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Fri, 29 March 2024

牟田園涼子さん - 株式会社ライヴス ロンドン支店「wagumi」マネージャー

牟田園 涼子さん
Ryoko Mutasono
Lives Inc. London Branch wagumi Manager

牟田園涼子さん
肩書き
株式会社ライヴス ロンドン支店「wagumi」マネージャー
経歴
横浜出身。2003年に杉野服飾大学服飾学科織物コース卒業後、来英。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのファッション・マーケティング科を2005年に卒業。以降、英国でデザイナーとしてテキスタイル・スタジオに6年間勤務。14年より日本の伝統工芸品や職人の商品を扱うロンドンのセレクト・ショップ、wagumiのマネージャーに。欧州での展示会出展支援のほか、現地向けの高品質な日本商品のセレクト、工芸品のマーケティング支援などを行っている。
www.wagumi-j.com

「最終目標は、日本へ行こうと
思ってくださる人を増やすこと」

これまでどんなお仕事をされてきましたか。

ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、現地のテキスタイル・スタジオでデザイナーとして6年働きました。しかし東日本大震災が起きたことで、日本のために何かできないかと、プロダクト・マネージメントの世界へ。欧州で日本の製品を商品化する場合、どのようなデザインや価格形態が好まれるかをリサーチし、日本企業に伝えるという、製品開発に関わる仕事です。それこそ冷蔵庫から食器まで、様々なものを手掛けました。2014年からは当店のマネージャーをしていますが、ここでデザインとマネージメントという、これまで歩んできた2本の道が1本になったような気がしています。

オクソ・タワー内のお店はいつオープンしましたか。

2011年の12月です。現在、私が勤めている日本の会社「ライヴス」は、日本の伝統を現代に伝える事業や、地方の町おこしのお手伝いなどをしており、その手段の一つとして小売店も展開しています。wagumiはそのロンドン支店です。この店がオープンしたときは今よりもう少しギャラリー的要素が強く、一点ものの骨とう品などを扱っていましたが、私が14年に現地採用されマネージャーとして参加してからは、現在のようなクラフト系セレクト・ショップのスタイルになりました。販売に重点を移しつつ、ロンドンではこの店でしか購入できないような、日本の作家・デザイナーものを置くようにしています。

作家や作品はどのように選んでいるのでしょう。

日本人が買いたくなる日本の物というより、「欧州の人から見て光る日本の工芸デザイン」という視点で選んでいます。年に数回、日本で仕入れを行っていますが、今年も江戸切子の職人さんにお会いしたり、去年は山口県の萩の窯元へ行ったりしました。実際に作り手の方にお会いすることで、作品の裏にある物語が分かるので、その魅力をお客様に紹介しやすくなりますね。また、そういった物語が商品に付加価値を与えるといいますか、物語も商品の一部としてお客様にお渡しできるのだと思っています。そうした手仕事ならではの魅力を分かってくださる方が多いですよ。

テムズ川沿いでグローブ座の隣りという場所柄、観光で訪れる人も多いのでは。

そうですね。観光で偶然お店に来て、その後自国へ帰ってからオンラインで商品を購入したり、ロンドンに来るたび、お店に顔を見せてくださる欧州の方もいます。地元の方の場合は、当店がサウスバンク・センターやテート・ギャラリーにも近いので、そういったアート関連の施設に行くついでに川沿いを散歩して寄られることが多いですね。ただ、うちで商品を買ってもらうこともうれしいのですが、最終目標は、日本へ行ってみようかと思ってくださる海外の方を増やすこと。日本の行政関係のパンフレットを置いていますし、質問にもお答えしますので、日本へ行きたい方は当店で情報を得ることもできます。

他企業とのコラボもされているとか。

5月にはロンドンの百貨店セルフリッジズに約2カ月半、wagumiコーナーを設置してもらい、「リチュアルズ(儀式)」と題して日本のダイニング・ウェアを販売したほか、今度、日本野鳥の会のオリジナル商品を欧州で初めて取り扱います。日本の企業が欧州で開催する展示会のお手伝いなどもしており、展示会のフォローアップとしてその商品をwagumiで扱い、テスト・マーケティングの場として利用してもらうということもあります。

 
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