バレエ in パーク

夏真っ盛りのシュトゥットガルトには、イベントが目白押し。カール広場ではフィッシュ・マーケット、マルクト広場では国際音楽祭が盛大に行われ、さらにインド映画祭に夏の写真フェスティバルなども開催中で、遊ぶには事欠きません。そんな中、7月12、13日に開かれた「バレエ in パーク(Ballett im Park)」という毎年恒例の催し物を訪れてみました。

シュトゥットガルト・バレエ団
シュトゥットガルト・バレエ団のメンバーによる素敵な踊り

かの有名なシュトゥットガルト・バレエ団のオペラハウス公演を、すぐ脇のシュロスガルテン(Schlossgarten)で、巨大スクリーンを用いてライブで映し出すというイベントです。嬉しいことに、なんと入場無料! 2007年の初回以降、絶大な人気を博し、今年の土曜の夜のプログラムでは、公園に設置された会場枠の内側だけでも4000人以上のファンが集まったと報じられています。観客たちはピックニックシートやキャンピングチェアなどを持ち寄り、家族や友達と一緒に大きな輪を作ってバレエを鑑賞します。ガラス製のものは持ち込み禁止となっていましたが、飲食は自由。どこか日本のお花見によく似た雰囲気が漂っていました。

バレエ, 鑑賞中
皆さん、静かにバレエを鑑賞中

土曜の夜に披露されたのは「ジゼル」という、19世紀にフランスで初演された古典的な演目です。主人公のジゼルが貴族の男性に裏切られて亡くなるという悲劇的な物語ですが、ロマン主義の代表作でもあります。また、主役が死装束で踊る唯一のバレエ作品とされていて、繊細な白いチュチュと完璧なポアントシューズ踊りが見どころです。

今回ジゼル役を務めたのは、シュトゥットガルト・バレエ団第1ソリストのアリシア・アマトリエンさんで、公爵アルブレヒト役は同じくバレエ団第1ソリストのフリーデマン・フォーゲルさん。息の合った2人の踊りは本当に完璧でした。軽やかなジャンプとターン、優美な手や腕の動きは、ため息が出るほど美しく、観客たちの視線を完全に釘付けにしていました。オープンエアのメリットは、世界一流のバレエ舞台を無料で鑑賞できることに加え、カメラワークによって役者に接近できることです。この公演では、実に計十数台のカメラが設置され、まさに大画面高画質で臨場感たっぷり! 一方、もちろんデメリットもあります。第1幕が終わろうとした頃から、ぱらぱらと雨が降り出したのです。しかし休憩中、会場では、予め用意されていた無料の透明レインカバーが配られました。結局、少々の天候不順も夜の寒さも、観客の情熱を冷ますことはありませんでした。

日曜の昼には、地元のバレエ名門校ジョン・クランコ学校の生徒による舞台もあったそうです。そして、来年のバレエ in パークは7月25日(土)に開催予定ですので、興味のある方はぜひ! ちなみに演目は「眠れる森の美女」だそうです。

www.stuttgarter-ballett.de