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Fri, 13 December 2019

第159回 英国紳士のスーツと門番

突然、うれしいニュースが日本大使館から届きました。「日英文化交流の相互理解に貢献しているので在外公館長の表彰をします」と。寅七はこれまで健康優良児として褒められたことはありましたが、公的な表彰には一切縁がなく、その対応に戸惑いました。そもそも式典に着て行く礼服がありません。式典は昼間に行われますのでモーニングコートが良いと聞きましたが「朝のコート?」一体、それはどんな服なのでしょう。

モーニングコートモーニングコート

モーニングコートは18世紀の英国で発祥したそうです。その原点は毎朝、領主が広い敷地を見回った後、そのまま宮廷に上がれるよう工夫された乗馬服。眠い朝は誰もが猫背になりがちですが、馬は姿勢の悪い人間を乗せるのが大嫌いとか。近づいて来る人を馬はとても良く観察しています。そこで長いコートの前の部分だけ切り取りました。すると姿勢が真っすぐに見えて、馬が上機嫌になるだけでなく乗り降りもしやすくなりました。

乗馬は姿勢正しく乗馬は姿勢正しく

そもそも英国の乗馬服からはモーニングコートだけでなく軍服や燕尾服、スーツも派生し、欧米の服飾に大きな影響を与えました。スーツの後ろにある切れ込み(ベント)や斜めの角度のスラント・ポケット、右上段のチェンジ・ポケットは乗馬服の名残です。また、ビジネスで定番の3ピース・スーツ(上着、ヴェスト、長ズボン)は1666年10月7日に馬をこよなく愛したチャールズ2世が衣服改革宣言を発して誕生したというのが定説です。

スーツも各国で違いがあるスーツも各国で違いがある

この宣言はとても意外でした。と言いますのも、それまでチャールズ2世はレースや刺繍を過剰に使ったフランスの華美なファッションに身を包み、贅沢三昧だったからです。でも1664年の対オランダ戦争、1665年にロンドン・ペスト、1666年のロンドン大火と災難が続き、財政が逼迫(ひっぱく)。自らの姿勢を改め倹約を心掛け、実用に長けた服装をすると宣言しました。これが英国紳士の伝統である倹約と質実剛健の精神の始まりになったと言われます。乗馬服は姿勢を正し、良き姿勢は人生を正す。

大使公邸街の入口大使公邸街の入口

そうか姿勢が第一ならばと、モーニングコートではありませんが、寅七は英国の伝統スーツで式典会場の大使公邸に出掛けました。門番にアポがあることを伝えると「公邸は進行方向右手、君の足なら1分12秒」と言われました。この門番は訪問者の服装や姿勢を見て歩行速度を計算するという、馬に負けない観察力の持ち主です。さて肝心の式典は滞りなく終了。寅七の活躍は皆様のご声援あっての賜物です。深く御礼申し上げます。

在外公館長表彰の賞状在外公館長表彰の賞状

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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