ミュンヘンで日本文化を感じる 墨絵ワークショップ体験

ミュンヘンのバイエルン独日協会(Deutsch- Japanische Gesellschaft in Bayern e.V.)では、日本文化に関連するさまざまな催しを定期的に開催しています。今回は「墨絵ワークショップ(Seminar Japanische Tuschmalerei–Sumi-e)」(有料)の体験をレポートします。

講師は、ミュンヘンと東京で活躍されているモニカ・ヘルマンさん。彼女が墨絵に興味を持ったきっかけは「東洋では西洋画について多くのことが学ばれているのに、西洋での東洋画に関する知識はあまりにも限られている」ことを感じたからだそうです。20代前半から始めた墨絵では30年近いキャリアをお持ちで、書道は20年以上学ばれて武道館で開催される書き初め大会で賞を獲得されたこともあるとのことです。

先生の作品を拝見
先生の作品を拝見

ワークショップの会場はミュンヘン市内の博物館「Museum Fünf Kontinente」の一室。当日は私を含む7名の参加でしたが、日本人は私だけでした。すでに長く墨絵を習っていたり、ジャンルは違えどアートの心得があったり、初心者だったりと、皆さんの墨絵レベルはさまざまでした。

上級者の方達はお手本を見ながら練習を進め、完成した作品の額装の仕方などを習っていきます。私を含む初心者の人向けには、墨のすり方、筆の扱い方などから説明をしていただきました。なお、自前の道具が無い場合には、無料レンタルが利用できます(和紙のみ有料)。小学校の授業で書道を少し習って以来、硯にも筆にも触れることのなかった私ですが、道具を見るとなんとなくその時代を思い出して懐かしい気分になりました。

墨をする
硯に向かい墨をすると、なんとなく懐かしさを感じる

ドイツは日本よりも空気が乾燥し、また硬水であるため、墨の扱い方や濃さには特に注意する必要があるというお話しには、なるほどと興味深く思いました。

そして、早速、墨絵を描いていきます。テーマは「竹」。竹の幹、節、そして葉の描き方を教わります。はるか昔に少し書道をしただけの私の経験は、役に立つような、立たないような……。力の加え方、抜き方、筆の穂先の向け方、なかなか思ったようにはいきませんが、何度も無心に練習を繰り返すうちに、なんとなく少しずつ良くなってきたような気がします。先生が持参していた墨絵関連の本には日本語を含め多言語の資料があり、さまざまな技法が説明されていましたが、残念ながらドイツ語訳は無いようでした。また、ミュンヘンで墨絵を描く方達には、入手できる墨や筆が限られているのが悩みの種のようです。今回は、青い墨など私にとっては珍しい道具を使わせていただくことができたのも、貴重な体験でした。

ちなみに独日協会では、俳句の会なども定期的に行われています。ドイツ語で俳句を考えるのも、日本語とはまた違った楽しさがありそうですね。

独日協会ホームページ:www.djg-muenchen.de

Yoshie Utsumi
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで 通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。 2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。