ローカルブランドの誇りHochlandコーヒー

20 März 2015 Nr.998 文・写真 郭映南

シュトゥットガルトの町を歩くと、小さなパン屋からケーニッヒ通りの大手書店Wittwer、またいろいろなカフェまで、あちらこちらに「Hochland」の看板が見られます。このHochlandは、主にコーヒーやお茶、そして各種茶菓子やお茶関連の商品販売を行うローカル企業で、1930年創業の老舗です。しかし、85年もの歴史を背負っているにもかかわらず、Hochlandの店と商品が人々に与えるイメージは、いたってモダンかつ都会的。

Hochlandのコーヒー
ここにしかないお土産。シンプルでおしゃれなデザイン

客層は20~50代と若く、例えば、ケーニッヒ通り7番のカトリック教会の建物にもHochland直営のカフェがありますが、白を基調とした内装に黒のインテリアで統一し、シックな雰囲気を漂わせていて素敵です。それから、屋内市場のマルクトハレにある当店の売り場では、デザイン性の高いシュトゥットガルトの土産品が売られています。パッケージはやはり白と黒のモノトーンでデザインされていて、洗練されたシンプル・モダンスタイルです。

どんどん興味を持ち始めて、いろいろ調べてみたところ、Hochlandはシュトゥットガルトの家族経営企業。コーヒーマニュファクチュアとしては現在ドイツ最大で、地元ではコーヒーのブランドとして有名です。そして、大成功を収めた裏には壮絶な物語があったそうです。

3代目経営者マルティーナ・フンツェルマンは創業者の孫娘で、1984年に入社し、2000年以降、大胆な近代化改革に突き進みました。会社のロゴマークを変え、コーヒーだけではなくお茶や茶菓子などの分野を開拓し、インターネット販売やカフェバーも手掛けました。そして、まだフェアトレードの概念がなかった時代から、コスタリカのコーヒー農家と公正取引を始めていました。この改革で会社のイメージチェンジが見事に成功し、時代の移り変わりの波に乗ってどんどん発展しました。今では社員80人あまりで年商1200万ユーロ、年間1000トンのコーヒー商品を流通させています。2008年3月には、経営者としての功績が認められ、バーデン=ヴュルテンベルク州の経済メダルを授与されました。

マHochlandのコーヒー売り場
Hochlandのコーヒー売り場

Hochlandコーヒーは、コスタリカの標高1200~1800mの高地で作られた豆を使用しており、Hochland(高地)というブランド名の由来でもあります。味も品質も良く、2005年のハンブルクのグルメ雑誌『Der Feinschmecker』に、「もっとも美味しいフィルターコーヒー」と紹介されました。

お茶はインドのチャイなどをメインに取り扱っており、ほかには、緑茶に花やハーブをブレンドした西洋人好みのものがほとんどですが、オンラインショップでは玉露の緑茶や煎茶、玄米茶など、日本から直輸入したお茶も取り扱っています。

Hochland: www.hochland-kaffee.de

郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com