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Do. 22. Aug. 2019

英雄、それとも犯罪者?=難民救助船船長めぐり独伊が論争

【ベルリン 8月9日 時事】地中海で難民を救助し、イタリアの港湾に強行に入港したドイツ人女性船長をめぐり、両国で論争が過熱している。ドイツでは「人命を救った英雄」とたたえる声がある一方、イタリアでは右派政治家から「犯罪者」などとののしられている。
欧州に難民が殺到した2015年から4年が経過した今も、難民問題をめぐる欧州の分断は深いことが浮き彫りとなった形だ。

◇31歳の女性船長

この船長は、海上での難民救助を専門とする独NGO「シー・ウオッチ」に所属するカローラ・ラケーテ氏(31)。ラケーテ氏は6月12日、リビア沖約75キロメートルの地中海海上で、リビアからボートでイタリアを目指していた難民ら53人を救助。約200キロ北上し、イタリア・ランペドゥーザ島への入港を求めたが、一部の衰弱が激しい難民を除き受け入れを断られ続けた末、同月29日に無許可で入港。その後当局に、不法入国ほう助などの疑いで拘束された。

若い女性が勇敢な行動を取ったことがメディア受けし、ドイツでは、ラケーテ氏は一躍時の人となった。各メディアはこぞってインタビューを行い、雑誌の表紙も飾った。裁判費用などの名目での寄付は100万ユーロ(約1億2000万円)を突破。マース外相も「人命救助は犯罪ではない」と、釈放を強く要求した。


◇「金持ちで甘ったれの共産主義者」

結局、ラケーテ氏は数日後に釈放された。伊紙とのインタビューでは、「私の肌は白く、豊かな国に生まれ、正当なパスポートを持っていて、三つの大学で学ぶことができた。私のような機会を与えられなかった人々を助けたいという責任を感じている」と、動機を語ってみせた。

しかし、イタリア国内でのラケーテ氏へのバッシングは猛烈だった。急先鋒(せんぽう)は極右政党「同盟」を率いるサルビーニ副首相で、ラケーテ氏を「金持ちで甘ったれのドイツの共産主義者」と、激しく糾弾。イタリア上院も8月上旬、無許可で入港した船舶の船長に最大100万ユーロの罰金を科すなどの法改正を可決した。

イタリアが反発するのは、最終的に救助されるとの期待が広がれば、無謀な航海をしてでも欧州に渡ろうとする難民が増えることが懸念されるためだ。欧州連合(EU)諸国の難民への対応を定めた「ダブリン規則」では、難民が最初に到着した国が保護に責任を負うこととなっている。このため、EU外からの難民の「玄関口」となっている地中海沿岸諸国や東欧諸国に負担がかかりやすいという構造的な問題がある。

独紙シュピーゲルによると、2018年にリビア沖で欧州に渡ろうとして救助・拘束された難民は、2万8387人。うち1万5235人がリビアに送還されたが、4割超にあたる1万1614人はイタリアに上陸した。

ドイツも、難民は受け入れている。2018年のドイツでの難民申請者数は約16万人と、イタリアの約5万人の3倍超だ。それでも、直接EU域外国と国境を接していない上、ラケーテ氏が表現したように「豊かな国」であるドイツからの説教とも取れる注文は、恒久的に難民対処の最前線に立たされているイタリア国民からは「上から目線」に映ったようだ。

EUでは、イタリアなどの求めに応じてダブリン規則の見直しが議論されている。ただ、抜本的な解決策は見いだせていない。難民問題は今後も、欧州分断の火種としてくすぶり続けそうだ。
 
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