instagram Facebook ツイッター
ロンドン生活便利サイト neconote
Sat, 25 January 2020

職場年金の再自動加入制度について

2012年10月から施行開始された自動加入年金制度はほとんどの企業に定着しているようで、雇用者・被雇用者とも職場年金に慣れてきたと思います。もう一つ留意すべき法制は再自動加入制度(Automatic Re-Enrolment)です。今回はこの法制についてご説明いたします。

そもそも自動加入年金制度とは何ですか。

自動加入年金制度(Automatic Enrolment=A.E.)は職場年金に関する法律で、雇用者は各々の年金制度を設定し、一定の条件を満たしている社員を自動的に加入させなければなりません。一定の条件とは社員が、①英国居住者、②22歳以上で国民年金受給年齢未満、③月収833ポンド超であることです。またほとんどの場合雇用者・社員ともに拠出金を払うことになります。当法制の施行日(Staging Date)は企業ごとに割り当てられています。

拠出金はいくら払わなけばならないのですか。

英国で広範に利用されている確定拠出型年金(日本の401k年金に類似)に関しては法制最低拠出金が下記のように設定されています。留意点は法制最低金額は雇用者と合計額にのみ設けられているということで、もし現在、雇用者が8%拠出しているなら社員は拠出する必要はありません。雇用者が3%拠出しているのであれば、合計が8%でなければならないので、必然的に社員が5%を払うことになります。言い換えると、社員が5%払わなければ年金は継続されず、雇用者も3%払わなくてよいことになります。

A.E. 法制最低拠出金:給与に対する%

雇用者 被雇用者 Total
~2018年4月5日 1%〜 (1%) 2%
2018年4月6日~
2019年4月5日
2%〜 (3%) 5%
2019年4月6日~ 3%〜 (5%) 8%

*Qualifying earnings or certification set 2 base

社員は嫌でも加入しなければならなく、雇用者も社員も強制的に年金を払うということですね。

いえ、社員は一度加入してからであれば年金脱退(Opt-out)ができます。社員が拠出をしなければ法制に充当する合計拠出金を満たせないので、雇用者も支払いを停止することになります。Opt-out期間は加入から1カ月内で、支払った拠出金は社員と雇用者に返金されます。その1カ月を過ぎてからでも拠出金は停止できますが、蓄積された年金基金は返金されずそのまま定年まで運用されます。

TPR年金規制機構(The Pensions Regulator)より再加入(Re-Enrolment)に関するレターを受け取りましたが、これは何ですか。

雇用者は自動加入制度施行日から3年ごとに、年金に加入していない社員を(一定の条件を満たしていれば)再度自動加入させなければなりません。これを再自動加入制度といいます。一度加入したけれども、年金から脱退したり、途中で支払いを停止した社員が対象となります。

弊社の施行日から3年目は決算時期で多忙なのですが、この日でなければいけませんか。

いいえ、3年目を挟んだ3カ月前と3カ月後の6カ月の間から、雇用者が再加入日を選択できます。この6カ月以内ならいつでも構いません。

再加入期間について(例)

再加入期間について(例)

一度Opt-outしたのですが、ではまた自動的に加入することになりますか。

はい。無論、加入後に以前と同様の手続きをすればOpt-outはできます。無駄なことのようですが、長い人生の間に個人的・金銭的環境は変化するので、今加入する意思がなくても、将来、特に年齢が増したり、所得が増えて金銭的余裕ができたりすると加入したくなるかもしれません。したがって、自動加入年金制度は3年ごとに年金加入する機会を提供しているともいえると思います。なお、3年後の再自動加入を待たずとも、Opt-outした社員は本人の希望で再加入することもできます。これをOpt-inといい、Opt-outしてから12カ月後以降であれば、会社はその希望を受け入れる義務があります。

2カ月前に脱退した社員がいます。この社員もまた再加入させるのでしょうか。

いいえ、Re-enrolment日から12カ月以内にOpt Outした社員は対象外です。その社員は3年後の再自動加入日にまだ年金に入っていなければ、その際に再自動対象となります。

弊社は全社員年金に加入していますので、何もする必要はないですよね。

再度自動加入させる必要はもちろんありませんが、雇用者はTPRに再加入手続きを完了したと申請する義務があります。法令遵守の再告知(Re-Declaration of Compliance)といい、会社の登録番号などの詳細、利用している年金の情報、社員数や年金に加入している人数などの情報を告知し申請をします。ファイナンシャル・アドバイザーなどの代理人が遂行することもできます。この告知により今回の自動再加入手続きは完了となります。前述のレターに記載されていると思いますが、この手続きは自動加入制度施行日の3年目から5カ月以内に行わなければなりません。

※運用タイプの年金価値は上下に変動し元本割れする可能性があります。受け取り年金は年金基金金額、受け取り時の金利や税制により左右されます。自動加入に関する助言はFCAに規制されていません。

※次回のマネー教室は2020年2月20日号に掲載致します。本コラムのバックナンバーにつきましては、英国ニュースダイジェストのウェブサイト(www.news-digest.co.uk)をご参照ください。

※当コラムは2019年12月時点の法制と税制に基づき一般的なガイダンスのために作成されており、皆様のご理解を深めるために内容を簡素化してある場合もあります。専門家の助言なしに記載情報にのみ基づき行動することはお控えください。その場合、筆者は一切責任を負いません。

 
  • Facebook

和枝ドゥルーリー APFS© 和枝ドゥルーリー APFS
日本人ファイナンシャルアドバイザー(CFP)。十数年間の米英系投資銀行勤務を経て、FAとして独立。日英両方の資格を有する。大手独立系FA会社に所属。
E-mail: info@kazuedrury-ifa.co.uk
Web: www.kazuedrury-ifa.co.uk

お金に関する質問受付中!
このコラムで取り上げて欲しいトピックやご質問などを随時受け付けています。ご要望などがありましたら、editorial@news-digest.co.uk までどしどしお寄せください。
※ 件名に「マネー教室」とご記載ください。
※ 郵送でも受け付けております。編集部宛にお送りください。


治験参加者募集エイチエムアール バナー
2020年 カレンダー販売
キャリアコネクションズ ゲンダイ・ゲストハウス
バナー バナー

ロンドン・レストランガイド ブログ