魂の演奏で魅了する太鼓芸術「鼓宮舞」

鼓宮舞(こくぶ)は、大阪を拠点に活躍する和太鼓グループです。現在3歳から大学生までが参加し、10代〜20 代の若者を中心に日々練習を重ねています。1998年の結成以来、春日大社の奉納演奏を始め、東北や熊本の被災地支援のチャリティーコンサートなど、全国各地で公演を行っています。3年前からは毎年3月にドイツでも公演を開いてきました。今年3月のフランクフルトとハイデルベルク公演を前に、昨年12月、代表の外山智亮(とやまちあき)さんと女性リーダー辻祐美子さんが来独し、フランクフルトの小学校で笛と和太鼓によるミニ演奏会を開催しました。

演奏
代表の外山智亮さん(右)と女性リーダー辻祐美子さんの演奏に聴き入る子供たち

演奏前から日本の楽器に興味津々の子供たちが期待でざわめく会場に、すっと尺八の音色が響きます。瞬時に会場の空気が変わり、霧が晴れるように柔らかな笛の音が奏でられ、澄み渡る和太鼓の響きが加わります。太鼓のリズムが身体の中を突き抜け、全身が音で満たされるようでした。2人の奏者が息を合わせて和太鼓を叩き始めると、ドンドンとお腹の底に拍子が鳴り響き、会場中が演奏に引き込まれていきます。自然と体が音に合わせて揺れ動き、手で太鼓を叩く真似をしている子供たちもいました。圧倒的なパワーと躍動感、心にまで鳴り響くリズムで1曲目から会場を圧倒。その後の連奏では、演奏者と聞き手が共鳴するような一体感を感じ、さらに盛り上がりました。演奏後の質疑応答や和太鼓演奏体験では、次々に子供たちから手が挙がり、目を輝かせて質問したり太鼓を叩いたりする姿が印象的でした。

「何年もかけて音を練り、聞いた人の心を動かすような魂の演奏で感動を伝えたい」と語る代表の外山さん。技術だけでなく精神や礼儀を重んじ、子供たちの心の成長を大切に指導に当たっています。また小学6年生の時から12年間鼓宮舞で活動する辻さんも「ドイツの方々を想い、少しでも良いものを伝えるべく練習に励んでいるので、多くの方に楽しんでいただきたい」と語ってくれました。

演奏
演奏後、子供たちからの積極的な質疑応答と太鼓演奏体験の希望が殺到しました

聴く人の心を揺さぶり、世代も国籍も超えて響き合う音は、強い気持ちを込めた演奏だからこそ生み出されるもの。魂の演奏で聴く人に感動を与え、聴衆の盛り上がりを受けた奏者が、さらに心を込めた音で応じることにより会場が一つとなる素晴らしい演奏会でした。たった2人の奏者でも深く心身に響く演奏でしたが、3月の公演では中学生から大人まで20人が演奏予定とのこと。3月11日にはフランクフルトのFreie Waldorfschuleで、3月24日と25日にはハイデルベルクのMusik-und Singschuleでの公演を控えています。大勢が集まればどれほどのパワーと躍動感、一体感が味わえるのかと今から楽しみです。

鼓宮舞の公演情報:kokubu2018.yapsody.com

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。