欧州に新風!史上最年少&新党結成から1年
フランスの新大統領は
エマニュエル・マクロン氏
ドイツ市民の声
今回のフランス大統領選の結果については特別な驚きや落胆はありませんでしたが、ドイツ・メディアが言っているように素晴らしい結果でもないと思います。もちろん、右派のルペン氏が選ばれなかったことにはホッとしていますが、正直なところマクロン氏に対しては若くてメディアの扱いになれている印象を受けたので、経済団体の操り人形のようなイメージもあり、不安が残ります。
マクロン氏がEU賛成派であることは喜ばしいことですし、私自身もEUの役割や今後の政策を信じていますが、ブレグジットでも明らかになったように経済関係を立て直すだけでは国家主義から抜け出すことは難しいので、EUに加入している国々で共有できるアイデンティティーを作るのが経済制度の改善と同じように必要ではないかと思います。しかし、マクロン新大統領は現在のところそういった役割を果たしてくれるのかどうかは疑問です。
(30代・女性 旅行代理店勤務)
ヨーロッパの状況は第一次世界大戦以前の不安定さを思い起こされます。多民族国家が崩壊し、ナショナリズムが台頭しました。似たようなことが現在ポーランドとハンガリーでも起こっています。したがって、私はフランスの選挙結果について非常に安心しています。ブレグジットに関しては、多くの若者がマクロン氏に投票していたので安堵しました。彼はフランスが直面している不平等な社会のもと暮らしているすべての人々に希望を与えるてくれることだろうと希望を持っています。
マクロン氏が政治的なアイデアをそれくらい実現可能なのかは不思議に思っています。彼には機能する社会基盤ができておらず、そしてフランスでは敵よりも党の仲間を恐れています。彼がどのくらいの期間、大統領の地位にい続けるかは興味深いことです。
(60代・男性 退職者)
欧州での極右の台頭は、外国人として暮らす身としては恐怖。マクロン氏の勝利にほっとしたけれど、3割がルペン氏を選んだことを重く受け止めている。
(30代・女性 日本生まれ、在独10年)
ドイツにとってのマクロン氏当選の意味
ドイツは政界も財界も、こぞって親EUで中道派のマクロン氏の当選を歓迎。特にメルケル政権にとっては、EU立て直しのパートナーとして「強いフランス」の復活が必要不可欠。ナチス時代の反省と、国際社会での立ち位置の確保のため、ドイツにとってEU内での「ドイツ一強」時代は避けたい状況だ。英国のEU離脱が決定し、頼れるのはフランスのみと、仏大統領選の結果にEUの将来を重ね合せ、自国の未来を占う選挙という目線でドイツ市民は固唾を飲んで見守った。マクロン氏勝利で独仏の協調路線は固まったが、同氏の提案する「ユーロ圏予算」「ユーロ共同債」などに対してドイツは反対の立場。EUの経済格差の解消に向け、足並みを揃えるのは難しそうだ。
9月の総選挙への影響
9月に連邦議会選挙(下院)を控えるメルケル首相にとって、極右政党・国民戦線(FN)のルペン氏が敗北したことは何よりの朗報。奇しくも、仏大統領選の決選投票と同じ日に、ドイツ北部シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州で州議会選挙があり、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が第1党で勝利。躍進を危惧されていたドイツの極右ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、得票率5.9%と低迷。反EU、反難民を掲げ、人気を得てきた同党は上層部の内部分裂を露呈しはじめ、仏大統領選後のコメントも歯切れが悪く存在感を発揮できていない。ドイツ国内では、既存の二大勢力であるCDUと社会民主党(SPD)の勝負に焦点が移ってきている。
< 前 | 次 > |
---|
今回のフランス大統領選は、9月に行なわれるドイツの連邦議会選挙に対して強い影響を及ぼすことを意味していると感じています。民主主義、自由主義、そしてヨーロピアニズムは依然として高く評価されており、現在のフランスの動向がドイツにとって良い流れになること、右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進を停滞させることを願っています。しかしながらドイツにとってマクロン氏の当選は不確実な要素があることも確かです。
マクロン氏はヨーロッパにおけるドイツの役割に対して意見をしてくるでしょう。特にもし彼がフランス国内を変えることに対して多くの支持を得られなかった場合、彼はフランスにおけるヨーロッパの政治に集中するのではないかと想定しています。ヨーロッパにおけるドイツの役割が今回の選挙によって変わる可能性が高く、それがどのようになっていくのか非常に興味深いです。
(30代・女性 編集者)