麻生副総理兼財務相の「ナチス発言」
Enter Taro Aso and the Nazis
麻生太郎とナチス
「フィナンシャル・タイムズ」紙 8月1日
歴史的に高い支持率、好景気に沸く株式市場、6年ぶりに実現したねじれ国会の解消と、安倍首相と彼が率いる連立政権を取り囲む好況を台無しにする方法を考え付くには、邪悪と言えるまでの想像力を要するだろう。そこで、麻生太郎とナチスの出番である。彼はまず「欧州で最も進んだ憲法」であると考えるワイマール憲法でもナチス政権の誕生を阻止することはできなかったと述べた。この発言自体は無害であったが、やがて事態はおかしなことになる。何と彼はナチスの狡猾さを称え出し、さらなる懸念材料を敵に提供したのである。
Constitutional reform à la Hitler?
「ヒトラー方式で改憲」ということか
「ガーディアン」紙 8月2日
どうやら「ヒトラー方式で改憲」というのが麻生氏の主張であるようだ。現在の日中間に横たわる政治的緊張は戦前ほどのものではないが、共通点が存在する。だが、今のアジアには尖閣諸島にまつわる紛争などの問題を解決する機関はない。日中戦争は、イデオロギーで激しく対立していた両国が些細な出来事をきっかけにして突入するに至ったものだった。現代の政治家は同じ間違いを犯さないよう細心の注意を払わなければならない。麻生氏が行ったような発言は、アジア太平洋地域の安定を実現する上で全く役に立たない。