以前本誌1123号でも特集されていたように、ドイツのアイスクリーム生産数はEUナンバー1。ここライプツィヒでも、アイスクリーム屋さんを至る所で見かけます。日本では珍しいローズマリーやバジルなどのハーブ入り、クミンやシナモンなどのスパイス系、ラムやジンなどアルコール入り、ビーガンやラクトースフリー……などなど、フレーバーがとても豊富です。この夏、定番のバニラ、チョコから変わり種まで、私もさまざまな味のアイスクリームを食べました。秋の訪れとともにアイスクリームシーズンが過ぎ去ろうとしていますが、今回はライプツィヒに古くからあるアイスクリーム屋さんを紹介したいと思います。
DDR時代のものに彩られた店内
Eisdiele Pfeifer は1953年に創業して以来、東ドイツ(DDR)時代を経て現在まで営業を続けているライプツィヒで一番古いアイスクリーム屋さんです。ライプツィヒの人々に初めてコーンのアイスクリームを提供したのもEisdiele Pfeiferだとか。創業者のPfeiferさんらによる家族経営が続けられてきましたが、その後2007年に、建築家のMehlitzさんが店を受け継ぎました。しかし店内の雰囲気はそのままに残されており、花の壁紙をはじめ、椅子や机、ランプなどのインテリアは当時のDDRデザインのものを使っています。
さらにアイスクリームも、1972年から使われているアイスマシーンを使って毎日手作りされています。また、コーンで提供されるアイスクリームだけではなく、グラスにバニラアイスと熱いサクランボシロップ、生クリームとワッフルを乗せたオリジナルパフェなど、ほかのメニューも充実。コーヒーやクッキー、ケーキ、ジャムなども提供されているので、カフェとしての利用もおすすめです。
さまざまなオリジナルパフェのメニュー
ちなみに店員さんにお願いすれば、小さなプラスティック製のスプーンがもらえます。このスプーンには、「Maik」「Finn」「Ingo」など、さまざまな人の名前が書かれています。このスプーンに書かれているのはドイツの定番の名前だそうで、私のスプーンは「Bärbel」。このスプーンも昔から提供されているもので、DDR時代には贅沢品だったアイスクリームを、この小さなスプーンでみんなが少しずつ食べていたのだと、店員さんが教えてくれました。
私がお店を訪れた時は、ちょうど近所の小学生たちが先生と一緒にアイスクリームを買いに来ていました。みんなそれぞれ自分の好みのアイスを選び、少し友だちと交換したりしながら、にぎやかにアイスを食べていました。今の小学生たちの間で1番人気なのは、チョコバナナ味だそうです。
オリジナルパフェはボリューム満点
Eisdiele Pfeiferは近所の子どもから大人まで、地元の人に愛されているアイスクリーム屋さん。中央駅からトラムで5駅、DDR時代の雰囲気を味わいにぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
岡山県出身。コミュニティースペースやまちづくりに興味を持ち、NPOで活動しながら診療放射線技師として8年間病院勤務。ひょんなご縁で2018年に渡独し、ライプツィヒにある「日本の家」で活動を開始。2020年から日本食を中心としたコレクティブとして活動中。