ニュースダイジェストの制作業務
Mon, 08 December 2025

LISTING イベント情報

編集後記 1 Nov 2012 vol.1374

1 November 2012 vol.1374

籠

ロンドン東部グリニッジ地区にある森林公園オクスリアス・ウッド(Oxleas Wood)に出掛けてきました。ここがロンドン市内であるということがいまだにどうしても信じられないのですが、落葉性の木々が生い茂る鬱蒼(うっそう)とした深い森なのです。ほかに人もあまり見かけないような場所で、ちょっと奥に入っただけで、樹海で迷ったかのような強烈な不安を感じました。恐々とした気持ちで、8000年の歴史を残すというこの大自然の中を通り抜けると、ロンドン市内全体が見渡せる小高い丘の上へとたどり着きます。深い森の中を抜けた後に、突如として広がったあの景色には神々しささえ覚えたほど。素敵な散歩道でした。(籠)

月

シャーロック・ホームズを現代に蘇らせたBBCドラマ「シャーロック」で、シャーロックの兄にして政府高官のマイクロフトとして、ポッシュなねちねち演技を見せるマーク・ゲイティスが出演する芝居「55 Days」を観劇。17世紀半ば、国王チャールズ1世側とクロムウェル率いる議会側の対立を描いたこの歴史劇、登場人物は皆、現代風の衣装なのに、ゲイティス演じる国王だけが長髪巻き毛にレースふりふり白タイツ。演技はまさにマイクロフトなのに、このレトロ設定にピタリとはまるのが皮肉です。数百年前から変わらぬ英国スノッブたち。さすがは某政治家が警官に「平民が!」と言ってしまう国であります。(月)

徒

夜寝ていたら、どこか遠くで花火のような、爆竹のような何かが弾ける音が聞こえました。それで自動的に連想したのは、雨に濡れて舗道に張り付く落ち葉です。どうも「花火=ガイ・フォークス=11月=落ち葉」という図式が、既に自分の頭の中にしっかりと組み込まれているようなのです。花火は夏のものだとずっと思っていたはずなのに、いつの間にそのイメージがすり替わってしまったのでしょう。思考パターンというのは、環境に応じて知らないうちに次第に変化していくもののようです。「どうせ降ったり止んだりなのだから」という変な理由で傘を差さなくなるのも、こうした変化の一種なのかもしれません。(徒)

犬

英国ニュースダイジェストに4年間勤めてきましたが、10月をもちまして退職させていただくことになりました。これまでダイジェストにおける様々なお仕事を通してお知り合いになることができた皆様には、いつも温かく接していただいたことへの感謝の気持ちでいっぱいです。つらいこともたくさんありましたが、皆様の励ましにより、ここまで来ることができました。本当にありがとうございます。これからは趣味であるお菓子作りを極めるべく、パリへと修行に行って参ります。その後はまたロンドンに戻ってきますので、そのときはまた再び皆様にお会いできることを心から楽しみにしています。それではまた!(犬)

 

編集後記 18 Oct 2012 vol.1373

18 October 2012 vol.1373

籠

今号で編集しながら気になってしまったのが、5ページの「英国における日本報道」にある「日本人に比べて英国人は急ぎ過ぎている」と主張する「デーリー・テレグラフ」紙の記事。誌面の都合で全文は紹介できないのですが、元の記事には「(日本から)ヒースロー空港に戻ってきた途端、生活が急に慌しくなってひっくり返りそうになった」なんて記述もあります。在英邦人の皆様の中にはこの見方に同意できる人ってそんなに多くないのではないかと想像するのですが、いかがですか。私は日本人の方がせっかちな気がするんですが。少なくともヒースローに戻ったくらいでひっくり返らないでほしい。(籠)
※ 記事はこちらのeBookから1373号をご覧下さい。

月

眠りが浅い私は、毎日必ずいくつかの夢を見ます。支離滅裂でとりとめのないものがほとんどなのですが、例外的に昔から何度も何度も安眠を妨げる、嫌な夢があります。大学の卒論に追われる夢です。実際の卒論執筆時には、ぎりぎりになって取り組むという悪い癖が出たものの、正直それほど追い詰められた覚えはないのですが、いまだに仕事が詰まっているときなど、卒論のデータが入っているパソコンがクラッシュした、製本屋が火事になった、教授が私の卒論をめくったらすべて白紙だった、など、あらゆるバリエーションで私を苦しめるのです。一体この夢は、私に何を訴えかけているのでしょう。(月)

徒

仕事中のカフェイン補給にやはりコーヒーは欠かせません。ハイストリート・チェーンのものではない、おいしい本物のコーヒーを探すんだと以前この欄で書いたような気がするのですが、もうそれは昔のこと。今では弊社半径1キロ以内のチェーン店で、お店の人が私の顔を見るなりすぐ「ショート・ブラック?」もしくは「ブラック・フィルター?」「トール・アメリカーノ?」と各店の呼び名に則したブラック・コーヒーを出してくるまでになりました。そんな風に店員さんを鍛えるつもりは毛頭ありませんでしたが、こうなったら、次は入店しただけでさっと出てくるように教育してみようかとひそかに思っています。(徒)

嘩

芸術の秋です。10月初旬にはジャズ・ピアニストの上原ひろみ氏のライブがロンドンで行われました。またロンドン・フィルム・フェスティバルでは西川美和氏や蜷川実花氏といった日本人監督の作品が上映され、ロンドン随一の現代美術館であるテート・モダンでは写真家の森山大道氏の作品展が開かれています。寒さが深まる11月には歌手のさかいゆう氏のコンサートが、12月には前号でインタビュー記事を掲載したギタリストの布袋寅泰氏のライブが開催。芸術の季節とは、日本人アーティストの方々と触れ合う機会が増える季節でもあるのです。日本人アーティストよ、ロンドンから世界に羽ばたけ!(嘩)

 

編集後記 27 Sep 2012 vol.1371

27 September 2012 vol.1371

籠

来週号より、英国ニュースダイジェストは隔週発行となるのに合わせて、誌面をリニューアル致します。リニューアルのテーマは、「つなぐ」。英国と日本をつなぐ、読者と広告主の皆様をつなぐ、異なる読者をつなぐ。仕事やプライベートでそうした経験が豊富な方々にはご理解いただけると思うのですが、いわゆる「仲介役」って、簡単そうに見えて、実は結構な知恵と体力を要します。ただ「メディア=媒体」って、そもそも何かと何かをつなぐことを本来の役割とするものであり、それだけやりがいもあるのですが。来週号より、新しく生まれ変わった英国ニュースダイジェストを宜しくお願い致します。(籠)

月

4ページでも触れていますが、ミッチェル下院院内幹事長が首相官邸で警官に向けて失礼な言葉を投げつけたというニュースがメディアを騒がせていますね。ミッチェル氏は、父親も議員、自身は名門ラグビー校からケンブリッジ大に進んだという生粋のエリート。人間誰しも苛付いて思わず失言することってあると思いますが、少なくとも私の辞書に「pleb(平民・庶民)」という言葉はありませんでした。同氏は、Fワードは言った、でもplebとは言ってない、と主張しているようで、Fワード以上にこの「平民」という言葉が社会で重い意味を持つというところが、いかにも英国だなあと思わずにはいられません。(月)

徒

自宅の最寄り駅にあるキオスクで、地下鉄車内でこっそり食べるためのお菓子を買おうと色々と物色していました。「今日もお元気ですか、マダム?」と棚の向こうからアジア系のお店のお兄さんが挨拶してくれます。更に、キットカットを手に取ったところ、「誠に結構なチョイスです、マダム。どうぞ良い一日をお過ごしください」とのこと。お陰様で大変に優雅な気分になって電車に乗り込むことができました。ところが、目的地であった銀行に到着してみると、私は銀行員に「あの女」呼ばわりされてしまいました。「あの女が何か言っているよ」とこちらをアゴで示すのです。世の中つくづく間違っています。(徒)

嘩

マンチェスター・ユナイテッドの香川真司選手、サウサンプトンの吉田麻也選手、ウィガンの宮市亮選手など、気付いたらサッカーの母国であるイングランドのプレミア・リーグで多くの若き日本人選手がプレーしている状況となっています。テレビ中継なんかを観る限り、チームにもよく溶け込んでいるみたいで、彼らのプレーについて熱く薀蓄(うんちく)を語る英国人サッカー・ファンにもここ1カ月で数人ほど出会いました。記者会見で流暢な英語を披露している選手もいる様子。いやあ実に頼もしい。野球の米大リーグにおける野茂英雄やイチローのように、日本人選手がプレミア・リーグ全体を席巻する日は近い!(嘩)

 

編集後記 20 Sep 2012 vol.1370

20 September 2012 vol.1370

籠

先日「自宅の庭で不発弾が見つかった」と報告したばかりですが、今度は英国国境庁の入国管理官のガサ入れが自宅に来ました。元フラットメートの一人が適切なビザを持っていなかったというのが理由のよう。訪れたのは月曜日の朝6時。この時間に激しいノック音で叩き起こされるだけで「勘弁してよ」なのに、それだけでは済まなかった。強引に自室に入ってきて室内を点検する、いすの上に置いてあった荷物をどかして座り込む、台所に移動したかと思うとキッチン扉を全部開けて「なんだ、ただのキッチンじゃないか」とつぶやく。さすがにちょっとこれはひど過ぎるんじゃないか、と思ってしまいました。(籠)

月

我がフラットの大家さんの飼い犬、ヨークシャー・テリアのロッキーが最近、スポーツ刈りにされました。とてもテリアとは思えぬ凛々しい姿。身体をかゆがっていたロッキーを獣医に診せたところ、薬を塗るために刈られたそうで、折りしも秋の到来で寒さのあまりフルフル震えています。ところでこのかゆみの原因、なんと「花粉症」なのだとか。そういえば最近、くしゃみも頻繁にしていたような。抗アレルギー薬を飲まされ、かゆみ止めの薬を塗りたくられ、公園への出入りを禁止されたロッキー。これらの処置を行うことで、体調は改善してきましたが、外で遊べない犬って……。これも現代病でしょうか。(月)

徒

以前この欄で、種からアボカドを育てる計画を発表したところ、読者の方から「寒いところではアボカドの実はならないので止めた方がいい」というアドバイスを戴きました。その方もご自宅の庭でトライし、枯れてしまったとのこと。でも、以前「ガーディアン」紙か何かで栽培法を読んだ記憶があるので、もしかしたら成功した人もいるのでは? と思い、しつこく検索してみました。食べ終わった種を球根みたいに植える方法が出ていたのですが、「葉が出てきたら水はやり過ぎないように」という記述の後、ルバーブはもっと簡単に育てられますと唐突に締め括られていました。やはり無理なんでしょうか。(徒)>

嘩

ロンドン在住の小説家、黒木亮氏の代表作である巨大投資銀行を読んでちょっとしたうれしい驚きがありました。物語に登場するヘッジファンドのオフィスが、恐らく弊社オフィスのすぐ近くにあるビルに入居しているという設定になっているのです。だから、小説の中には見慣れた風景が頻繁に出てきます。ホルボーン駅前の新聞販売店や、実はあんまりおいしくない青空市場に並べられた果物、そして大通りの両脇に立つ木々といった何気ない日常風景の描写が実に見事。自分までこの小説の登場人物になったみたいです。以来、毎日飽きるほどに通り過ぎている光景が突然輝き出したような気がします。(嘩)

 

編集後記 13 Sep 2012 vol.1369

13 September 2012 vol.1369

籠

高速サーブを持つフランスのウデ選手と、確実なリターンを得意とする日本の国枝選手が対戦したパラリンピックでの車いすテニスの男子シングルス決勝。ウデ選手が繰り出す強烈なボールを国枝選手が拾い続けた試合は、6-4、6-2のストレート勝ちというスコアとは裏腹に、まさしく死闘でした。観ているだけで逃げ出したくなるくらいの暴力的な攻撃に、耐えて、耐えて、そして耐えるだけじゃなく攻め返す。そんな激闘を制した国枝選手が何度もガッツポーズしている姿を見てしまうと、もう涙が止まらなくなります。チャンネル4のウェブサイトで録画映像観られるみたいなので、ご興味ある方はぜひ。(籠)

月

パラリンピック熱も冷めやらぬ中、もう一つ、英国スポーツにとって大きなニュースが。テニスのアンディ・マリーがついに4大大会の一つ、全米オープンで初優勝! 世界ランキングでトップ5に入る実力の持ち主でありながら、いつも最後の関門を突破できず、悔し涙を流し続けてきたマリー。泣きべそをかいている「負け犬」イメージが定着していた彼が誇らしげに笑う姿を見て、今度はこちらが泣けてきてしまいました。「世界のトップ・クラス」から「世界のトップ」になるまでに数年。たった一つの壁を超える難しさと、どんなに難しくても超えることはできるのだという可能性を教えてくれて、ありがとう。(月)

縞

10日に行われた、ロンドン五輪・パラリンピック選手の祝賀パレードを観に行きました。モボットを披露するモー・ファラ選手やパラリンピックの顔、エレノア・シモンズ選手(写真中央)を間近で見られて大興奮! この写真以外にもフェイスブックに数枚、アップしていますので、ぜひご覧ください。(縞)
ロンドン2012 パレード

眠

パラリンピックを今大会で初めてちゃんと見て、こんなに興味深いゲームがたくさんあったんだ、とうれしい驚きがたくさんありました。無知を承知で書きますが、違った障害を持つ選手同士が同じレースに出たり、一緒のチームに所属していたりしますよね。そして、一見しただけでは不利なように見える選手がより有利だと思われる選手に圧勝したりする。限られた身体機能をより有効に使うためにものすごい知恵を使っているんだろうな、と想像をかき立てられました。2012年のロンドンでの特別な夏はもう終わってしまいましたが、パラリンピック・ファンとしての私の人生はまだまだ始まったばかりです。(眠)

 

編集後記 6 Sep 2012 vol.1368

30 August 2012 vol.1367

籠

パラリンピックの車いすテニス、男子シングルス一回戦を観戦してきました。北京五輪金メダリストの国枝慎吾選手の芸術的な動きの美しさに見とれてしまい、同選手からは1ゲームも取ることができなかったブラジルのラファエロ・メディロス・ゴメス選手のそれでも食らいつこうとする強烈な気迫にも飲まれそうになりました。また日本の眞田卓選手が勝利した、米国のスティーブ・ボールドウィン選手との試合も良かった。眞田選手が絶妙なショットを決める度に、ボールドウィン選手が「あっぱれ」とばかりに拍手を送っていたんです。これぞ真のスポーツマンシップ。パラリンピック精神よ、永遠なれ。(籠)

月

パラリンピックの車いすバスケ、英国対ドイツ戦を観戦しました。英国が出場していたこともあり、会場は立ち入り禁止にしているエリア以外はほぼ満席。ものすごい熱気の中、圧倒的なスピードで車いすを華麗に操りながら乱闘一歩手前の肉弾戦を繰り広げる選手たちの迫力と美しさに釘付けでした。片や観客席はと言えば、試合に熱中しつつも、敵チームのフリースロー時には遠慮なくブーイング、タイムアウトになればDJに煽られて歌えや踊れやの大騒ぎ。体中に刺青を入れて迫力満点の選手、ビール片手に試合と会場の雰囲気を満喫する観客。今までこの興奮を知らずにいたことを後悔するほどの面白さでした。(月)

徒

テレビ中継でパラリンピックの開会式を観ながら、小学校で同じクラスだった、四肢に障害のあるクラスメートのことを思い出しました。その子は勉強はできるし、絵も上手く、また体育の授業も休むことなく皆と同じくこなしていました。そんな姿に慣れていた私たちほかの児童は、彼女が実は陰でどれだけ頑張っているのかを想像できませんでした。運動会で皆と一緒に50メートル走に参加し、だいぶ遅れて彼女が一人でゴールしたとき、父兄席から一斉に拍手が起きたときの雰囲気を今でもよく覚えています。彼女の強靭な精神力はパラリンピック選手以上だったかもしれないと、今になって思います。(徒)

縞

パラリンピックの開会式に行ってきました。ホーキング博士の登場、傘やリンゴをモチーフとしたアクロバティックな動きで魅せるショー、各国の選手の入場行進など見所は数え切れないほどありましたが、その中でも度肝を抜かれたのは、聖火ランナーの登場です。スタジアムの大きなディスプレーに映る宙に浮いた聖火ランナー。始めは彼が一体どこにいるのか探せなかったのですが、周りの人たちが指差す方向を見ると、煌々と赤く光るオービットの横で、夜空に浮かぶランナーの姿が! まるで夢の世界にいるような気分になった開会式。周りの観客がみんな幸せそうな顔をしていたのも印象的でした。(縞)

 

編集後記 30 Aug 2012 vol.1367

30 August 2012 vol.1367

籠

バンク・ホリデーによる連休の中日となった日曜日の午前11時ごろ。自宅で挽きたてのコーヒーを飲んでいたら、ドアを激しくノックする音が。ドアを開けると、目の前に立っていた警察官が一言「あなたの家の庭から、第二次大戦中にドイツ軍によって落とされたと思われる不発弾が見つかったのでただちに退避してください」。嘘でも夢でもありません。現在、自宅を改修しているのですが、その作業のために庭を掘り起こしていたら不発弾が出てきたそうです。もしこの話の続きにご興味を持っていただけるようでしたら、弊社ウェブサイト掲載の「編集日記」をご覧ください。(籠)

月

算数と呼ばれたそのころから、数学は私にとって嫌悪すべき存在でした。でもその一方で、数学者が芸術を創造するかのように数式を組み立てていく姿には、なんとなく憧れを抱いていたのです。先日、ナショナル・シアターで観劇した「夜中に犬に起こった奇妙な事件」は、そんな憧れを強く再認識させられる舞台でした。アスペルガー症候群と思しき主人公の少年が、ある犬に起こったある事件の謎を探るのですが、数学に非凡な才能を発揮する少年の頭の中が、見事に視覚化されているのです。数学がテーマじゃないけれど、終わった後には数字って美しいな、と思わせてくれる、そんな素敵なお芝居です。(月)

徒

時々、自分が全然知らないあかの他人になって夢に登場することがあります。今日見た夢もそうで、私は手に太い葉巻を持って、知らない町を歩いていました。隣を行くのはサバサバした身のこなしの黒人女性です。彼女は刑事らしく、どうも私は同僚の男性という感じでした。ジャマイカではないかと思われるその町並みは、ほこりっぽく殺風景で、低い屋根の四角い建物が続きます。私はその中の一軒に入り、小学生くらいの幼い女の子に気をつけなさいと注意するのですが、何かの見回りだったのでしょうか。こんな夢を見ると、前世というのは本当に存在するのかもしれないぞ、と思ってしまいます。(徒)

鹿

最近、物忘れがひどくて困っています。始まりは、薬の飲み忘れ。実はしばらく前に病で倒れて以来、処方された治療薬を毎日朝食前に飲んでいるのですが、もうここ4カ月も習慣化しているこの行為を、ある朝すっかり忘れて出勤してしまったのです。そしてその数日後、今度は在英8年で初めて、オイスター・カードを忘れたことに全く気が付かないまま、地下鉄改札口にたどり着きました。その数日後は、またも薬の服用忘れ。そして翌日、大事な方へのメールに、「様」を付けるのを忘れたまま送信しました。歳なのでしょうか。それとも何か改善策があるのでしょうか。冗談ではなく、本当に困っています。(鹿)

 

編集後記 23 Aug 2012 vol.1366

23 August 2012 vol.1366

籠

オリンピックとパラリンピックの狭間にできた久しぶりの何もない週末を利用して、「ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ」で開催中の印象派絵画展に行ってきました。展示されているのは、モネ、マネ、ルノアールといった印象派の大家の作品ばかり。印象派の絵に興味を持ち出して以来、特にモネに関しては、機会があれば彼の作品が展示される絵画展にできる限り足を延ばして、画集やDVDなどの関連商品を購入しているにも関わらず、いまだに一度も目にしたことのない絵がまだまだたくさんあります。一説によると全部で2000点以上も描いたらしい。「多作である」ということも天才の条件なのですね。(籠)

月

1カ月ほど前から時々、両手で頭上にMの字をつくる仕草をしています。肩こりに悩まされている私としては、ストレッチ代わりに両腕を肩より上に上げ、手持ち無沙汰になるのでおちゃらけ半分、この仕草をしていたわけですが、同僚たちからは、「むっきー(猿)」だの「ヒデキー(西城秀樹。YMCAで一世を風靡)」だの、散々の言われようでした。ところが、です。いまや英国陸上界のヒーローとなったモー・ファラー選手が五輪でかの「モボット」を披露したその瞬間から、私の時代遅れの仕草は、時代の先端をゆくポーズへと早変わり。これから心置きなく、Mの字をつくれます。ありがとう、ファラー選手。(月)

徒

現在、アボカド栽培計画を立てています。アボカドの実を食べた後、あの大きな種を捨てずに、クロッカスの球根のように、下半分だけ水に付けておくのです。するとそのうちに種の底の部分がひび割れて、白いひげのようなものが出てくるのだとか。それが十分伸びたら植木鉢に植え替えて、今度は芽の出るのを待ちます。そして大きく育ってきたら下の住人に頼んで庭の隅に植えてもらって、実が生えるのを待つ、という雄大な計画です。果たしてどのくらいの時間が掛かるのかは想像もつきませんが、締め切りに追われるだけの慌ただしい毎日、たまにはそんな気の長い話も良いのではと思っています。(徒)

鹿

英国の建築がいかに大工泣かせか、以前にもこの欄に書いたことがあります。そのときは、床の張り替えに来た大工さんが傾いた床の扱いに四苦八苦していたのを笑っていたのですが、ここへきてどうにも笑えない状況になってきました。初夏に長く続いた雨のせいでしょうか、その存在さえ知らなかった外壁と内壁の間にあるコンクリート・ブロックの形が、ぼんやり浮き出てきたのです。おかげで、白かった壁はさりげないブロック柄に。ちなみに少し前からひびも入っており、あるときには自然に壁のかけらが落ちてきました。立地も雰囲気も良く気に入っている家なのですが、そろそろ潮時かもしれません。(鹿)

 

編集後記 16 Aug 2012 vol.1365

16 August 2012 vol.1365

籠

道を尋ねる人。試合結果を聞いてくる人。違法だと知りながら観戦チケットの転売を求める人。別に選手として出場したわけでもないのに、お互いの国の健闘を称え合おうとする人。オリンピックの開催期間中、街中で見知らぬ人から話し掛けられる機会がぐんと増えたような気がします。そうして話し掛けられてもそれほど嫌な気分はしないもんだな、と思ったのは私にとっての小さな発見でした。そう言えば、初めて外国旅行したときや海外生活を始めたばかりのころ、現地の見知らぬ人と言葉を交わした瞬間に何よりもうれしさを感じていたような。「一期一会」の言葉が何度も頭に浮かんだ3週間でした。(籠)

月

ロンドン五輪が閉幕しました。早朝深夜もぎっしりだけれど酔っ払いの少ない陽気な通勤電車、五輪Tシャツと各国の国旗の群れに埋め尽くされた地下鉄車内、突如歩道が封鎖された大通り、その通り上にドラムを持ち込み連夜派手なパフォーマンスを繰り広げたミュージシャン、行きつけのピザ屋で出くわした五輪選手たち——。世界一のスポーツの祭典を、一流選手の夢の競演という枠を超えて、日々の生活の至るところで実感したひとときでした。今日はちょっとくたびれ顔のビジネスマンに囲まれつつ、いつの間に復活した歩道を踏みしめオフィスへ。あっという間に、いつもの日常が戻ってきました。(月)

鹿

五輪最終日、男子マラソンを観戦してきました。日本チームの給水所正面に落ち着いたところでレース開始。すると、日本のブースに他国のチームがわらわら集まってきたんです。見ると日本チームがテレビを用意してたんですね。各国チームが仲良く観戦している間に、道を隔てたこちら側でも携帯用中継サイトを見つけたうちの夫の周りに「どうなってる?」と周囲の人がわらわら。その隣で私が日本の両親とスカイプを始めると、「それ日本!? ハロー!」とわらわら。その後はすべての国のランナーにそろって声援を送りました。「国境を越えた五輪精神」とはきっとこのこと。体感できて大満足です♪(鹿)


嘩

「オリンピックは大勢の人が殺到してしまう一方、パラリンピックならば当日券を簡単に購入できるんじゃないだろうか」。そう考えていた自分の認識は甘かったようです。チケットを販売する公式サイトをのぞいてみると、人気種目はどれも売り切れ。ロンドン五輪組織委員会の発表によると、史上最多となる250万枚のチケットの実に8割が既にさばけてしまったとのことです。テレビ観戦が主になってしまうのかもしれません。個人的には、北京五輪の金メダリストであり、日本の車椅子テニス選手としては初のプロである国枝慎吾選手の活躍に期待しています。パラリンピックは8月29日から開幕です。(嘩)

 

編集後記 9 Aug 2012 vol.1364

9 August 2012 vol.1364

籠

一見しただけでは何の変哲もない事象なんだけれども、根気強く調べているうちに、意外なネタが見つかる、というのが取材の醍醐味です。逆に言うと、深く調べたり、新しい切り口を探したりする努力をしないと、「面白いこと」ってなかなか見つからない、というのも一面の真実なのかもしれません。しかし、オリンピック。調べものなんて、とてもじゃないけど追いつかない。偉大な記録や感動のドラマがあちこちで、しかも同時進行で発生するそのすさまじさに圧倒されています。「速く走った」「高く飛んだ」「遠くに投げた」。そんなシンプル極まりない動きで世界中の人々を魅了する選手たちは偉大です。(籠)

月

ロンドン五輪、真っ盛りの今日このごろ、昼夜を問わず日本人選手の活躍を追っていますが、忘れてはならないのが新体操団体の英国代表チーム。そう、弊誌がインタビューした日英ハーフのリン・ハッチソン選手が、チームの一員としていよいよ五輪の舞台に登場します! 華やかなスポーツの祭典の、これまた華やかな新体操という競技であるにもかかわらず、国からの援助がなく、スーパーで袋詰め作業のバイトまでやったという、ガッツあるリンさんら団体チームの選手たち。メダル獲得よりも、ただとにかく良い演技をしたいという意気込みに満ちた彼女たちの試合が行われるのは9、10日。要注目です!(月)

嵐

五輪女子バレーボール、日本対ドミニカ共和国戦に行きました。試合の結果は、日本が快勝。昔、バレー部のマネージャーをしていたので観るのは好きなんですが、一緒に応援に行った友人は元バレー部歴9年という筋金入りのバレー好きで、大判の日本国旗+手作り文言プレートを持参するほどの意気込みを見せてくれました。しかもうれしい日本語でのバレー解説付き。彼女のおかげで盛り上がり度も倍増で、応援を楽しむことができました。さらに、「ニッポン・チャ・チャ・チャ!」と「そーれっ!」の掛け声も体験。会場内で日本の応援団の皆さんと一緒になって声を出すことができてうれしかったです!(嵐)


綿

東日本大震災への支援に感謝の気持ちを伝えるイベント「ARIGATO in LONDON」の開幕式に参加しました。元サッカー選手の中田英寿氏が会場入りすると、子供たちが「ヒデが来た!」と大はしゃぎ。スポーツにはうとい私でさえも大興奮したくらいなので、きっと冷静に対応していた大人たちも心の中では彼の到着に胸を躍らせていたのだと思います。イベント終了後、地元のサッカー少年と実行委員の方々の全体写真を撮ったのですが、大好きなヒデが横にいるのに、何人かの子供たちの眼差しは、カメラでもヒデでもなく、全身緑の服にテクノ・カットで登場したコシノ・ジュンコさんに向けられていました。(綿)

 
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