大学生のためのスピーチ・コンテストが開催
優勝者のスピーチ内容は「日本の若者の政治的無関心」
授賞式後の写真撮影でポーズを決める本選出場者たち
2014年3月1日、ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)において、大学生のための日本語スピーチ・コンテスト(英国日本語教育学会、国際交流基金主催)の本選が開催された。
英国及びアイルランドの高等教育機関で日本語を学習する学生が、日本語でのスピーチを披露し、その内容や日本語能力を競うこの大会の開催は、今年で第9回目を迎えた。
上級者がそろったスピーチ・カテゴリーでは、「日本の若者の政治的無関心」と題したスピーチを行ったSOASのジュリア・スラーチェさんが優勝を果たした。スラーチェさんは、日本への留学時に同級生らに安倍政権に対する見解を尋ねた際に何度も話をそらされたという経験を披露。若者たちが政治的な関心を示さないために日本の政治家は年齢層の高い人々に向けた政策を掲げるようになり、若者の政治離れがさらに加速するという悪循環に陥る可能性を指摘した上で、投票年齢の引き下げや、若者が頻繁に利用するインターネットやソーシャル・メディアの選挙での有効利用を訴えた。
同カテゴリーの2位は、リーズ大学のジェイソン・ピーター・フェルナンデスさん。日本の若者たちが恋愛に対して消極的な考え方を持つのはなぜかという問いへの答えを探るため、日本人の友人を対象に調査を実施。その結果に基づき、多くの人が仕事や経済的な安定を優先するために恋愛の重要性が相対的に低くなっているのではないかという仮説を立てた後で、多くの事柄は恋愛と両立できるはずとの見解を披露した。また3位には、外国人をも寛容に受け入れる交流の場としての機能を持つ日本のゲーム・センターについて語ったSOASのエレン・ミッチェルさんが輝いた。
初級修了レベルの日本語学習者を対象とした個人プレゼンテーションのカテゴリーの1位は、かつて通学していた名門ケンブリッジ大学にまつわるユニークな逸話を紹介したキングス・カレッジ・ロンドンのゲン・ネン・ホーさん。2位は出身国であるルーマニアで生まれたとされる吸血鬼ドラキュラにまつわる伝説について詳細に論じたニューカッスル大学のラウラ・オンチュさんだった。
① 賞品の日本行き航空券を使って九州を訪れてみたいと
語ったジュリア・スラーチェさん
② 恋愛への消極的な姿勢の理由を探るため、日本人の友人20名に
調査を行ったというジェイソン・ピーター・フェルナンデスさん
③「寛容な能力主義社会としての日本のゲーム・センター」と題して
ユニークな考察を披露したエレン・ミッチェルさん
④ 賞金の使い道を尋ねられて「先生や同級生を誘って
日本食を食べに行く」と答えたゲン・ネン・ホーさん
⑤ ドラキュラの物語やその舞台についての
詳細な説明を行ったラウラ・オンチュさん