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TK Techniker
So. 20. Sep. 2020

ドイツで建築家として働くこと仕組みと制度

今回は、ドイツで建築家として働くための制度やシステムについて、自身の経験をもとにレポートしたいと思います。私は日本の大学の建築学科で学部と修士課程を卒業してから、そのまま設計事務所に就職するために渡欧しました。

ドイツで建築家として働くには、建築家協会への登録が必要です。大学で建築学科を卒業後、まずは設計事務所で2年以上の実務経験を積みます。基本設計から実施詳細設計、現場管理、物件の引き渡しまでを一通り経験し、その証明のために建築家協会に登録されている建築家から承認サインを取得。州ごとに建築家協会があり、実務経験に加えて80時間の研修を受ける義務があったり、試験に合格しなければならないなど、それぞれの協会によって規定が異なります。

ドイツ以外で大学の建築学科を卒業した場合、ドイツ語に翻訳した卒業証明書を提出して協会の審査を受けます。日本での卒業資格は問題なくドイツで通用しますが、修士課程を卒業している必要があり、学部卒の場合はドイツの大学で修士をさらに取らなければ審査には通らないそう。また、日本の一級建築士の資格をドイツの建築家資格に書き換えることはできません。

現場管理についての研修(参加者の半数は女性)現場管理についての研修(参加者の半数は女性)

無事に建築家協会に登録されて、ようやく「建築家」を職業として名乗れます。逆に、建築家協会に登録していない場合は「建築家」という称号の使用が禁止されているのです。それが済んだら、次は建築家会議所(Architektenkammer) に登録。ここは建築家の年金を取扱う団体で、一般の年金制度とは異なります。

ザクセン州建築家協会のウェブサイト(催しや研修の案内が表示されています)ザクセン州建築家協会のウェブサイト(催しや研修の案内が表示されています)

さらに重要なのは、実務と並行して協会が認定する研修会に参加し、建築法制度の更新や専門的・技術的な知識を養い続けること。研修課題は、法規、防火、エネルギー効率、現場・コスト・経営管理など多岐にわたります。年間に一定時間以上の研修会に参加する義務があり、無視し続けると強制的に脱会させられることも(その場合、建築家の称号を失います)。

さてドイツで実際に建築家として働いていますが、もし選択肢があったなら私はドイツの大学で建築を学べば良かったと思っています。多額の学費と費やした時間に比べ、日本の大学で学んだことがドイツの現場で全く役に立っていないからです。それに大学を卒業した段階で渡独し、ドイツ語を学びながら実務を身につけるには大変な努力と忍耐、そして精神的な鍛練が要求されます。やはり10代のうちにある程度語学を習得してから専門的な学業に進んだ方が、その後の身の振り方に決定的な違いが出てくるでしょう。

努力次第でやりたいことを始めるのに年齢制限はありません。一方で、後の人生を大きく変える転換期には、やはり大切なタイミングもあると感じるのです。これからドイツで建築家として働きたい方に、少しでも参考にしていただければうれしいです。

ミンクス 典子
福岡県出身。日独家族2児の母。「働く環境」を良くする設計を専門とする建築家。2011年に空き家再生社会文化拠点ライプツィヒ「日本の家」立ち上げ、18年まで共同代表。15年より元消防署を活用した複合施設 Ostwache共同代表。
www.djh-leipzig.de
 
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