第195回
FRS102における棚卸資産: 原則、実務、落とし穴
棚卸資産は、FRS102では「販売目的で保有する商品、製造中の商品、または製造工程やサービス提供で消費する商品」と定義され、多くの企業の貸借対照表において重要な要素です。
棚卸資産はどのように評価しますか。
FRS102では、見積売価から完成費用と販売費用を控除した額(正味実現可能価額 NRV=Net Realisable Value)と取得原価のいずれか低い額で棚卸資産を評価すると規定しています。この原則により、棚卸資産が販売または使用によって得られることが見込まれる経済的便益を上回る金額で計上されることを防ぎます。
FRS102では取得原価をどのように計算しますか。
棚卸資産の取得原価には、その資産を現在の場所および状態に至るまでに発生したすべての支出を含める必要があります。通常、取引割引を差し引いた購入価格、輸入関税および回収不可能な税金、輸送費、取扱費、その他の直接的に帰属が可能な費用、直接労務費と固定および変動の製造間接費の体系的な配分を含む加工費が含まれます。
取得原価の配分にはどのような方法が認められていますか。
棚卸資産が代替可能な場合、FRS102では先入先出法(FIFO)および加重平均原価法が認められています。一方、後入先出法(LIFO)は認められていません。
正味実現可能価額(NRV)はどのように評価しますか。
正味実現可能価額(NRV)とは、通常の事業において見積売価から完成費用と販売費用を差し引いた金額です。評価にあたっては、市場の状況、陳腐化、損傷や劣化、需要の変化を考慮する必要があります。NRVが取得原価を下回る場合、棚卸資産の評価損を計上する必要があります。この損失は、発生した期間の損益計算書に計上します。
FRS102では、状況が変わりNRVが増加した場合には、過去の評価損を戻入する必要がありますが、その金額は当初の評価損の金額が上限となります。
どのような開示が必要ですか。
企業は、棚卸資産の評価に採用した会計方針(使用した取得原価の計算方法を含む)、棚卸資産の帳簿価額の合計および分類別の内訳(例:原材料、仕掛品、完成品)、損益計算書に計上または戻し入れた減損損失、および負債の担保として差し入れた棚卸資産の帳簿価額の総額を開示する必要があります。
棚卸資産でよくある落とし穴は何ですか。
頻繁に発生する問題には、間接費配分の誤り、陳腐化在庫の見落とし、NRVの誤算、カットオフ(会計期間の区切り)の誤りがあります。
こうした落とし穴を企業はどのようにして回避できますか。
NRVを定期的に見直したり、適切な棚卸の手続きを実施し、正確な数量を把握したりしてカットオフが正しく処理されるようにします。また、陳腐化を監視(在庫滞留報告を実行し、動きの遅い在庫を特定)することも重要です。
FRS102における棚卸資産は、評価の原則と開示の要件に十分な注意が必要です。よく見られる問題の原因で多いのは、不十分なNRVの評価、間接費の不適切な配分、脆弱な内部統制です。厳格な手続きと定期的な見直しを実施することで、企業はコンプライアンスを確保し、誤った表示を回避できます。
*この記事は一般的な情報を提供する目的で作成されています。更なる情報をお求めの場合は、別途下記までご相談ください。
イアン・ロウ 監査・会計 パートナー 長年にわたり、さまざまな業種・規模のビジネスで、豊富な経験を積む。意思決定プロセスにおいて必要不可欠な存在として多くのクライアントから絶大な信頼を得ている。



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