Hanacell
輝け、原石たち


食肉製造マイスター 丸岡亮人さん

食肉製造マイスター丸岡さん
1981年 東京都小金井市生まれ
1999年 長野県松本市第一高校食物科卒業
2000年 東京・神田外語専門学校ドイツ語科を中退し、渡独。バイエルン州シュタルンベルク湖畔の食肉製造店で住み込み実習をしながら、職業学校食肉製造科で学ぶ
2003年 職業学校を卒業し、職人の資格を得る
04年~ 有機農場「Herrmannsdorf」の食肉製造職人になる
2006年 マイスターを取得
3年間通った職業学校は、週に1回学校に行って残り4日は実習するというデュアルシステムで、クラス全員が男性だった。280人中3位という好成績で卒業。

「ソーセージやハムの製造だけでなく、屠殺から解体、そして製造に至るすべてのプロセスをこなせるようになることが、僕にとって重要なんです」

4年前からミュンヘン郊外の有機農場ヘルマンスドルフで食肉製造に従事するマイスター、丸岡亮人さんはこう語る。ここは、「温屠体加工」というドイツで昔から受け継がれてきた伝統的な有機食肉加工法を、いまでも忠実に守って実践している数少ない農場だ。ただ、化学薬品を使用せずに製造するので手間がかかり、牛は屠殺後5時間以内、豚は3時間以内に解体しなければならない。そのため、現在では全国の食肉加工業者のうち、約0.1%しか実践していないという。

子どものころから、調理師になりたかった。高校で食物科に進み、2年生のとき授業で見たビデオに衝撃と感動を受けた。それが渡独するきっかけとなった。「ドイツの自家屠殺を扱ったドキュメンタリーでした。農家が食肉業者を呼んで、青空の下、自分たちのために豚を何頭か屠殺する。機械を使わず、すべて手作業で製造していました。ショックも受けましたが、これこそ嘘のない真実の世界だと思ったんです。それでドイツへ行こうと。もしビデオの舞台がスペインだったら、スペインに行っていましたね(笑)」

東京でドイツレストランを回り、食肉業者になるためのヒントを探した。ある日、ドイツのソーセージに出会い、だれが作ったのかと尋ねると、ドイツでマイスターを取得した日本人ということだった。さっそく彼を訪ねて実習先を聞き、ドイツへ飛んだ。

いまは、カナダに行こうかと思っている。そこではイタリアやスペインの熟成方法を学べるという。「ドイツのソーセージも好きだけど、やはりイタリアやスペインの違った方法もマスターしたい」と、目はすでにその先を見ている。


丸岡さんが製造するソーセージやハム


「Thüringer Zungenrotwurst」豚の舌と血を使ったソーセージ。白く見えるのは背脂



「Schweinskopfsülze」豚の顔の肉をゼリーで固めたソーセージ(写真左の中央)、「Fenchelsalami」薬草を使ったイタリア風サラミ(写真右)
Information

ミュンヘン郊外にある丸岡さんが働く有機農場ヘルマンスドルフ(Herrmannsdorf)。ここには食肉製造部門だけでなく、牧場や牛舎、豚小屋、厩など、市民がだれでもいつでも農場を訪問することができるように開放されており、動物たちを間近に見ることができる。2000年に建て替えられたため、とてもきれいで休日を過ごすには気持ちがいい。月1回、ドイツ語のガイドツアーが行われている(要事前予約)。人数が集まれば、丸岡さんによる日本語ツアーも可能だ。

Herrmannsdorf ~Gut Kerschlach~
場所:Gut Kerschlach1, 82396 Pähl
TEL:08808-921136

最終更新 Freitag, 09 Dezember 2011 19:09
 

ジュエリー作家 鎌田治朗さん

1978年 青森県弘前市生まれ
1998年 山梨県立宝石美術専門学校卒業
~99年 プフォルツハイム造形大学ジュエリー科在籍
2006年 ミュンヘン造形美術大学ジュエリー科を首席で卒業(ドイツ・ジュエリー界のパイオニア、オットー・クンツリ教授に師事)
06年~ ミュンヘンにアトリエを構える
99年よりドイツ、日本を始め、欧米各地の展覧会に出展。05年にはベルリンで、翌年には日本でも個展を開いた。朝日現代クラフト展優秀賞やDAAD奨学金なども受賞している。
www.jirokamata.com

「日本では、ジュエリーの価値は素材で決まります。例えば、ダイヤ、エメラルドなど石の価値がそのままジュエリーの価値となるような“お宝ジュエリー”ですね。でもドイツでは、素材はそれほど重要視されません。価値は作家自身が作るという考えなのです」

カメラのレンズやサングラス、セロテープなど、身近なものを素材にしてジュエリーを生み出す新進のジュエリー作家・鎌田治朗さんはこう語る。彼が第一歩を踏み出したのは、シュトゥットガルトにほど近いドイツの貴金属産業の中心地、プフォルツハイムだった。

「ジュエリーで世界的に有名なのは、ドイツとオランダなんです。造形大学に聴講生として入り、早くも最初の授業でショックを受けましたね。教授が学生にくじを引かせて、そこに書いてあるものを使ってジュエリーを制作しなさいと。ボールペンやペットボトル、ハガキなどの中で、僕はセロテープだったんです」

弘前の宝石屋で育った。時計職人だった祖父が時計店を創業し、父の代で宝石も扱うようになった。しかし、昔からジュエリー作家になろうと思っていたわけではない。むしろいつも真ん中に石があるような宝石に、反感を覚えていたという。きっかけは、高校卒業後の進路を決めるときだった。

「何かものづくりをしたかったんです。学生時代にバンドばかりやっていたので芸術大学は受けられず(笑)、そんなとき日本で唯一の公立宝石専門学校があると聞いて」

そこで運命的な出会いをする。70年代にプフォルツハイム造形大学に留学し、ジュエリー作家としても活動していた教師の生き方に影響を受け、渡独する決心をした。

06年、ミュンヘンに仲間とともにアトリエを構えた。ドイツに来て10年──。「自分が自然体でいられる国」で、将来、世界中どこでも仕事ができるように基盤を安定させるのが目標だ。


カメラレンズを用いたブローチ。白と黒のレンズしか使用していないが、光によっていろいろな色に見える

サングラスのレンズで制作したブローチ(左)と指輪


セロテープが素材の指輪。左は、テープに付けたキスマークを何重にも重ねたもの
Information

2006年、フランクフルト近郊にあるハーナウ市から「次世代を担う金細工師」に選ばれた鎌田さん。約6週間ハーナウに滞在し、講師を務めた功績を記念して、展覧会が開催される。想像力溢れる素敵なジュエリーをぜひのぞいてみよう。

MOMENTOPIA~Jiro Kamata
期間:1月25日(金)~4月3日(木)
時間:火~日11:00~17:00
場所:Deutsches Goldschmiedehaus Hanau
Altstädter Markt 6, 63450 Hanau
TEL:06181-256556
Websitewww.museen-hanau.de

最終更新 Freitag, 09 Dezember 2011 19:12
 

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