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青空図書館「StadtLesen」

「書を捨てよ、町へ出よう」とはある詩人の言葉ですが、「StadtLesen(シュタットレーゼン)」は「町に出よ、書に親しもう」といえるのではないでしょうか。今年で6回目を迎えるこのイベントは、その名の通り「町の中心地の屋外で、本を読む」ことを楽しむ催しなのです。

 オデオン広場の書架から、自由に本が選べる
オデオン広場の書架から、自由に本が選べる

ミュンヘンの会場となるのは、オデオン広場。いつも観光客やミュンヘン市民でにぎわっている街の中心的な広場が、このときばかりは読書好きたちのオアシスに早変わりします。広場には約3000冊をそろえた本棚が設置されると共に、たくさんの居心地の良さそうなソファクッションが置かれます。参加は無料。もちろん時間制限などもありません。誰でも気に入った本を手にとって、好きなだけ読むことができます。大きなクッションは寝転んだり、友人と一緒に座ったりするにも十分なサイズ。街の真ん中で思い思いにくつろぐこともでき、なかなかフリーダムな雰囲気です。日差しが強過ぎるときのために備えた大型パラソルや、気温が低いときに使える毛布なども用意されています。開催時間は日没まで。本を読むのに十分な明るさが続く限りは、本の世界に浸ることができます。

「『本を読む』ことは学業の一環としてテストによって能力評価されるものではなく、くつろいでその世界を楽しむことにある」これが、このイベントのコンセプトです。便利なコミュニケーションデバイスを利用した「出来合いのファンタジー」に接することに忙しい、現代人。そのため、本を読み自分自身で自由な想像力を磨く時間がないのではないか。自分なりにファンタジーを受容し創造する力を発揮する暇がないのではないか……。それを意識するきっかけになれば、という意図が込められています。他者との交わりによって得られる知識の獲得と、自己研さんにつながる重要なコミュニケーションの場の象徴が、StadtLesenのテーマである「町の広場」と「読む」なのです。

マルクトに立つ看板「マイバウム」
歴史ある建物に囲まれ、ミュンヘンの歴史を感じつつ本を楽しむ

このイベントはドイツとオーストリアの主要都市で4月〜10月にかけて行われます。「屋外の居間で静かに本を楽しむ以外には、何も起こらない」静かなものですが、町によっては朗読会も行われます。ドイツ語の美しさに改めて耳を傾けてみるのも、楽しそうです。

ミュンヘンでの2016年の開催期間は8月11日(木)〜8月14日(日)。12日(金)のテーマは「共存(インテグレーション)」。移民的なルーツを持つ人々を招いて、その人たちの出身国の言語で創作したテキストを朗読するイベントが行われます。14日(日)はファミリーデー。特に子供や少年少女向けの本が多数用意されるそうです。また、期間を通じて「リーダーズ・コーナー」が設けられ、誰でも自分の創作したテキストを朗読することができるそうです。

参考 www.stadtlesen.com
 
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