大連立、年金保険料率の引き下げを阻止する見通し
経済界、野党から批判の声
2013年末に予定されていた年金保険料率の引き下げが、次期大連立政権によって阻止される見通しが強くなっている。5日付のヴェルト紙が伝えた。
年金保険料による歳入が黒字を記録していることを受け、保険料率が今年末から0.6%引き下げられることになっていたが、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)は現行の18.9%を維持する方針を打ち出している。これにより、60億ユーロに上ると見られていた企業側の負担軽減もなくなる。次期政権は、母親年金や、長年年金保険料を払い続けていたにもかかわらず、受給額が低い人向けの補助年金の導入などの改革を視野に入れており、今回、年金保険料率引き下げを見送り、300億ユーロに上る財源をその改革に充てたい意向だ。
同案に対しては、大連立政権の労働・社会問題作業部会メンバーである中間所得者連合(MIT)のリンネマン代表が「年金制度そのものの崩壊を招く危険性がある」と批判。経済専門家からも懸念の声が上がっているほか、左派党は「中間所得層に対する窃盗行為だ」と非難している。