2019年はどうなる?天気にまつわる言い伝え

1 März 2019 Nr.1093 文・写真 Y. Utsumi

今年の冬のバイエルンは、雪が多かったです。ドイツのほかの地方に比べれば雪対策に慣れているミュンヘン周辺では、連日除雪車が出動していたため大きな混乱はないですが、飛行機の欠航や鉄道ダイヤの乱れ、交通事故などによる渋滞などが頻発しました。そして、道路状況が悪くスクールバスの運行が中止されたり、木々からの落雪による事故の恐れなどから、地方の学校はお休みとなることも多いようで、朝のラジオ放送で休校情報が流されていたりしました。

もともと日本の東北地方出身の私にとって、屋内の暖房が完備されているドイツの冬の寒さはあまり苦にならないのですが、ここで暮らし始めた当初は日本とは違う気候に戸惑ったり、天気に合った服装を用意するのに慌てることも。雨ばかりの夏や曇天の続く11月など、気が滅入ることもありますが、ドイツの四季には日本とは違った美しさがあり、その年ごとに異なる風景は飽きることがありません。今年の冬はサラサラしたパウダースノーが降りしきる様子や、凍りついた木々の墨絵のような美しさに見惚れてしまいました。

凍てつく寒さが、冬の美しさを作り出す
凍てつく寒さが、冬の美しさを作り出す

さて、降雪地帯である私の故郷には、「猛暑の夏は大雪になる」という言い伝えがあります。これがドイツでも通じるものなのかどうかは疑問ですが、そういえば、昨年の夏は記録的に長く暑い美しい夏だったことに思い当たりました。そこで、ドイツにもこういった天気にまつわる言い伝えがあるのかどうかに興味が湧いたので情報を探して見たところ、その多さに驚かされることになりました。

夏には色彩の競演にうっとり
夏には色彩の競演にうっとり

これらは「農事金言(Bauernregeln)」とか「農民の知恵(Bauernweisheiten)」と呼ばれ、特定の月や日の天候から導き出される予測や、天気と農産物の収穫傾向との関連性を示したりするものです。ベースとなっているのは経験則ですので、科学的な理由づけはできないものですが、一概に当てにならないとも言い切れないようです。有名なのは、例えば「2月に雨が降らないと、イースターにやってくる」、「鳥が早くさえずり出すと、冬が長引く」、「春の雨は恵みをもたらす」、「3月の雷雨は5月の雪となる」、「寒く晴れた3月は良い収穫をもたらす」、「初春から4月中旬の天気が、その夏の天気となる」、「11月になっても落葉しないと、冬が長引く」。また、特定の日にまつわるものとしては、「2月6日に雪が多くあると、乾燥して暑すぎない夏になる」「6月27日の天気は、7週間続く」というものがありました。ちなみに私の住む地域では2月6日はまだ雪が多く残っていたので、今年の夏は過ごしやすい夏になるのでしょうか? 暑くて夏らしくなる方がうれしくもあるのですが、どうなるか気になりますね!

科学的なデータを基にした天気予報のおかげで私たちが得られる気象情報は日々詳しくなり、進化していますが、昔ながらの言い伝えからあれこれ長期予測をしてみるのも楽しいですね。

Yoshie Utsumi
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。