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大相撲ロンドン場所にて

最近、英国と日本の「愛しき」ギャップを最も感じた出来事といえば、なんといっても10月15日から5日間にわたって、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された大相撲ロンドン場所です。読者の皆さんの中にも、観戦に出かけた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
私は家族、そして英国人の友人二人と一緒に千秋楽の前日に出かけたのですが、「満員御礼」の幕が掲げられた会場は老若男女、子どもからシニアまで年齢層もいろいろで、大変な盛り上がり方でした。
実際の会場での熱気に触れる前から、力士たちが英国入りして以来、ロンドンの観光名所を巡るお相撲さんたちの姿がSNSで拡散され、英国内で「sumo」への関心が一気に高まっていたのは感じていました。1991年以来、34年ぶりとなるロンドンでの大相撲開催は、連日公共放送BBCで生放送され、それも相撲人気を高めるのに大いに役立った気がします。それが証拠に、これまで全く相撲を知らなかった英国の友人や知人から「相撲っておもしろいね」といくつもメッセージをもらいました。
英国にも半裸で二人の選手が戦う、英国発祥とされる近代ボクシングというスポーツがあります。でも、英国の日常生活では見ることのない髷まげを結い、巨大な体格の男性が、細いまわしをまとう以外ほぼ裸に近い姿で戦う相撲とはかなり印象が違います。それにボクシングは体重によってランクが分かれていますが、相撲は体重や階級ごとに分かれて競うというものではありません。体の小さな力士が何十キロも体重が多い相手に取り組むときに、歓声がひときわ大きかったのは、アンダードッグびいきの英国人魂が揺さぶられたのに違いありません。
一緒に行った友人たちは、どちらも以前日本に行ったことがある人たちでしたが、生で相撲を観るのは初めてということで大興奮していました。友人いわく、一つずつの試合が短くてあっという間に決着が付くのがおもしろい。塩をまいたり、四股を踏んだり、一つひとつの動作や儀式が興味深い。レフリー(行司)の衣装がまるでクリスマス・クラッカーのようで楽しいと、英国のスポーツでは見られない儀式的な部分が気に入って、すっかり相撲の魅力にハマったようでした。
英国の人たちにとって相撲を観ることは、普段のスポーツ観戦とはずいぶんギャップがあったはずです。でも、日本人以外の人たちが「うらー」「ほうしょうりゅー」と叫ぶ声が会場に響き渡るのを聞きながら、文化や伝統は違っても、選手を応援する熱い気持ちは万国共通なのを実感しました。来年はパリで開催とのことですが、次のロンドン場所が今から楽しみです。



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マクギネス真美






