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Do. 21. Mär. 2019

過去を忘れないために占領に抗う芸術

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1945年2月13日、空襲によってドレスデンの町は火の海となり、多くの市民が犠牲になりました。この悲惨な出来事を忘れないように、またナチズムや戦争の被害者に思いを馳せるために、毎年2月はドレスデンにとって特別な時期となります。この「2月13日」をどう記憶し続けるか、毎年さまざまな試みが行われています。今年は、催しの一つである弦楽コンサートを聴きに行ってきました。

「占領―芸術と歴史の不当な利用」と題されたコンサートでは、戦争や悲しみ、犠牲者への想いをテーマにした弦楽曲をザクセン州立音楽ギムナジウムの生徒たちが演奏しました。曲は、サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」(1938)とショスタコーヴィチの「弦楽四重奏曲第8番」(1960)です。クラシック音楽であるこの2曲を若い演奏家たちが奏で、さらに電子音を加えアレンジすることで、過去を現在の視点で見つめるという試みでした。会場であるドイツ軍事歴史博物館の建築にも同様の意図が込められています。米国建築家ダニエル・リベスキンドによる改装によって、今までの建築に新しい鋼鉄のくさび形新館部分が加えられました。権威的な旧館を現代の新館が割るような形は、過去の歴史に新しい視点を向けようとする姿勢を示しています。

バーバーの曲を奏でる若き演奏家たち
バーバーの曲を奏でる若き演奏家たち

会場の博物館展示に囲まれたホール
会場の博物館展示に囲まれたホール

歴史への新しい視点を表すくさび形新館部分
歴史への新しい視点を表すくさび形新館部分

演奏された2曲は、どちらも長い間多くの場で演奏されてきた有名な曲です。ショスタコーヴィチの四重奏は、作曲者自身との結びつきが深い曲です。彼は戦後破壊されたドレスデンの町を訪れ、また戦争によって利益を得た人間を見てきた経験から、この第8番を書き上げました。湧き上がる戦争や抑圧への抗いの心が、これらの問題に自ら向き合って作曲しなければいけないという強い気持ちにつながりました。この日の演奏では、もの悲しい旋律に不穏な印象を与える打楽器の電子音が加わり、過去の暗い歴史を連想させました。途中からテンポが上がり、息もつかせない緊張と情熱の演奏でした。

バーバーの曲は、米国のケネディ大統領の葬儀や9.11同時多発テロ犠牲者の慰霊式典やさまざまな映画でも使用されています。こちらの曲は、若い演奏家たちによって伸びのある穏やかな調子に演出されていました。まるで一編の物語を読むように、時間の経過を感じさせ、歴史のワンシーンを思わせるようでした。

人間が過ちや悲しみを重ねてきた歴史は、今振り返り見つめ直す必要があります。その中で、私たちを過去へとつないでくれる芸術の役割は、とても大きいと感じました。

勝又 友子
東京都出身。ドイツ、西洋美術への関心と現在も続く職人の放浪修行(Walz ヴァルツ)に衝撃を受け、2009年に渡独。ドレスデン工科大学美術史科在籍。
 
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