経済・産業分野から見る日独交流

10 Juni 2011 文・写真 編集部 Y

食も人も風景も、日本人にやさしい街デュッセルドルフ。現在、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州には500以上の日系企業が存在するそうです。今日、デュッセルドルフが“日本に一番近いドイツの街”となっているのは、それら企業と当地との活発な交流があってこそ。その様子を、5月21~28日に開催された「日独交流150周年記念経済展」が垣間見せてくれました。

会場は、ライン河畔のNRWフォーラム。中に入るとまず、大きなタッチセンサー型テーブルが目に飛び込んできました。画面上には、様々な日独企業のロゴがずらり。試しにいくつか触れてみると、画像と共に音声で解説が始まりました。企業の日独への進出の経緯に限らず、創立期から現在までの変遷が説明され、さながら企業博物館を訪れたような感覚を覚えました。

続いては、年代順に日本とNRWの交流史をたどるパネル展示。日独交流の起源が1861年に日本-プロイセン間の「友好通商航海条約」にあるということは知っていましたが、実はそれ以前に、貿易や採鉱技術伝達において当地と縁の深い人たちにより交流の種が芽吹いていたこと、また1950年代にデュッセルドルフに日本人が住み始めた当初、食や通信手段といった生活面で多くの不便があったことなどを初めて知り、まさに開眼の思いでした。

パネル展示
詳細な解説テキストと商品の実物で、
企業の活動がより身近に感じられるパネル展示

出展企業の紹介コーナーでは、世界初のノート型パソコンやファクシミリ、カーナビ、初期のデジカメなど、貴重な実物と共に各企業の歩みが語られ、こちらも見応え十分でした。中でもひと際大きなショーケースの中のロボットが気になった私。それが、脳からの信号を読み取り、身体機能を拡張・増幅することができる日本製ロボットスーツで、身体機能に障害がある人の介護・自立支援のためドイツでも応用研究が進む画期的な技術だと分かり、世の中の目覚しい進化に感心しつつ会場を後にしました。と、野外展示スペースに電気自動車を発見。早速試乗してみると、なんとまあ静か! 発進の勢いも安定性も抜群で、実に快適なドライブでした。ロボット工学の分野で進む技術協力に、エコに関心が高いドイツで注目される日本のテクノロジーと、日独経済には明るい未来が待ち受けていそうです。

電気自動車とハイブリッド
屋外では、未来のエコ社会を率先する
三菱電気自動車「i-MiEV」(左)と
トヨタの燃料電池ハイブリッド車 「FCHV-adv」を展示

先達が歳月を経て築いた礎の上に、今なお紡がれている日独交流のベクトルが、未来に向かっていることを実感できた同展。次はベルリンにも巡回するそうですので、お近くの方も、今回見逃してしまったという方も、ぜひ会場に足を運んでみてください。

編集部 Y
平均的なドイツ人男性と並ぶと目線が腰の辺りに来る程度の身長で、ドイツでは大人用の服を買えない。来独当初は相当傷ついたが、今では真っ先に子ども服売り場に向かうほどに。「日本人は子どもっぽく見られる」という定説を逆手に取る賢さも身についた。