#56園芸家たちが愛してやまないジョウロ
英国のホームセンターや園芸店を訪れると、必ずといっていいほど目にする特徴的な長く伸びた注ぎ口。ガーデニング愛好家の間で「水やりのロールス・ロイス」と称えられるのが、創業140年を迎えた老舗、ホーズ社のジョウロだ。
ブランドの創業者ジョン・ホーズ氏は、もともと英領モーリシャスでプランテーションの経営に携わっていた人物だった。そこでホーズ氏を悩ませていたのが、当時のジョウロの使い勝手の悪さだ。水を入れると重心が不安定になり、持ち運びも水やりも一苦労。その不便さを解消すべく、ホーズ氏は帰国後に試行錯誤を重ね、一つの革新的な設計にたどり着いた。1886年に特許を取得したそのデザインは、満水時でも水が減った状態でも常に持ち手の位置でバランスが取れるという、計算し尽くされたものだった。その設計は、現在に至るまで基本構造がほとんど変わっていない。
当初の工房はロンドン東部のクラプトンにあったが、後に郊外のビショップス・ストートフォードの工場へ移転。熟練職人による丁寧なものづくりで評価を確立した。とくに散水口(ローズ)の精度へのこだわりは有名で、穴の大きさや配置を手作業で仕上げるなど、品質最優先の姿勢がブランドの信頼を支えてきた。戦争や経営危機を経て一時は活動が途絶えたものの、1982年以降はペノック家によって再建され、現在に至るまで英国での製造を継続、現代のライフスタイルに合った製品を展開している。
ホーズ社といえば、英国らしいグリーンのメタル製ジョウロが象徴的だが、今回紹介するのは、よりコンパクトで室内向けの商品。プラスチック製の6色展開で、容量は1パイント(約568ml)と小ぶりながら、細長い注ぎ口によって狙った場所に正確に水を注ぐことができるこぼれにくい設計が特徴だ。取り外し可能な極細スプレーのローズが付属し、苗や観葉植物、限られたスペースでの水やりにも適している。バランスが良く、扱いやすさはオリジナルのデザインそのまま。園芸道具としての機能性はもちろん、日常の中に自然に溶け込むシンプルな佇まいも魅力だ。



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