日本の文化・音楽・味覚の祭典「マイン祭」

7 September 2018 Nr.1081 文・写真 ユゴ さや香

8月17日から3日間、フランクフルト初のジャパンフェス「マイン祭」が開かれました。会場のヴァルター・フォン・クロンベルク広場には、特設ステージや屋台が勢揃いし、以前本誌で紹介した剣舞家の梨羽太朗(なしばたろう)さん、日本舞踊家の西川扇夢二(にしかわせんゆめじ)さんの共演で祭りの幕が開きました。日本国内外で活躍する和太鼓奏者の壱太郎さんの演奏に、同じく和太鼓の夕田敏博(ゆうたとしひろ)さんと尺八・篠笛奏者の山口整萌(やまぐちせいも)さんの共演、日本のダンスグループ・リズムスピーカーの演舞など、次々と一流の演目が繰り広げられ、一気にお祭り気分が盛り上がります。演者同士の共演は、各才能の相乗効果で、より刺激的なパフォーマンスになっていました。

驚きの集客数で大成功の会場メインステージ前
驚きの集客数で大成功の会場メインステージ前

飲食エリアでは、地元日本食店や、近々市内に出店予定の寿司屋「The Sakai」など美味しい和食屋台が並びます。自家製納豆をネット販売する「Natto24」と、麹を使った日本食を普及する「ITO's Koji&Miso」のコラボによる麹納豆丼を食べてみましたが、ドイツ人向けに匂いを抑えた納豆と麹の風味が絶妙でした。ほかにもカレーやクレープ、さらに日本酒輸入販売「Ueno Gourmet」など、多彩な日本の食が楽しめました。

ドイツ人にも好評だったNatto24の納豆丼
ドイツ人にも好評だったNatto24の納豆丼

会場西側は着物など日本雑貨の店が並びます。風呂敷専門店「Wakiya」では、ドイツ人が風呂敷の使い方を熱心に習う姿が印象的でした。生け花や弓道、剣道の実演エリアもあり、アクションステージでは着物ショーやコスプレなど、幅広い分野の日本文化が紹介されていました。土日は漫画や書道などのワークショップも開かれ、ドイツで活躍する俳優の山崎祐輔(やまさきゆうすけ)さんによる紙芝居や、100人もの参加者が集まった茶道など、日本文化の多様性と関心の高さを感じました。

アクションステージでの艶やかな着物ショー
アクションステージでの艶やかな着物ショー

週末は来場者も増え、メインステージでは三味線奏者の北村姉妹と師であり父である北村正貴さんの父娘演奏や、日本の伝統美とロックを融合したKAO=Sのライブなど、充実した演目で日本芸能を堪能できました。あちこちで歓声が上がり演者も観客も大満足のステージは、演者全員の演奏と演舞で大盛況のうちに幕を閉じました。

質の高い日本の伝統芸能を提供したいという主催者の熱意により、姉妹都市横浜の協力とANAの協賛で日本から芸術家を招き、ドイツで活動するアーティストやボランティアが加わって、夢のような3日間が実現しました。本格的な日本文化の祭典を広い野外会場で行うことで、誰もが気軽に楽しめる素晴らしいお祭りでした。来年はさらにスポンサーを募り、今年以上のものを提供したいとのこと。恒例行事として定着し日本文化と伝統が広まるよう、次の開催を心待ちにしたいです。

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。