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日経電子版Pro
Wed, 27 January 2021

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして17年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。日本での雑誌編集を経て2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して

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クラス分けのある郵便切手

クラス分けのある郵便切手

飛行機のファースト・クラスといえば、最上級のおもてなしを受けられるラグジュアリーな客席です。そんな特別扱いのファースト・クラスが、英国では郵便切手にまであります。というのも、ここでは切手にクラス分けがあるのです。飛行機のファースト・クラス、エコノミー・クラスという分け方ではありません。あるのはファースト・クラスとセカンド・クラスです。

渡英後すぐのころは、郵便を出すといっても相手は日本にいる家族や友人のみ。なので、国内用の郵便切手を買う機会はありませんでした。でも、あるとき下宿先のランドレディーと話していると、ダイニング・テーブルの上に何通かの郵便が置いてあるのに気が付きました。そこに貼られた切手は日本のように値段が書かれているのではなく、「1st」「2nd」と記されていました。不思議がる私に、ランドレディーは「翌日届けたい手紙はファースト・クラス、2、3日かかっても大丈夫ならセカンド・クラスで出したらいい。セカンドのほうが安いからね」と教えてくれました。

置き換えて考えると、ファースト・クラスは日本の速達扱い。セカンド・クラスが普通郵便にあたる感じでしょうか。ちなみに今年の3月に切手代が値上がりし、現在はファースト・クラスが76ペンス(約102円)、セカンド・クラスが65ペンス(約87円)となっています。

EメールやSNSの利用が主流になり、郵送代の値上がりもあって、英国でも手紙を送る数は減っていると言われます。それでもまだまだ無くなりそうにないのはクリスマス・カードを送る習慣。今年もすでに郵便局ではクリスマス・カードをクリスマスまでに確実に届けるための投函締め切り日が発表されていますが、そこにもちゃんと、ファースト・クラスなら12月21日まで、セカンド・クラスなら18日まで、とクラス別の日程が出ています。

「私はいつもクリスマス・カードはセカンド・クラスで送るの。そうすれば投函の期日が早いから、それまでに間に合わせようと、早めにクリスマスの準備ができるでしょ」と何事にも計画性のある友人のアリソンが以前そう言っていましたっけ。


ところで英国といえば、さまざまなものを世界で最初に発明したことで知られますが、郵便切手もその一つです。以前、ロンドンにあるザ・ポスタル・ミュージアム(英国郵便博物館)を取材したことがありますが、そこには、1840年に発行された「ペニー・ブラック」という世界初の切手が展示されていました。切手がファースト・クラスとセカンド・クラスに分かれたのは1968年から。180年ある切手の歴史からみると、このシステムは意外に新しいものと言えそうです。

 
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