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Thu, 28 March 2024

入退去時のトラブルを防ぐコツ
インベントリー・チェック
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日本での引越しは、何もない空の部屋へ引越す、つまり家具や備品などを自分で持ち込むことを意味していますが、英国の住宅ではすでに家具が備え付けられているケースが多いです。家具付きの部屋を「ファーニッシュト」(Furnished)、何もない部屋を「アンファーニッシュト」(Unfurnished)と呼び分けています。備え付けの家具などの備品や建物のコンディションを記したのが「インベントリー・リスト」です。内容は、家具の有無など基本的なことから、窓枠の腐食やテーブルの焦げなど多岐にわたり、庭がある場合はその詳細も含まれます。このリストと照らし合わせながら備品の確認を行う作業が「インベントリー・チェック」です。

必要に応じて備品補充やリスト修正

インベントリー・リストは、入居時に手渡されるか、あるいは後日郵送され、退出時にはそれを基に大家または不動産会社と一緒にインベントリー・チェックを行います。このときインベントリー・リストに記されたとおりに原状回復がなされていないと判断された場合には、敷金から修理費が引かれてしまうことになります。このため、入居時にもらったインベントリー・リストの記述と実態が異なる場合は、備品の補充や修復をしなければなりません。家具の元の位置や、壁や窓などの破損状態を記録する場合は、入居時にカメラで日付入りの写真を撮影しておくのが良いでしょう。

確認すべきエリア

  • 壁・床: 表面のシミ、キズ、ヒビ、へこみ、釘の痕、カビなど
  • 窓: 古いシーリング材、剥げたペンキ、窓ガラスのヒビ、窓枠の腐食やカビ
  • 家具: ソファや椅子のクッション露出、極端なへこみ、机やテーブル上の焦げやシミ、グラグラした椅子の足
  • キャビネット・ワードローブ: 変形、ドアの開閉、蝶番
  • カーペット・カーテン: シミ、煙草の跡、布地の極端な劣化、変色
  • 電気器具: 壊れていないか、ソケット、ヒューズ、 照明のスイッチ
  • ガス器具: 壊れていないか、安全か
  • 水道: 全ての蛇口から水が出るか、水漏れ、水の質(色など)、排水はスムーズか、ライムスケールやサビ
  • セントラル・ヒーティング・給湯: 問題なく作動するかカビ、古びたグラウト材
  • 流し台・風呂桶: ヒビやタイルの欠け、カビ、古びたグラウト材
  • ドアや窓の鍵: 蝶番、ドア・ストッパー、施錠がスムーズか
  • 外壁: ヒビ、漆喰の欠損や分離
  • 屋根: 瓦やタイルの欠け、変形、梁の腐食
  • 雨どい: 詰まり、腐食、穴など

意外と大きな出費になりうる
カウンシル・タックス
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住む地域や建物により支払う金額が異なる

カウンシル・タックスとは、日本で言う地方税のこと。家賃や光熱費など住宅にまつわる定期的な出費の一つです。料金は地域によって異なり、ロンドンは32のカウンシル(区)とシティ・オブ・ロンドンがありますが、それぞれで独自に金額を設定しています。自分のカウンシルがどこに該当するかは、ここから確認できます

また、カウンシル・タックスは地域による括りだけでなく、住宅の資産価値によってさらに細分化される点も留意すべきポイントです。建物はバンドA~Hと8段階評価となっていますが、自分の住まいがどのバンドに相当するかも各カウンシルのサイトで調べることができます。

さて、このタックスは全ての貸借人が支払わなければいけないのでしょうか。答えはノーで、フルタイムの学生は無料、単身者は25パーセントの割引が適用されるなど、意外と柔軟なシステムです。しかし規定がいろいろと細かいため、カウンシル・タックスの料金について不安な点がある場合は、住宅を管轄しているカウンシルに直接問い合わせするのが安心です。

選べる支払い方法

注意したいのは、カウンシル・タックスが住宅の賃貸契約時に大家が提示した家賃に含まれていない可能性があり、その場合は各自でカウンシルに支払わなければならない点です。代表的なものだと、カウンシルのサイトにある「ペイメント」のページで行うオンラインによる支払い、ダイレクト・デビットで月々の自動引き落とし、ガソリンスタンドなどの指定のペイポイントや電話による支払いなどがあります。

硬水ならではの悩み
英国の水事情
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ライムスケールにご注意

英国に住んでいると、お風呂場やキッチンなどの水回りに生じる白い水垢(ライムスケール)が避けては通れない問題になります。その原因となるのが、水に含まれるカルシウムとマグネシウム。英国の水道水にはこれらの成分が多く含まれるため硬水に分類されていますが、それゆえに水回りには白い水垢が残り、放っておくと石灰状になってしまいます。そうなったらこびりついた水垢を取るのは至難の業。

ライムスケールにご注意

電気ケトルに残った水垢を取るには、市販されている専用の洗剤を使用するか、洗剤を使いたくない方はお酢でも代用可能。電気ケトルの中にお酢を入れて一晩置いておくと翌日には水垢がきれいに取れ、中がピカピカに。それでも残った頑固な水垢は軽くこすって、3分程置き、また強くこすることで除去が可能です。

バスルームのタイルやガラスの表面は、先が柔らかいゴムのワイパーで水滴を取るなどして、水垢を防ぐことが大切です。蛇口やそのハンドルなどの拭き取りにくいところは、市販の専用スプレーをかけると、水の成分が分解され水垢が残りません。このスプレーは、水垢を取るのではなく、防ぐためのものです。

基本的に排水口も細いため、市販の排水口クリーナーを使って月に1度は掃除することで、詰まりなどのトラブルを防止しましょう。同様に、洗濯機や食洗機の清掃も月に1度は掃除するのがお勧めです。食洗機用には、水を軟水に変えてくれる専用ソルト(塩)もあり、これを使用することで使用後に水垢が残らなくなります。

水垢を取り除き、予防もできるヴィアカル・ライムスケール・スプレー(左)/ 排水溝の詰まりを取るミスター・マッスル・ドレイン・ジェル(右)水垢を取り除き、予防もできるヴィアカル・ライムスケール・スプレー(左)/ 排水溝の詰まりを取るミスター・マッスル・ドレイン・ジェル(右)

2022年4月から大幅に引き上げ
公共料金
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懸念されるエネルギー・ビルズの上昇

英国では、電気、ガス、水道などの公共料金をユティリティー・ビルズ(Utility bills)と呼びます。なかでも、電気やガスに当たるエネルギー・ビルズ(Energy bills)の価格がここ数年で著しく上昇しています。2020年の冬、欧州全体が大寒波に見舞われ、貯蔵されていたガスの供給量が大幅に減り、21年には年間を通して世界的なガス価格の高騰化が起こりました。ガス卸供給のコストが長期間にわたり跳ね上がり続けたため、2021年は20を超える小規模のエネルギー会社が次々と倒産しました。また、ロシアのウクライナ侵攻により、ロシアからのガス供給の減少も懸念されています。

英国では各エネルギー会社が独自の価格設定で過度の利益を上げないようにするための「価格設定の上限」が設けられています。これにより公正なエネルギー価格が守られているわけですが、2023年2月、エネルギー部門の規制機関「オフジェム」(Ofgem)は、エネルギーに対する年間の小売価格の上限を現在の設定から20パーセントも引き上げる旨を発表しました。これにより、2500ポンドの一般家庭の年間の光熱費が、今年の4月から3000ポンドに引き上げられます。

料金をより抑える方法

家計に大きな打撃を与えるであろうこの事態に対し、Ofgemは以下のような支援やアドバイスを提示しています。

  • エネルギー消費量が上がる冬場の支払いに割引スキームや助成金を利用する。スキームにはボイラーの無料チェックなどが含まれており、うまく作動していないと判断されればボイラーのアップグレードができることもある
  • 市民アドバイス消費者サービス(The Citizens Advice consumer service)のウェブチャット(www.citizensadvice.org.uk/consumer/get-more-help/if-you-need-more-help-about-a-consumer-issue/chat-with-us-online-about-an-energy-problem)や電話(0808 223 1133)で相談する

このほかにも、小さなことから始められる節約方法は以下のようなものがあります。

  • 一部の企業では郵送による請求書の送付を有料にしているため、オンラインで請求書を管理する
  • 請求書を受け取ってからの支払いを自動引き落しに切り替える
  • 正確な電気使用料を把握するため、スマートメーターを導入する
  • 洗濯機や食洗機など、エネルギー消費の高い家電を省エネ・モデルのものに切り替える
  • 燃費の悪い古いボイラーを新しいものに交換する
  • お湯や水のむだ使いを防ぐため、節水機能が付いたシャワー・ヘッドに取り替える


 
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