ローラント・コッホ

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ローラント・コッホ Roland Koch
1958年3月24日フランクフルト・アム・マイン生まれ。ヘッセン州首相。CDU青年部が79年南米視察を機に結成した、非公開の互助会アンデン・パクトのメンバー。
写真 ©Thomas Kienzle/AP/PA Photos

ヘッセン州政権の3期目をかけて先月27日の州議会選挙に臨んだが、率いるキリスト教民主同盟(CDU)の得票率は前回から12ポイントも激減。かろうじて第一党の座を守ったものの、政権継続には自由民主党(FDP)と緑の党を連立パートナーに迎えるか、それとも議席数で並んだ宿敵社会民主党(SPD)と大連立を組むしかない状況となり、強気から一転、神妙な顔で政争の渦に立っている。

父カール=ハインツもCDUの州議会議員だった。ドイツでは珍しい2世の政治家である。フランクフルト大学で法学を修め、1985年から14年間は弁護士業と地方政治を並行。州首相候補になった99年の州議会選挙で、連邦シュレーダー政権が提案した「成人移民への二重国籍認可」に真っ向から反対する選挙戦をはり、SPDから州政権を奪い取った。

以後2期の執政中、石炭産業への補助金カットを提唱し、公務員のスカーフ着用を布教活動に当たるとして禁止。また、ダルムシュタット工科大学にドイツ初の自治を認めるなど、改革を恐れない保守派の指導力を発揮してきた。

しかし今回の選挙戦で、「移民の背景を持つ暴力少年」をテーマに少年法の強化を求めたことは、裏目に出たようだ。地盤が危なくなったいま、党内有志からは同氏を間接的に批判する公開書簡も登場。互助会アンデン・パクトの仲間であるユング(国防相)やヴルフ(ニーダーザクセン州首相)からの後押しを期待できるだろうか。