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Mon, 09 December 2024

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第42回 状況に応じて柔軟に
~建築物の撮影~

今回は、建築物の撮影に焦点を絞ってみましょう。

例に挙げた写真1、2は、セント・ポール大聖堂を、建物前広場の同じ位置から2種類のレンズを使って撮影したものです。写真1では28ミリレンズを、写真2では17ミリレンズを使用しています。ともに広角レンズと呼ばれ、ミリ数が小さくなればなるほど被写体の広範囲を写し込むことが可能です。

写真1では、建物と撮影者の位置が近すぎるため、コンパクト・カメラによく使われている画角の広角レンズ(28ミリ)を使用しても、建物の全体像が写せていません。しかし、写真2で用いた超広角レンズ(17ミリ)なら、同じ場所からでも外観すべてを写し込むことが可能です。ただしレンズの性質上、遠近感が誇張されることから、建物は台形状のフォルムになり、大聖堂のそばにある他の建物は斜め前方に向かって立っているかのようです。被写体によっては画面の端が湾曲したように写ることもあります。

建物全体を写し込むのに、超広角レンズが不可欠ということはありません。建物から離れた場所で全体を見渡せるスポットを探してみましょう。

写真3は、写真1、2の撮影場所から離れ、全体像が見える場所から撮影しました。使用したのは50ミリの標準レンズです。ここまで距離をとると、建物前の広場からは見えなかった大聖堂のドーム部分も確認できます。そして、写真2のように建物の直線が湾曲することもなく、真っすぐに写ります。しかし、どうしても左右の建物が大きく入り込んできますので、カメラ位置を縦にし、余計な要素を取り除いたのが写真4です。

建築物の撮影には広角レンズが必要だと思われがちですが、状況に応じて柔軟に、使用するレンズを吟味してみてください。意外なレンズで、思い描いた通りの写真が撮れるかもしれません。


(写真1)
28ミリのレンズを使用。広角レンズを使用しているが、
撮影者と被写体が近いために全体像が入り切らない


(写真2)
1と同じ場所から17ミリの超広角レンズを使用。全体像は
入るが、レンズの性質上、遠近感が強調され、垂直線が歪む


(写真3)
50ミリの標準レンズで撮影。距離をとることで広角レンズを
使わなくても全体像を写せたが、左右の建物が画面に占める
割合も大きくなった


(写真4)
左右の建物をトリミングするため、画面を縦に
フレーミングして撮影。離れたおかげで、
写真3、4では大聖堂のドーム部分も写り込んでいる

 

前川 紀子: 滋賀県出身、1998年よりフリーランスに。以後フード専門カメラマンとして食の専門誌やレシピ本を中心に仕事をする。2007年に渡英、08年よりロンドン在住。
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