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Fri, 08 November 2024

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして20年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


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血液型なんて知らない!?

血液型なんて知らない!?

「ねぇ、マミィ、私の血液型って何?」。

学校から帰ってきた娘が、突然質問してきました。

「えっ。どうしてそんなこと聞くの?」。セカンダリー(中学生)になるまで、1度も聞かれたことがなかったので、逆に私が聞き返してしまいました。娘によれば、その日、学校でHPVワクチンの接種があり、人によって出血したりしなかったりということがあったので、友人たちの間で、血液型の話題になったそうです。

「実はね、マミィも知らないの」と答えると、娘はがっかりする様子もなく「やっぱり!」と言いました。というのも、友人たちの間でも、知っている人は1人もいなかったそうなのです。

「マミィは自分の血液型を知っているの?」と娘がさらに聞くので、私は自分の血液型を伝え、日本では血液型占いや血液型で性格診断をするほどで、血液型は誰もが知っていると説明しました。娘が興味深げに、どうやって私が自分の血液型を知ったのかと質問してくるので、昔の記憶をたどってみました。私が小学校のころ、1975年にTBS系列で放送された山口百恵さんが主役のテレビ・ドラマ「赤い疑惑」という番組がありました。その中で、白血病になった百恵さんの血液型がRHマイナスのAB型。それは、両親からは生まれるはずのない血液型だということで、自分が両親の本当の子どもではないことを知る、というエピソードがありました。当時小学生だった私は、それを見て不安に思い、母に自分と両親の血液型を聞いて、血液型で見る限り自分は本当の子どもに違いないと安心したのでした。


ともあれ、血液型については以前、夫とも話したことがありました。そのとき、夫は自分の血液型を知らないと言い、さらには英国では知っている人の方が少ないはずだ、と衝撃的な発言をしたのです。

「でも、病院で輸血が必要なことがあるかもしれないよね?」そういう私に、「病院で輸血するのなら、どっちにしても検査をするに決まっているから、病人が自分で血液型を申告する必要はないんじゃない?」と、考えてみればもっともな答え。いずれにしても、英国では日本のように血液型で性格を決めつけることがないのは事実です。

今回、娘に聞かれたのをきっかけに、レッド・ブックと呼ばれる英国の母子手帳のような記録ノートを確認してみました。双子が生まれたときの体重や身長、頭囲などの記録はあっても、血液型の記載はやはりありませんでした。子どもたちの血液型を知らないのは申し訳ないような気もしますが、義母も夫の血液型を知らないと言っていたので、娘にはこれが英国流と納得してもらうしかなさそうです。

 


マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。音声メディアVoicyパーソナリティー。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して
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