オーストリア広場が新しい文化の発信地に

3 Mai 2019 Nr.1097 文・写真 郭映南
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シュトゥットガルトの地下鉄には、オーストリア広場(Österreichischer Platz)という名前の駅がありますが、長い間この広場がどこにあるのかよく分かりませんでした。「広場」というと、周囲の建物に囲まれて、中心に教会や偉人の像、何かしらのオブジェがあったりして、人が集まりやすい広くて平らな場所を想像しがちです。ところが、この駅の近くにそんな場所はそもそもありません。そして、最近になってやっと分かったのですが、このオーストリア広場は幾度かの都市開発の末、現在ではなんとPaulinen橋の下に埋もれているのです。日が当たらず、長い間駐車場として使われてきたので、人々はそこにわざわざ集まったりはしません。しかし、昨年の秋から、さまざまなプロジェクトが動き出したよう。たとえば、コンサートやフードシェアだったり、都会的なイベントが目白押しです。今年3月にシュトゥットガルト市から、面白いアイデアを持っている人がいないかとオープンコールがありました。1位に選ばれた人には1500ユーロの賞金が贈られ、5月と6月に実際にこの広場でそのイベントを実施するという実に魅力的なコンテストです。

橋の下のイベント会場
橋の下のイベント会場

コンテストとは別に、4月13日、広場で行われたファッションショーのイベントに初めて出かけてきました。あいにくこの日は寒波が戻ってきてしまい、最高気温はたったの4度。しかし、こういうときこそ、オーストリア広場のよさがはっきりと分かります。橋の「屋根」があると、実は外より少し暖かく感じますし、急な雨などにも困りません。そして午後4時、若い人々が次々と集まってきました。ざっと200~300人でしょうか。即席で簡素な細長いランウェイが、グルグルと何層かになった観客にしっかりと囲まれ、また少し暖かくなりました。

いよいよイベント開始。モデルもファッションデザインのレベルもかなり高いです。特別な照明が使われていないにもかかわらず、皆さん眩しいオーラを放ちながら登場してきました。周りの若い観客たちからは絶えず「かわいい」、「きれい」などと感激する声が聞こえてきました。デザイナーはまだ20代のRoberto De Cagnaさん。観客もほとんど10〜20代で、年代が近いとやはり共鳴が起こりやすいようです。

シャッターチャンスをうかがうカメラマン
シャッターチャンスをうかがうカメラマン

ヴィンテージを改造したファッションだそう
ヴィンテージを改造したファッションだそう

今後のプログラムをチェックしたら、5月には観葉植物愛好家による植物交換会が行われる予定です。どれもなかなか楽しそうで、これからも都会の若者らしいさまざまなイベントから目を離せません。

郭 映南(かく えいなん)
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com