュンヘン流なのです。
お祭りの起源は1810年、バイエルン王国の皇太子ルートヴィヒ1世とテレージア妃の結婚祝いに競馬を催したのが始まりです。それ以降、毎年結婚記念を祝うたびにビールを飲ませる小屋が増え、やがてビールのお祭りへと発展しました。 お祭りにビールのテントを出せるのは、ミュンヘン市内の伝統的な6つのビール会社だけ。アウグスティーナ、ホフブロイ、シュパーテン、パウラナー、ハッカープショールにレーベンブロイです。しかし、アウグスティーナとホフブロイ以外のメーカーには外国の資本が入っているので、地元「ミュンヘンのビール」とは言い切れなくなってしまいました。 最近、バイエルン王家の血を引くカルテンベルクも名乗りを上げたそうですが、あえなく却下されたとか。カルテンベルクとしては、「先祖が始めたお祭りなんですけど……」という心持ちかもしれませんね。 このお祭りの期間中に提供されるビールは、「メルツェンビール」という特別なビールです。冷蔵庫がなかった時代、3月に仕込まれるこのビールは夏の暑い時期でも腐敗しないよう、アルコール度数を高めにし、ホップをたっぷり入れて造られていました。それがメルツェンビールです。このビールを売りさばくために、オクトーバーフェストが発展したという説もあります。無事に夏を越したビールも、次のビールを造るために貯蔵場所を明け渡さなければなりませんから。商売にはいつだってオトナの打算が付き物です。 お祭りのテントでは、ビールはマスと呼ばれる1リットルジョッキで提供されます。「そんなにたくさん飲めない!」と思っても、陽気な音楽の生演奏に合わせて踊って歌えば、喉も渇くというもの。あっという間にジョッキは空になります。 この季節、ドイツ各地でビールのお祭りが開催されます。あなたの街のビール祭りにも、ちょっと調べれば面白い小話が出てくるかもしれません。 |
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コウゴ アヤコ 日本地ビール協会ビアテイスター。看護師の傍ら世界中を飛び回り、ビールを通して町の歴史や風習を観察している。ブログでおいしい情報を発信中。『ビアテイスターの世界ぐるっとビール旅』 http://gogorinreise.blog34.fc2.com/ |












