149
21歳の誕生日が特別なのは?

本誌1574号の当連載では「カードを送り合う習慣」というタイトルで、英国では今でも紙製のグリーティング・カードを送り合う習慣が続いていることをお伝えしました。
もちろん、私も英国流に合わせて、家族や友人の誕生日や記念日のカード、お礼状などは郵便で送っています。
今日は、もうすぐ誕生日がやってくる義理の叔母に贈るバースデー・カードを探しに、近くのカード・ショップに出かけました。
この国では「40歳」「50歳」「60歳」など、キリのいい数字のときには年齢入りのカードを贈ることが多いため、お店の陳列棚には、年齢の数字が書かれた誕生日カードをまとめたコーナーがあります。
そこで改めて気づいたのが「21歳」のカードがあることです。
日本では2022年の民法改正により、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、英国でもイングランドとウェールズでは、1970年から18歳が成人年齢とされています。そのため、18歳は「成人」を祝う誕生日として盛大に行われることが多く、「18」の数字が書かれたカードがたくさん売られています。ところがその横に同じくらい多くの「21」のカードが並んでいるのです。
それを見ていたら、20年以上前にロンドンのレストランでアルバイトをしていたとき、同僚の英国人シェフが自分の21歳の誕生日パーティーに招待してくれたことを思い出しました。あるホテルの一室で開催されたパーティーの費用はシェフが自分で貯めたといい、「これで正式に僕は大人だから!」と誇らしげに言っていたのが印象的でした。そのとき、「日本では20歳が成人だけど、英国では21歳なんだ。英国の方が成人年齢が遅いのは意外だな」と思ったことは記憶しています。
この「21歳で成人」は、1969年までの法律。歴史をたどると、中世イングランドまでさかのぼるそうです。ノルマン朝以降、騎士階級の人々は戦時の軍役が課せられていて、政府の報告書によれば、よろいや武器などの重いものを扱う必要があることなど、身体能力が必要とされたため、成人年齢(Age of Majority)が21歳に定められたのではないかとされています。
前述のように、現在の英国では18歳が法的成人年齢とされ、選挙、結婚、アルコール購入などの権利が認められていますが、実は養親(子どもを養子にする)になることや、運送用操縦士免許の取得、大型バイク免許の取得年齢などは21歳からとされています(各種別の条件もありますが)。また法律で保障されている「最低時給」(National Living Wage)の適用も21歳以上とされています。それらを考えると、英国で21歳が成人とされてきた歴史の影響は、まだまだ残っていると言えるのかもしれません。



パン柄トートバック販売中
マクギネス真美






