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Thu, 01 December 2022
30 November 2022 vol.1616

増税と歳出削減で9兆円、財政引き締めに転換
中期計画を発表

中期財政計画を発表したジェレミー・ハント財務相(写真中央)
中期財政計画を発表したジェレミー・ハント財務相(写真中央)

(ロンドン 11月17日 時事)スナク政権は11月17日、経済政策の柱となる中期財政計画を発表した。景気の下支えより物価高の抑制や財政健全化を優先し、総額年550億ポンド(約9兆円)規模の増税と歳出削減策を盛り込んだ。トラス前政権が大型減税案で市場を混乱させ、厳しい批判を受けたことを踏まえ、財政引き締めに転換した。

ハント財務相は下院で演説し、「英経済は景気後退に入った」と厳しい現状認識を表明。一方で「財源の裏付けのない減税や支出にはリスクがある」と語り、財政拡大政策を取らない考えを強調した。

計画によると、原油や天然ガスの値上がりで巨額の利益を得ているエネルギー関連企業の法人税を増やすほか、高額所得者や金融所得への課税も強化。電気自動車(EV)に新たに課税することなども盛り込み、2027年度までに約250億ポンド(約4兆円)の増税を見込む。歳出面では、業務の効率化などを通じ、約300億ポンド(約5兆円)の大幅削減を目指す。ロシアによるウクライナ侵攻の影響でエネルギーや食料の価格が高騰し、英国の10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比11%を突破。7~9月期の実質GDP(国内総生産)は6四半期ぶりにマイナス成長に転落した。インフレと景気後退が同時に進むスタグフレーションに陥り、極めて難しい経済運営を迫られている。

スナク首相就任1カ月、くすぶる不満

(ロンドン 11月26日 時事)経済失策で退陣したトラス氏の後任として、スナク氏が首相に就任してから11月25日で1カ月となった。減税策の迷走で混乱極まった前政権と比べ、スナク氏の政権運営はおおかた安定しており、出だしは順調と言える。ただ、物価高や光熱費高騰に苦しむ国民の不満はくすぶり続けており、政権批判に発展する可能性もある。

今のところ首相への声高な批判は聞こえてこない。与党保守党は前政権下の10月、支持率で最大野党・労働党に一時30ポイント以上の差をつけられたが、今月下旬には20ポイント台前半まで縮小した。ただ、英国は歴史的な水準のインフレに直面し、国民の生活は苦しくなる一方。賃上げを求める公共交通機関の職員や看護師らのストも相次いでいる。大規模ストが続いた1970年代後半の「不満の冬」再来とも言われるなか、人々の怒りの矛先がいつ政権に向けられるとも限らず、首相は難しいかじ取りを迫られそうだ。

 
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