ハンブルクの歴史を語る時に避けて通れないのが、1842年に旧市街の多くを焼き尽くした大火事でしょう。3日間燃え続け、50キロ先からでもその炎が見えたといいます。この大火で、市庁舎や証券取引所をはじめ、旧市街にあったニコライ教会、ペトリ教会、ゲルトゥルーデ礼拝堂が消失しました。このうちニコライ教会とペトリ教会は再建されましたが、ゲルトゥルーデ礼拝堂は再建されず、現在は広場になっています。火災が食い止められた場所である内アルスター湖の東側の通りには、「火災の終わり」(Brandsende)という名前が付けられているほどで、その惨状を今も伝えているのです。
出火元を示す青いプレート
現在、出火元であったニコライ運河沿いのダイヒ通りの壁には、「1842年のハンブルク大火の出火場所」として青いプレートが埋め込まれています。この青いプレートは、ハンブルク市内の歴史的に重要な各所に掲示されているものなのですが、ダイヒ通りにはほかにも「最初のハンブルク港のあった場所」というプレートも。13世紀ごろは、ここがハンブルクの玄関口だったということが、この通りの裏にニコライ運河があることや、「ダイヒ」(堤防という意味)という名前からも伺えますね。ちなみに現在の港は、もっと南側に移動しています。
このダイヒ通り、人通りが少なく観光客にもそれほど知られていませんが、実はおしゃれなカフェやレストランが並んでいます。中でもご紹介したいのは、39番地にあるフランス発のネイビー・ファッション・ブティックとクレープ・レストランが一緒になった「TiBreizh ~ブルターニュの家~」というお店。店内に一歩入るとフランス語の文字が並び、店員さん同士はフランス語で会話しています。ブティックでは、素材を生かしたシンプルで飽きのこないデザインで、大人から子どもまで楽しめるファッションを展開。店内にかけられている絵画は、期間限定の展示作品で、現在の絵画はハンブルク出身の画家によるものだそうです。
すてきなお店が並ぶダイヒ通り
レストランではブルターニュ料理を提供していて、メインはそば粉のガレット。バターやチーズのみのシンプルなものから、サラダやソーセージ付きのボリュームのあるものまで種類が豊富です。もちろん、デザート用の甘いクレープも。お食事用ガレットとデザートクレープと飲み物、合わせて10ユーロ前後のランチメニューはとてもお得です。
運河側から見た様子。この桟橋にテーブルが並びます
天気のいい日は運河の方に出て、桟橋で食事することもできます。運河に面した建物の外壁には木組みの建築が残されていて、そちらの景色もすてきです。休日にぜひ、ゆったりとお出かけしてみてください。
Ti Breizh Haus der Bretagne:www.tibreizh.de
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
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