ミヒャエル・ナウマン

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ミヒャエル・ナウマン Dr. Michael Naumann
1941年12月8日ザクセン=アンハルト州ケーテン生まれ。ジャーナリスト。出版人。

来年2月の州議会改選に向けた首相候補の選定で、党員投票から1000票が紛失するという大失態を演じたハンブルクの社会民主党(SPD)。このスキャンダルから党幹部は全員辞任とあいなり、新たに候補として担ぎ出されたのが彼。高級紙「ツァイト」の発行人にして、前シュレーダー政権での文化相である。

政治学、史学、哲学をミュンヘン大学で修め、博士号のほか大学教授資格まで持つインテリなだけに、日常に不安のある市民への理解を疑問視する声は高い。しかし「極貧生活なら身を持って知っている」。生後1歳の時、父親はスターリングラードで戦死。残された母と息子は旧東ドイツで生き延び、1953年にシュタージからアメリカの親族との関係を疑われて、西へと亡命してきた。「八百屋から木箱をもらって家具にし、食うや食わずの生活だった」と当時を振り返る。

現在ハンブルクを率いるオーレ・フォン・ボイスト市長(52)は、薬物中毒者に代替療法の道を開き、就職に不利な基幹学校を実科学校と統合させる学校改革を予定するなど、保守政党、キリスト教民主同盟(CDU)らしからぬ政策を取っていることで人気が高い。そのため政権奪回は難しいのではと問われると、「SPDは教育と文化への投資を増やす政策で勝負する」と強調。定年を迎える年齢であるが、それゆえ高齢福祉にも力を入れられるとのこと。応援人にはシュレーダー前首相やシリー前内相も名を連ね、団塊世代の最後の挑戦といった趣に見えなくもない。