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特集


フランクフルト発 気ままな小旅行

フランクフルト発 気ままな小旅行

フランクフルトの魅力を堪能した後は、そこからちょっと足を延ばして、ドイツらしい風景が見られる町へ出掛けてみませんか。まだ誰も知らない自分だけの発見を求めて、初めての土地を歩くのはワクワクするもの。ここでは、有名どころからあまり知られていない小さな町まで、観光で訪れる人も、市内やその近郊に暮らす皆さんも楽しめる散策スポットをご紹介します。
(編集部:林 康子)

フランクフルトから南へ

情報協力:JALPAK International (Germany) GmbH

ドイツ・ロマンの真髄に触れる
ハイデルベルク Heidelberg

ハイデルベルク Heidelberg
行き方 フランクフルト中央駅からICまたはECで約50分
ツーリスト・インフォメーション:中央駅前

ドイツ最古の大学を擁する町ハイデルベルク。名所の1つである「哲学者の道」の名が想起させる通り、旅情溢れるハイデルベルク城や、凝った装飾が施された建物が並ぶ旧市街の景観は、どこか知的な雰囲気を 醸し出し、古くからゲーテやショパン、ユーゴーなど、数多くの詩人や芸術家を魅了してきた。ドイツ・ロマン主義の骨頂とも言えるこの町は、学生の町ならではの活気に満ちている上、年間を通して世界中から訪れる観光客で大賑わい。旧市街へと続くハウプト通りへ一歩足を踏み出せば、どこからともなく古き良き中世の香りが漂ってくる。

ハウプト通り Hauptstraßeハウプト通り
Hauptstraße

欧州一長い歩行者通りと言われるこの通りの長さは、途中の脇道も含めると1.6kmに及ぶ。道沿いには、レストランやカフェから土産物屋、ファッション、雑貨屋まで、実に様々なショップが立ち並び、毎日大勢の市民や観光客で賑わっている。ビスマルク広場から10分ほど歩くと、聖霊教会(Heiliggeistkirche)や市庁舎(Rathaus)のあるマルクト広場に出る。

ハイデルベルク城ハイデルベルク城 Schloss Heidelberg

この城が史料に初めて登場するのは1225年。15世紀以降は、約500年にわたってプファルツ選帝侯の居城として使われ、17世紀の三十年戦争、それに続くプファルツ継承戦争によって城は次第に破壊されていくこととなる。旧市街を見下ろすように建つルネサンス様式の城趾のどっしりとした佇まいが、この町の激動の歴史を物語っている。

www.schloss-heidelberg.de
城へは、Kornmarkt駐車場脇から出ているケーブルカーで行ける(入城料込みで6ユーロ)

ホテル&レストランホテル&レストラン
Hotel zum Ritter St. Georg

聖霊教会の向かいに建つ後期ルネサンス様式の建物は、プファルツ継承戦争による被害を免れた数少ない建造物の1つ。先端に聖ゲオルクの騎士像が立っていることから「Der Ritter(騎士)」と呼ばれるこの建物は現在、ホテル&レストランになっており、レストランではバーデン地方の郷土料理を提供している。今の季節は、白アスパラがお勧め!

Hauptstraße 178, 69117 Heidelberg
www.ritter-heidelberg.de

学生牢 学生牢
Studentenkarzer

1778~1914年の間、夜間に騒いだり、決闘をしたりと、学則を破った学生を罰するための牢屋として使用されていた。牢屋と言っても、食べ物やビールの持ち込みが許され、学生たちの間では、むしろここに入ることが名誉とみなされていたほど。牢屋に入った記念に学生が残していった似顔絵や名前などが壁一面にびっしりと刻まれている。

Augistinergasse 2, 69117 Heidelberg
入場料:3ユーロ(割引2.50ユーロ)
※入り口は大学博物館側


“とっておき”が隠れている宝箱
バート・ヴィンプフェン Heidelberg Bad Wimpfen

バート・ヴィンプフェン Heidelberg Bad Wimpfen
行き方ハイデルベルク中央駅からSバーンとバスで約1時間半
現在、Bad Wimpfen駅を通る区間の鉄道は工事中のため、Sinnheim駅ないしBad Rappenau駅から代替輸送バスを利用する。
ツーリスト・インフォメーション:Hauptstraße 45

人口7000人にも満たない小さな温泉保養地。しかし実は隠れた名所で、街中にそびえ立ついくつかの尖塔や家々が織り成すシルエットをして「ドイツ一美しいスカイライン」と言わしめるほど、風光明媚なスポットなのだ。古代ローマ時代に築かれた城砦に起源を持つ、歴史ある町でもあり、静かに佇む重厚な建築を見上げれば、はるか昔から時が止まったままかのような錯覚に陥る。そして町を歩いていると、個人経営の小さなショップやカフェが多いことに気付く。町中を隈なく見て回り、自分だけのお気に入りのアイテムを見付けるのも楽しいかも。

青い塔 Blauer Turm青い塔
Blauer Turm

ネッカー川沿いにそびえる町のシンボル。外敵から町を守る監視塔として、650年来ずっと塔守が存在し続けているという珍しい塔の天辺からは、メルヘンの世界そのままの絶景が望める。650年前の塔守も、オレンジ色の切妻屋根がひしめき合うように建つ町の様子を、現在と同じように見守っていたことだろうと、当時に思いを馳せずにはいられない。

Burgviertel 9, 74206 Bad Wimpfen
入場料:1.50ユーロ

石けん屋さん 石けん屋さん
rosenzeit

バラの花をあしらった看板のロゴがかわいらしいこのお店では、ドイツ、フランス産の石けんやバスオイルを中心に、化粧品からアーティスティックな腕時計、雑貨まで、オーナーのマルガレッテ・ヴュルツさんが厳選した小物を販売している。やさしい香りを放つ色とりどりの石けんは、眺めているだけでも癒し効果絶大。店内では、不定期でアート作品の展示も行っている。

Marktrain 4, 74206 Bad Wimpfen
www.rosenzeit.eu

雑貨屋さん 雑貨屋さん
Zill Waren aller Art

店頭に看板はなく、一見、おしゃれに飾り付けられた普通の住宅と思ってしまいそうなこちらのお店は、オーナーのビルギッテ・ツィルさんの名を冠した「ツィルの何でも屋」。お店の前のカエルやアヒルなどの置き物に誘われて中へ入ると、食器やクロスなどのキッチンアイテムを中心にバラエティーに富んだ雑貨が所狭しと並んでいる。

Bollwerkgasse 5, 74206 Bad Wimpfen

ティールーム Cornwallティールーム
Cornwall

町を一巡りして、ちょっと休憩したいというときはこちらへ。英国コーンウォール出身のオーナー、ペギー・フェイリーさんが、本場の紅茶と手作りのサンドイッチやカップケーキ、クッキー、ペイストリーでもてなしてくれる。当地の伝統を意識した明るく華やかなインテリアの店内でティータイムを過ごせば、気分はすっかり英国紳士・淑女!?

Hauptstraße 50, 74206 Bad Wimpfen
www.cornwall-tearoom.de

フランクフルトから北へ

情報協力:JTB Germany GmbH

ライン渓谷に広がるおとぎの国
マールブルク Marburg

マールブルク Marburg
行き方 フランクフルトからICで約1時間
ツーリスト・インフォメーション:Pilgrimstein 26(バス停Rudolfsplatz前)

メルヘン街道の途上にあるマールブルクは、ハイデルベルク、ゲッティンゲン、テュービンゲンと並び、ドイツの4大大学都市として古くから栄えてきた。かのグリム兄弟が学生時代を過ごした町、ルターが宗教論争を戦わせた場所としても知られている。旧市街はライン渓谷の険しい斜面の上部に築かれており、そこに張り巡らされた石畳の細い坂道がノスタルジーを誘う。まずは中心部のマルクト広場(Marktplatz)を目指し、1527年に建てられたルネサンス様式の壮麗な市庁舎の時計台から鳴るラッパ(毎時)を聴いたら、おとぎの国への旅の始まり!

グリム兄弟が住んだ家 グリム兄弟が住んだ家
Barfüßerstraße 35

方伯城の直下に広がる旧市街オーバーシュタットの中心街はバルフューサー通り(Barfüßerstraße)。その中の1軒(3番地)に、グリム兄弟が学生時代の1802~03年に下宿した家がある。今でこそおしゃれなお店が建ち並ぶショッピング街だが、当時この界隈は薄暗く汚かったといい、兄のヤーコプは階段が多く、犬の糞だらけで物騒なことに憤慨していたのだとか。



市内最古のカフェCafé Vetter 市内最古のカフェ
Café Vetter

創業100年を超えるマールブルク最古のカフェ。現在は、4代目のザンドラ&アクセル・フェッター夫妻が店を切り盛りしている。ここでいただけるのは、ベーキングミックスや合成香料、人工甘味料などを使用しない無添加のケーキやサンドイッチなどの軽食。創業当時から代々守られてきたレシピによるホームメイド・ケーキは気取らない素朴な味わい。

Reitgasse 4, 35037 Marburg
www.cafe-vetter-marburg.de

ヘッセン方伯城ヘッセン方伯城
Landgrafenschloss

旧市街のマルクト広場から北へ向かって勾配のきつい坂を上り、ラーン川を臨む丘陵の頂に出ると、威風堂々たる方伯城がお目見え。11世紀にヘッセン伯爵の居城として建てられた城で、内部にはマールブルク大学の文化史博物館があり、市の歴史に関する資料が展示されている。この城からは、市内から遠くの山々まで、美しい風景を一望できる。

www.marburg.de/schloss

エリザベート教会エリザベート教会
Elisabethkirche

1228年に当地に居を据え、慈善活動に努めたというテューリンゲン伯爵夫人のエリザベートを奉る、ゴシック様式としてはドイツ最古の教会で、1235年にドイツ騎士団によって建設された。教会内のステンドグラスにはエリザベート夫人の生前の様子が描かれており、彼女の墓もここにある。ファサードの両側に建つ2つの塔が圧巻!

Elisabethstaße 3 35037 Marburg
www.elisabethkirche.de


ウェルテルの足跡を追って
ヴェッツラー Wetzlar

ヴェッツラー Wetzlar
行き方 フランクフルトからREで約1時間
ツーリスト・インフォメーション:Domplatz 8(大聖堂の向かい)

1774年に刊行され、当時世界的に一大ブームを巻き起こした文豪ゲーテのヒット作『若きウェルテルの悩み』。婚約者のいる女性シャルロッテに一目惚れし、恋に落ちたウェルテルの悲哀を、ゲーテが実体験を基に綴ったこの書簡体小説の舞台がヴェッツラーだ。作品を読んだことがある人なら、この町のいたるところに点在するウェルテルの軌跡をたどれば、小説の世界に迷い込んだ気分になるだろう。旧市街は小規模だが、ドーム広場(Domplatz)やコルンマルクト(Kornmarkt)には中世から変わらぬ町並みがしっかりと残されており、見ごたえ十分。

大聖堂 Dom Wetzlar大聖堂
Dom Wetzlar

13世紀初頭、近郊の町マールブルクやリンブルクで次々に町を象徴する教会の建築が決まったことに倣い、ヴェッツラーは1230年に大聖堂の建築を決めた。町の力を誇示する存在として威厳ある大聖堂の建設が目指されたが、出来上がったのは左側の塔が欠けた左右非対称のアンバランスな建物。その理由は、市行政と施主が建設予算の捻出をめぐり争っていた上、さらに14世紀に入ると市が財政難によって破産の危機に陥ってしまい、大聖堂の建設続行が叶わなくなってしまったから。未完成の外観は、時代の波に翻弄された大聖堂の数奇な運命を物語っている。

www.dom-wetzlar.de

イェルザレムの家 Jerusalemhausイェルザレムの家
Jerusalemhaus

ゲーテが『若きウェルテルの悩み』を書くきっかけとなった、友人カール=ヴィルヘルム・イェルザレムの死。小さなお店が軒を連ねるジルヘーファー通り(Silhöfer Straße)を南下した先に、イェルザレムが暮らし、1772年にピストル自殺を遂げた家が建っている。赤い木の柱と左右2つの出窓が特徴の木組みの建物は現在、博物館となっており、イェルザレムの直筆の書簡をはじめ、彼の生活を偲ばせる品々が展示されている。

開館時間:火~土14:00~17:00
Schillerplatz 5, 35578 Wetzlar

ロッテハウスロッテハウス
Lottehaus

ゲーテが恋したシャルロッテが、1753年の生誕から73年の結婚まで暮らした家。ゲーテがここへ足繁く通ったことも記録に残っている。1863年に、当地の市民のイニシアティブによってシャルロッテ記念館として保存していくことが決定した。1922年以降、博物館として『若きウェルテルの悩み』の初版や、当時のこの小説の受容の様子に関する史料を保存・展示している。なお、同じ敷地内には、産業発展を中心にヴェッツラーの歴史を紹介するStadt- und Industriemuseumと、ライカが本拠を構えるレンズの町らしく、視覚やレンズに関する展示を行うViseumの2つの博物館も併設されている。

開館時間:火~日10:00~13:00、14:00~17:00
Lottestraße 8-10, 35578 Wetzlar


自然を愛でに、ガーデニングショーへ
ギーセン Gießen

マールブルクとヴェッツラーの間にあるギーセンでは現在、第5回目となるヘッセン州ガーデニングショーが開催中だ。時間があれば、植物を愛でに、途中下車して立ち寄ってみては。

ヘッセン州ガーデニングショーヘッセン州ガーデニングショー
Landesgartenschau

市内東部、35ヘクタールの広大な公園内に咲き誇る色とりどりの花々……。ガーデニングショーでは、世界中の植物、庭に関する最新の情報が各所に散りばめられており、ただ歩いて花や草木を観賞して楽しむだけでなく、学術的な視点から造園を見る良い機会にもなる。

ギーセン駅から5番バスでLandesgericht下車、徒歩2分
入場料:大人15ユーロ(割引13.50ユーロ)
www.landesgartenschaugiessen.de

ホテル&レストラン
Hotel & Gasthausbraurei Alt-Gießen

ロッテハウスガーデニングショーを見終えてお腹が空いたら、市内へ戻って食事タイム。ギーセン駅から程近いこちらのレストランでは、ギーセンの自家醸造のビールを、ヘル(hell)、ドゥンケル(dunkel)、ヴァイツェン(Weizen)、そして季節によって替わるスペシャル(Spezial)の4種類にて提供している。また、平日の日替わりランチ・ビュッフェは6.90ユーロとお手頃。夏季にはビアガーデンも開放される。

Westanlage 30-32, 35390 Gießen
www.hotel-alt-giessen.de

最終更新 Freitag, 16 Mai 2014 13:14
 

マルセイユに行ってみよう - フランス第2の都市で太陽を満喫!

マルセイユに行ってみよう - フランス第2の都市で太陽を満喫!

マルセイユに行ってみよう - フランス第2の都市で太陽を満喫!

日照時間が延び、
遠出するのに最適な季節がやって来ました。
「燦々と照り付ける太陽の光を浴びに、
ドイツから国外へ羽を伸ばしたい!」
という方にお勧めなのが、
南仏らしい穏やかさと港町の活気を併せ持つ
フランス第2の都市マルセイユ。
日光の力でエネルギーをチャージしたら、
この街が誇る文学、建築、
そして食の世界を堪能しよう!
(取材・文:フランスニュースダイジェスト Kei Okishima)

ドイツからの行き方

OUIGO飛行機であれば、ベルリンからマルセイユ・プロヴァンス空港へ直行便で行くことができる。所要時間は約2時間。デュッセルドルフやフランクフルト、シュトゥットガルトなど、その他の主要空港からはアムステルダムやパリ、ジュネーブなどを経由することになる。

マルセイユ・プロヴァンス空港から市内のマルセイユ・サン・シャルル(Marseille-Saint-Charles)駅までは、シャトルバスで約30分。パリ旅行と併せてマルセイユも訪れたいという場合には、フランス国鉄(SNCF)が昨年、営業を開始した格安列車ウイゴー(OIGO) を利用するという手もある。パリとリヨン、ヴァランス、アヴィニョン、エクス・アン・プロヴァンス、マルセイユ、ニーム、モンペリ エを結んでおり、チケット料金は最安値のもので片道10ユーロから販売されている。パリからの所要時間は3時間強。パリの出発駅はRER線のマルヌ・シェシー(Marne-la-Vallée-Chessy)駅となるのでご注意を。

OUIGO公式ホームページ www.ouigo.com

港町を見守ってきた800年の歴史
旅の始まりはノートルダム・ド・ラ・ガルドから

ノートルダム・ド・ラ・ガルド

ボンヌ・メール19世紀まで、貿易の中心地として栄えたマルセイユ。旧港の南の丘、147.85メートルの高台に、ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院(Notre-Dame de la Garde)はそびえる。現在の寺院は19世紀に建築家エスペランデュによって建てられたものだが、歴史をたどれば基となった寺院は、1214年に丘の上に建てられていた。今年、誕生から800年を迎える。寺院の上には黄金に輝く9.72メートル、重さ約1トンの聖母マリア像が町を見下ろすように立っている。この黄金に輝く聖母マリアは「ボンヌ・メール(良き母)」と呼ばれ、これまで漁を、町を、そして住民を見守ってきた。内部のモザイク装飾は圧巻。内部には天井からいくつもの船がつり下げられていたり、海にまつわる絵画などが飾られていたりと、漁や平癒に対する感謝の気持ちから納められた奉納品が飾られている。ここから見るマルセイユは絶景。市内から徒歩で来るには、かなりの坂道を登ることになるので、バスが便利。

Basilique Notre-Dame de la Garde

Rue Fort du Sanctuaire 13281 Marseille
Tel: +33 (0)4 91 13 40 80
開館時間:4月~9月 7:00-19:15、10月~3月 7:00-18:15(9:00以降が望ましい)
アクセス:旧港(Vieux-Port)からバス 60番で、
ノートルダム・ド・ラ・ガルドのパーキングまで
www.rtm.fr

小説の舞台で一休み
モンテ・クリスト伯の舞台、イフ島へ

イフ島

1529年、フランソワ1世が町を守るための要塞として建設したイフ島の城シャトー・ディフ。その後、逃亡不可能な建築スタイルと立地から、監獄として使用されるようになった。フランス革命のリーダーとなったミラボーもここに監禁され、「専制政治論」を完成させた場所として知られている。また、作家アレクサンドル・デュマは、フランスの新聞「ジュルナル・デ・デバ」に連載した「モンテ・クリスト伯(巌窟王)」の小説の舞台にシャトー・ディフを選んだ。主人公、エドモン・ダンテスは無実の罪でシャトー・ディフに投獄され、14年間をこのイフ島で過ごしたという設定だ。シャトー・ディフの窓からは、マルセイユの高台にそびえるノートルダム・ド・ラ・ガルドが見える。

シャトー・ディフChâteau d'If

Embarcadère Frioul If
1, Quai de la Fraternité, 13001 Marseille
4月1日~5月15日 9:30-16:45、
5月16日~9月16日 9:30-18:10、
9月17日~3月31日 9:30-16:45(月休)

アクセス

マルセイユ市内からイフ島までは旧港からフェリーで約20分

イフ島行きのフェリー

Frioul If Express
Tel: +33 (0)4 96 11 03 50
www.frioul-if-express.com

ル・コルビュジエの集合住宅
ユニテ・ダビタシオンを体感

ル・コルビュジエ20世紀最大の建築家と言われるル・コルビュジエが建てた巨大な集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」。中でも一番初めに建てられたマルセイユのユニテ・ダビタシオンは、今日でも世界中の人を魅了している。

この集合住宅は第2次世界大戦後復興期の1947~52年、理想的な生活のスタイルを実現するために造られた。137メートル×56メートル×24メートル、18階建てという巨大な建物の中には23種類の異なる部屋のタイプがあり、1600人が生活することができる。この集合住宅は1つの玄関ホールから出入りするようになっており、建物全体が1つの小さな町のようなコンセプトで造られている。1階部分はピロティーになっていて、この巨大な建物を柱がしっかりと支えている姿は圧巻。ピロティーのおかげで自転車を置いたり、自由に通り抜けることができたりと、ゆったりとしたスペースが確保されている。多くの部屋がメゾネット形式になっているため、エレベーターは3階、6階のように数階ごとに停止するのも 特徴の1つ。中間階には共同のスペースや店舗があり、屋上にはプールや運動ができる場所などが設置されている。屋上ではマルセイユの空、海、山、そして太陽を満喫できる。

コルビュジエの建築内で宿泊

ユニテ・ダビタシオンの見学は、個人で見る分には無料で、売店などがあるエリアや屋上を見学することができる。しかし、この世界にゆっくりと浸りたい建築ファンやコルビュジエファンにお勧めなのが、同集合住宅内にあるホテルだ。部屋は16平方メートルまたは32 平方メートルがあり、1~ 4人まで宿泊可能。 世界中のファンが予約する人気ホテルなので、旅が決まったら早めに予約を取ろう。

ユニテ・ダビタシオン内にはミシュラン・ガイドにも紹介されているレストラン「Le Ventre de l'Architecte」がある。宿泊が難しい人は、こちらでゆっくりと食事を堪能してみては?

Unité d'Habitation

280, Boulevard Michelet 13008 Marseille

個人での見学(共有部分のみ可能)

毎日9:00-18:00

ガイド付き見学

火~土 14:30~、16:30~(各1h30、要予約)
www.marseille-tourisme.com
(Visites-GuidéesからLe Corbusier en exclusivitéを選択)

ホテル

Hôtel Le Corbusier
Tel: +33 (0)4 91 16 78 00
www.gerardin-corbusier.com

レストラン

Le Ventre de l'Architecte
Tel: +33 (0)4 91 16 78 23
www.leventredelarchitecte.com

アクセス

マルセイユ駅から地下鉄2番線(Dromel方面)
ロン・ポワン・ドゥ・プラド(Rond Point du Prado)駅下車。
その後21番、21S番、22番、22S番のいずれかのバスで
ル・コルビュジエ(Le Corbusier)駅下車。

肌が喜ぶ植物オイル
職人が作るマルセイユせっけん工場を見学

マルセイユせっけんマルセイユのせっけんは、植物性のオイルと苛性ソーダを混ぜたもの。ルイ14世の時 代の1688年10月5日、財務総監を務めていたジャン=バティスト・コルベールにより、原料の油脂はオリーブ・オイルにすることなど、マルセイユのせっけん作りの製法が定められた。現在でも伝統的な方法で作られているマルセイユせっけんは、72%の植物オイルを含んでおり、かま炊きけん化法で植物オイルとソーダを煮詰め、その後、塩水で不純 物を取り除くなど、約80時間の行程を経て生み出されている。

マルセイユせっけんを代表する「植物油脂72%」と刻印された600gのせっけんは、お土産にぴったり。ほかにも、南仏で特に有名なスポーツ、ペタンクの形をしたせっけんや、パスティス(後述)の香りがするせっけんなどもお勧めだ。また、特別注文で、結婚式の引き出物用に名前が刻印されたせっけんを注文する人や、生まれた赤ちゃんと同じ重さのせっけんを記念に作ってほしいという依頼を受けることもあるのだそう。面白いアイデアがあれば、ぜひ事前に問い合わせをしてみよう。

せっけん作り
左)圧延機に掛け、せっけん素地を均一にしている 右)最後に丸いせっけんの形にプレスする

せっけん作りを見学できるお店

Savonnerie Marseillaise de la Licorne  
34 Cours Julien 13006 Marseille
Tel: +33 (0)4 96 12 00 91
www.savon-de-marseille-licorne.com

せっけん作り見学

11時、15時、16時(日祝以外)、無料

憲章で守られている伝統スープ
ブイヤベースに舌鼓

その昔、漁師たちが売れそうにない魚や売れ残った魚などをスープにして食べたことから始まったブイヤベース(La bouillabaisse)は、今やマルセイユの代表料理として知られている。伝統的なマルセイユの本格派ブイヤベースは1980年に制定 された「ブイヤベース憲章」で守られており、材料や調理法には決まりがある。魚は地中海の岩礁に生息するもので、ホウボウ、アンコウ、マトウダイ、カサゴ、足長ガニなどの中から4種類以上の魚を使わなければならず、エビ類や貝、タコ、イカなどは入れない。ベースとなるスープは決められた小魚でだしを取る。ほかに使用される材料は、塩、タマネギ、コショウ、パセリ、じゃがいも、ニンニク、オリーブ・ オイル、サフラン、フェンネル、オレンジの樹皮など。ルイユという特製のソースと、ニンニクの香りが付けられたクルトンと一緒に提供される。最初にスープのみを客に出し、その後に魚を別の皿に盛り、提供するというのが基本的なパターンだ。

市街では複数のレストランがブイヤベースを提供しているが、きちんと調理をしているレストランでは待ち時間も長いので、余裕を持って行こう。また、量もかなり多めなことをお忘れなく。

ブイヤベース

お薦めレストラン

小さな港の前にあり、マルセイユの雰囲気にゆっくりと浸りながら
静かに過ごすことができるレストラン。
Chez Fonfon
140, Vallon des Auffes 13007 Marseille
Tel: +33 (0)4 91 52 14 38
www.chez-fonfon.com

気になる伝統料理・菓子

ピエ・エ・パケPieds et paquets
ピエ・エ・パケ

羊の足と内臓をワインとトマトソースで煮込んだ伝統料理。

ナヴェットNavette
ナヴェット

舟の形をしたビスケット。2月の聖燭節には、クレープではなくナヴェットを食べる習慣も


ご当地ものにこだわって
マルセイユでアペリティフ

アペリティフの歴史をたどっていくと、古代ローマ時代から存在していたことが分かる。古代ローマ人は食欲を増進させるため、食事の前に少しアルコールを含む特別な効能を持った飲み物を飲む習慣があった。アペリティフという言葉の語源は、ラテン語の「aperire =開く」というもの。この伝統は世紀を越えて受け継がれ、19世紀には食前に飲むすべてのアルコール飲料のことを「アペリティフ」と呼ぶようになった。マルセイユでは、アペリティフはとても大切。カフェやバーで、また、友人を自宅に招いてゆったりとしたア ペリティフの時間を楽しんでいる。日が長くなるこれからのシーズン、テラスのあるカフェでゆっくりと楽しもう。

マルセイユ生まれのリキュール「パスティス」

パスティスマルセイユのアペリティフとして欠かせないのが、マルセイユ生まれのアルコール、パスティスだ。パスティスの前身ともいわれるのが、19世紀、フランスの芸術家たちを魅了したアルコール「アブサン」。強い陶酔感と興奮をもたらすアブサンは、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、ロートレック、ランボー、ボードレールなど、フランスにいた多くの芸術家を魅了した魔のお酒と言われている。しかし20世紀に入りアブサンの製造が禁止され、その代わりにポール・リカールがアブサンの製法を改良して作ったのがパスティスだった。スターアニスやフェンネル、リコリスの香辛料が強いため、スーッとした後味が暑い気候のマルセイユに爽快感を与える。ちなみに「Pastis de Marseille(マルセイユのパスティス)」と表記するためには、アルコール度が45%以上で1リットル当たり、2g以上のアネトール(アニスの主成分)が含まれていなければならない。パスティスは水割りが一般的で、水を入れると白く濁るのが特徴。慣れてきたらカクテルにも挑戦しよう。有名どころでは、グレナデン・シロップ(sirop de grenadine)を加えたLa tomate、ミントのシロップ(sirop de menthe)を加えたLe perroquetなど。

La Cagole
マルセイユご当地ビール La Cagole

マルセイユにノスタルジックな思いを抱える幼なじみの友達2人が作ったビールメーカー。ビールの色はマルセイユの旧港(Vieux-Port)の水の色と同じだとか!初めはパニエ地区の小さなブラッセリーで作られたそうだが、今やマルセイユのご当地ビールとして浸透し、市街のブラッセリーやバー、スーパーで購入できる。
www.lacagole.com

Fada Cola
マルセイユ発の炭酸飲料 Fada Cola

お酒はちょっと、という人には、マルセイユ発の炭酸飲料水Fada Colaを。レモネードなどの炭酸飲料を展開している。La Cagoleビールも、Fada Colaも、パッケージのイラストがかわいいので、ちょっとした手土産にも喜ばれるかも。
www.fadacola.fr

最終更新 Donnerstag, 04 Juli 2019 11:53
 

ドイツ各地の民俗祭

地域の伝統を今に伝えるドイツ各地の民俗祭

伝統を後世に伝える大切な役割と、人々に日常を忘れさせ、
そのひとときを心から楽しめる娯楽性も兼ね備えた「祭り」。
それぞれの祭りにはその土地特有の慣習や歴史が
反映されていて、子どもたちにとっては、
地域で行われる民俗祭が1年のうちで
最大のイベントだったりもするだろう。
賑やかな音楽、華やかな衣装、
そこでしか食べられない料理……。
民俗祭は非日常へと誘ってくれるだけでなく、
ドイツ各地に伝わる風習に触れる良い機会ともなるはず。
(編集部: 山口 理恵)

ヘクセン・ナハト魔女の祭り ヴァルプルギスの夜
ヘクセン・ナハト
Walpurgisnacht

ブロッケン山・ハルツ
Brocken, Harz Sachsen-Anhalt

4月30日(水)

キリスト教が広まる以前、季節を2分して考えていたケルト人は、毎年5月1日に春を祝う祭りを行っていたが、その前夜には、魔女たちも夜な夜な集まって祝宴を上げていたという……。不思議な現象が起こると言われるハルツ山脈のブロッケン山は、17世紀中期以降、魔女が集まる場所として知られるようになり、現在も山頂の広場には、毎年この日に魔女や悪魔(に仮装した人)たちが押し寄せる!真夜中の山の中で、一夜限りのミステリアスな祭りを体験してみては?

www.harzinfo.de

マイスタートゥルンク 市長の武勇伝が祭りの由来
マイスタートゥルンク
Meister trunk

ローテンブルク
Rothenburg, Bayern

6月6日(金)~ 9日(月)

宗教戦争の真っただ中、ローテンブルクは新教軍に侵略され、窮地に立たされる。その際、敵の大将ティリーが出した提案が、「大量のワイン(3.25リットル)を一気に飲み干せる者がいれば、すべてを許してやろう」というもの。これを老市長ヌッシュが受けて立ち、見事にワインを飲み干して町を救ったという伝説にちなんだ祭り。パレード(8日)には大勢の観光客が訪れる。ティリー大将とヌッシュ老市長が登場する市議宴会館の仕掛け時計もお見逃しなく。

www.meistertrunk.de

ハノーファー射撃祭射撃クラブのパレードが圧巻
ハノーファー射撃祭
Schützenfest

ハノーファー
Hannover, Niedersachsen

7月4日(金)~13日(日)

約600年以上の伝統を持つ世界最大の射撃祭。当地に75ある射撃クラブのメンバーによるパレードは欧州でも最大級で、毎年150万人もの人々がこの祭りを訪れている。移動遊園地やディスコパーティーなども同時開催されるので、厳かな雰囲気の伝統的な祭りを祝うだけでなく、老若男女が楽しめる夏の一大祭りとなっている。名物はLüttje Lageというお酒。アルコール度数7~10%の地元の黒ビールと、32%の蒸留酒コルンを混ぜた伝統的な飲み物だ。

www.schuetzenfest-hannover.net

テンツェルフェスト主役は何と言っても子どもたち
テンツェルフェスト
Tänzelfest

カウフボイレン
Kaufbeuren, Bayern

7月10日(木)~21日(月)

1497年から続く、バイエルン州最古と言われる子ども祭り。毎年1000人以上の子どもたちが参加し、15世紀 の皇帝マクシミリアン1世の来訪を称える。当時の王様や貴族に扮した子どもたちの仮装パレードは壮観だ。子どものための祭典というだけあって、子ども向けプログラムが充実。ソーセージ作りや機織り、パン造りといった様々な職業を体験できる。付き添いの大人にはビールの試飲や、お風呂に浸かりながら1杯、なんていうユニークなプログラムも。

www.taenzelfest.de

カルテンブルク騎士祭1歩足を踏み入れれば、そこは中世の世界
カルテンブルク騎士祭
Kaltenberger Ritter turnier

カルテンベルク
Kaltenberg, Baden-Württemberg

7月11日(金)~27日(日)

カルテンベルク城で毎年開催される、中世を忠実に再現した祭り。中世風の屋台が80軒以上立ち並び、当時の衣 装を身にまとった人々が手工芸品や食べ物などを提供する姿を見れば、中世にタイムスリップしたような気分になるだろう。会場には中世音楽が鳴り響き、ダンサーや曲芸師、楽器の演奏者らが思い思いのパフォーマンスを披露する。ハイライトは、野外アリーナで開催される、騎士たちの臨場感溢れる決闘シーンや馬上演技。歴史的背景の解説なども行われる。

www.ritterturnier.de

キンダーツェッヒェ町を救った子どもの勇気を称える
キンダーツェッヒェ
Kinderzeche

ディンケルスビュール
Dinkelsbühl, Bayern

7月18日(金)~27日(日)

1632年春、三十年戦争でスウェーデン軍に包囲されたディンケルスビュールは降伏を迫られ、敵軍はいよいよ町を焼き払おうとする。そこで少女ローレが仲間を引き連れ、町を焼かないよう懇願すると、心を打たれた敵将は退散し、町は破壊から免れたという逸話が歴史に残る。この祭りは、このときの勇気ある子どもたちを称え、毎年開催されており、期間中、中世の面影を今に残す町の内外では、前述の史実を基にした劇や、ゴシックスタイルの衣装を着た人々のパレードが楽しめる。

www.kinderzeche.de

鉄ひげ博士が帰って来る!町医者の伝説を語り継ぐ
鉄ひげ博士が帰って来る!
Doc Eisenbarth is back in town!

フィーヒタッハ
Viechtach, Bayern

7月19日(土)~8月3日(日)

18世紀初頭に実在した伝説の名医ヨハン・アイゼンバルトは、「鉄ひげ博士」としてニーダーザクセン州のハン・ミュンデンという町で活躍し、生涯を閉じた。ヤブ医者だったとも言われるが、その理由は、変わった治療を施したからとか、腕の良さが妬まれて、同業者によってその名が付けられたという説もある。彼の生誕地である当地では、彼の功績を称え、毎年彼の 活躍ぶりをお芝居にした野外劇を開催し、期間中の上演は全8公演。
料金は大人17ユーロ、8~14歳は8ユーロ。

www.viechtacher-land.de

花の祭典町中が花で満たされる
花の祭典
Blumenkorso Bad Ems

バート・エムス
Bad Ems, Rheinland-Pfalz

8月29日(金)~9月1日(月)

米・パサディナ、フランス・ニースに次ぐ花祭りが、ドイツ有数の温泉地で開催される。地元の伯爵が市場を開いたのが始まりだが、現在は巨大なフラワーマーケットと移動遊園地が立つ一大イベントに発展。花のパレードは31日14:00〜。通りは歩行者天国となり、30台もの華やかな山車が続々とお披露目される。モチーフには『ハリー・ポッター』や『ヘンゼルとグレーテル』を題材にしたユニークなものも。使用される花はダリアだけでも150万本!観覧料は大人8ユーロ。

www.blumenkorso.de

中世スペクタクルショー中世の暮らしを芝居で再現
中世スペクタクルショー
Arnsberg Mitterlalteriches Spectaculum

アルンスベルク
Arnsberg, Nordrhein-Westfalen

9月6日(土)・7日(日)

アルンスベルク城跡で2年ごとに開催されているショー。中世に暮らした人々や兵士たちの日常を、史実に即した芝居仕立てで紹介する。城の廃墟を利用した舞台を騎士たちが馬に乗って走り回り、火の中を駆け抜けるシーンは、まさにスペクタクル。その他、中世音楽を演奏する女性バンドのコンサートが催され、夕方にはファイヤー・ショーが始まるなど、見どころ満載の2日間。会場内には、珍しい手工芸品店が並ぶスタンドや食べ物の屋台も併設されている。

www.arnsberg-info.de

アルムアプトリープ農業大国ならではの祭り
アルムアプトリープ
Almabtrieb

オーバーシュタウフェン
Oberstaufen, Bayern

9月12日(金)・19日(金)

アルプスに放牧した牛と牧人たちの帰還を祝う、アルゴイ地方の収牧祭。この両日、オーバーシュタウフェンでは、約100日間を牛とともに山で過ごした牧人たちがバイエルンの民族衣装を身にまとい、牛たちと山を下りてくる。カウベルや草花で着飾った牛たちが町の中を練り歩く光景を一目見ようと、毎年大勢の観光客も訪れ、無事牛たちを酪農家へ帰した後は、盛大な祭りが始まる。ビールやソーセージ、チーズが振る舞われ、人々はこの行事が幕を下ろすと、夏の終わりを実感する。

www.oberstaufen.de

ハイン城跡祭 個性的なプログラムが盛りだくさん
ハイン城跡祭
Hayner Burgfest

ドライアイヒェンハイン
Dreieichenhain, Hessen

9月12日(金)~14日(日)

フランクフルトの南約20キロの場所に位置するハイン城跡。当地で毎年開催される祭りは今年で75年目を迎え、今回のテーマは「野生の魔力」。敷地内では女性鷹匠によるショーや、観客が歌って踊れるコンサートなど、訪れる者を飽きさせない様々なプログラムが用意されている。会場内には子どもたちが中世の職業を体験できるコーナーも点在。小ぢんまりとしていて、ローカルな中世の雰囲気がたっぷり味わえる。1日券は大人10.50ユーロ(12歳以下は無料)。

www.hayner-burgfest.de

ブレーメン「自由市場」北ドイツのオクトーバーフェスト
ブレーメン「自由市場」
Freimarkt Bremen

ブレーメン
Bremen

10月17日(金)~11月2日(日)

北ドイツの「オクトーバーフェスト」とも称される祭りの起源は1035年。当時、地元の同業組合の許可がなくても、誰でも自由に商売ができた「自由市場」が立っていたことに由来する。近年は祭りとしての色合いが濃くなり、中央駅前広場や世界遺産の市庁舎前広場に、移動遊園地や350もの屋台、ビールテントが設置され、400万人以上が訪れる国内屈指の祭りとなった。ローラント像は巨大ハート形レープクーヘンが飾られて愛らしい印象に。名物はスモークうなぎ!

www.freimarkt.de

最終更新 Dienstag, 02 Juli 2019 17:40
 

特別展「カンディンスキー、マレーヴィッチ、モンドリアン - 限りなく白い深淵」

カンディンスキー、マレーヴィッチ、モンドリアン特別展 限りなく白い深淵


カンディンスキー、マレーヴィッチ、モンドリアン。
20世紀を代表する3人の抽象画家の作品を、
デュッセルドルフのK20が
「白」というテーマに基づいてセレクトし、特別展を開催する。
題して『限りなく白い深淵』。
通常はカンバスの上で脇役に甘んじる白という色に、
3人の作家はどのような想いを込めたのだろうか。

2014年4月5日(土)〜7月6日(日)
開館時間:火水日祝 10:00–18:00 木金土 10:00–22:00 月曜休館
入場料:大人12ユーロ、割引9.50ユーロ
Kunstsammlung NRW K20 Grabbeplatz
Grabbeplatz 5 40213 Düsseldorf
Tel: 0211-8381 204 www.kunstsammlung.de

ワシーリー・カンディンスキーはロシア出身、「抽象絵画の父」と称される作家だ。彼は、音楽が“対象”を介さずに聴く者の感性や感覚を直接喚起するのと同じように、絵画が具象の物語性から離れ、純粋な色彩と形態だけで見る者に働き掛けることを目指した。

カンディンスキー初期の抽象絵画は、野獣派にも通じる色彩の乱舞が特徴的だが、後期の作品では色彩と幾何学的造形が画面上ですっきりと統合されている。そこで「白」は重要な役割を果たした。色彩が“和音”を奏でる役割を持つならば、白は“無音”、つまり静寂の役割を果たし、画面全体に安定感を与えている。色と形の冒険を繰り返してきた画家にとって、白はすべての色が消えた世界、喜怒哀楽や創作の葛藤を包み込んでくれる宇宙の象徴だった。カンディンスキーは言う。「白は我々の精神に大きな沈黙として働き掛ける。それは死ではなく無限の可能性なのだ」と。

カンディンスキー

一方、同じくロシア出身のカジミール・マレーヴィッチは、色や形を画面からどんどん排除していくことで、創作の意味そのものを揺るがす作品群を世に送り出した。カンディンスキーが様々な色や形の心理的効果を作品に利用したのに対し、マレーヴィッチは白黒の円や正方形だけを使うことにより、作者の意図や鑑賞者の感想の一切を拒否したのだ。その過激さは、ロシア革命という時代背景抜きには語れない。新時代を創造するには、芸術においてもすべての既存のアプローチを超越する理念が必要だった。

マレーヴィッチにとっては、「白」こそが革命への回答だった。彼は、「白く自由な限りない深淵が我々の前に横たわっている」と語っている。色を超え、理念として立ち現れる「白」。マレーヴィッチはそこに、どこまでも自由な「無」を見ていた。それは停止や無気力感ではなく、色やフォルムを意識的に超えて勝ち取られた、未知数としての「無」だったのだ。

そして、オランダの作家ピエト・モンドリアンである。その作品は1度見れば、まず忘れることはないだろう。真っ白なカンバスが黒い縦横の直線で分割され、線の交わりによってできた四角形のうち、ごく一部が赤、青、または黄色で塗りつぶされている。同じ幾何学的抽象であっても、有機性を感じさせるカンディンスキーの作品に比べて、無機的で取り付く島がない印象だ。

マレーヴィッチ

しかし、モンドリアンにしても、自分が肯定する世界の原理を描こうとした点ではカンディンスキーやマレーヴィッチと一致する。モンドリアンは、そのミニマルな表現で、どこまでも静謐で均衡の取れた世界を表現した。2度の世界大戦の狂気と混沌を体験したモンドリアンにとって、作品上の完璧な秩序は作家として、そして人間としての意思表示だったのだ。「コンポジション」というタイトルの作品が多いが、カンディンスキーの同題の作品群が「作曲」へのオマージュであったのに対し、モンドリアンのそれは「構成」である。そこでは、白が画面のほとんどを埋めることで初めて、最小限の線と色が最大限の意味と効果を持つことになる。

作品にそれぞれのユートピアを託した3人の作家たち。彼らが描いた未来が実現したのかどうか、本展の「白」を見つめながら考えてみたい。

(Kunstsammlung NRW 非常勤スタッフ 田中聖香)

最終更新 Dienstag, 02 Juli 2019 16:24
 

ドイツの音楽祭アラカルト2014

楽しみ方いろいろ ドイツの音楽祭アラカルト

暖かくなり、外出するのが楽しくなってきたこの季節。
それは、ドイツ各地で開催される音楽祭の始まりを意味します。
解放感溢れる野外コンサートに出掛けるも良し、
おめかしして夜の音楽祭を訪れてみるのも良し。
楽しみ方は人それぞれ、自由自在です。
今回は、クラシックからジャズ、ロックまで、
あらゆるジャンルの音楽祭を一挙にご紹介します。
(編集部:山口 理恵)

4月26日(土)~5月4日(日)
ハノーファー

国際アカペラ週間
14. Internationale A-Capella-Woche

国際アカペラ週間

期待の新星を発掘しつつ、アカペラ界で名を馳せるグループの歌を1週間にわたって披露する。楽曲のジャンルは聖歌からポップ、ダンスミュージックまで多岐にわたり、今年も様々な国からアーティストが参加する。目玉は米国のニューヨーク・ポリフォニー。中世の宗教曲を得意とする4人の正統派アカペラグループのハーモニーを、この機会にぜひ。

www.acappellawoche.com

5月9日(金)~7月12日(土)
ルール地方

ルール・ピアノ・フェスティバル
Klavier-Festival Ruhr

ルール・ピアノ・フェスティバル

ルール地方各地で開催される音楽祭は、毎回、ライヴ演奏を収録したアルバムが発売されるほどの人気。その理由は、参加する著名なゲストの顔ぶれにある。今年は中国のラン・ラン(5月16日)や、1996年以来、毎年、別府アルゲリッチ音楽祭を開催しているマルタ・アルゲリッチ(7月11日)が参加する。豪華なピアニストがそろうぜいたくな音楽祭。

www.klavierfestival.de

5月23日(金)、24日(土)
ハンブルク

エルプジャズ・フェスティバル
ELBJAZZ Festival 2014

エルプジャズ・フェスティバル

爽やかな初夏の風を感じながら、野外でジャズを楽しめる2日間。今年は、日本でも話題のダニエル・グラッツェル率いる19人のジャズバンド、アンドロメダ・メガ・エクスプレス・オーケストラがベルリンから参加。聴き逃せないのは、米音楽界最高峰のグラミー賞でベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞したグレゴリー・ポーターの歌声だ。

www.elbjazz.de

5月23日(金)~6月29日(日)
ヴュルツブルク

モーツァルト音楽祭
Mozartfest Würzburg

モーツァルト音楽祭

歴史的にオーストリアのザルツブルク音楽祭と双璧をなす音楽祭。今年もレジデンツの庭園で開かれる無料の"Mozart-Tag"を皮切りに、盛大に開催される。レジデンツのカイザーザール(皇帝の間)には、バイエルン放送交響楽団と、世界的に有名なクラリネット奏者で作曲家でもあるヨルク・ヴィトマンを迎え、モーツァルトの美しい旋律が奏でられる。

www.mozartfest.de

6月5日(木)~8日(日)
ニュルブルクリンク

ロック・アム・リング
Rock am Ring 2014

Rock am Ring 2014

サーキット内で開催される、欧州最大級のロックフェスティバル。今年は約85組のバンドが参加し、世界中で圧倒的な人気を誇るリンキン・パークや、多国籍パンクバンドのゴーゴル・ボルデロなどが、会場を熱狂の渦に巻き込む。日本からは大阪出身のメタルコアバンドCrossfaithが、ワールドデビューアルバム「APOCALYZE」を引っ提げて参加する。

www.rock-am-ring.com

6月13日(金)~22日(日)
ライプツィヒ

ライプツィヒ・バッハ音楽祭
Bach Festival Leipzig

ライプツィヒ・バッハ音楽祭

今年はヨハン・セバスチャン・バッハの次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの生誕300年という記念年。プログラムは、彼と代父ゲオルク・フィリップ・テレマン、父バッハの作品で構成され、後世の音楽家に影響を与えた彼の古典派音楽の価値を再認識できる。ゲストには、カナダからターフェルムジーク・バロック・オーケストラを招へいする。

www.bach-leipzig.de

6月20日(金)~9月21日(日)
メクレンブルク=フォアポンメルン

メクレンブルク=フォアポンメルン音楽祭
Festspiele Mecklenburg-Vorpommern

メクレンブルク=フォアポンメルン音楽祭

3カ月にわたり開催される当地の音楽祭は、州内69カ所の会場に約270組のアーティストを迎え、盛大に催される。中でも注目なのは、飛び抜けた技巧、芸術的センスを併せ持つ、今世紀最大の天才ピアニストと称されるイゴール・レヴィット。ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・ドイツ交響楽団などとの共演が予定されている。

www.festspiele-mv.de

6月28日(土)~9月13日(土)
ラインガウ

ラインガウ音楽祭
Rheingau Musik Festival

ラインガウ音楽祭

1988年から続く、ライン河畔の町々で開催されるこの音楽祭は、有名な演奏家が登場することで有名。今回は、デュイスブルク生まれの正統派バイオリニスト、フランツ・ぺーター・ツィマーマンや、現役ピアニストの中で最も高い評価を得ているイタリアのマウリツィオ・ポリーニのパフォーマンスが楽しめる。45の会場で全159のコンサートが催される。

www.rheingau-musik-festival.de

7月31日(木)~8月2日(土)
ヴァッケン

ヴァッケン・オープン・エア
Wacken Open Air

ヴァッケン・オープン・エア

世界最大のハードロック&ヘビーメタル・イベントは、北部の小さな町ヴァッケンで毎年開催され、今年で25回目。地元のバンドSKYLINEが町おこしとして始め、今でも地域の住民が一丸となって支え続けているフェスティバルだ。参加バンド数は約70組に上り、前夜祭の前夜祭が開催されるなど、ファン待望の一大イベントが今年も畑のど真ん中に現れる。

www.wacken.com

8月1日(金)~3日(日)
ハンスブリュック

ネイチャー・ワン
Nature One - The Golden 20

Nature One – The Golden 20

エレクトロ系やダンスミュージックで人気の音楽祭。観客動員数は年々増え続け、昨年は6万4000人が訪れた。照明技術も見どころで、野外に設置された会場では、ステージごとにハードコア、ハウス、テクノ、トランスと、それぞれ違ったライヴが楽しめる。参加DJは約70組で、日本からは東京を中心に活躍するカツ・アライ氏がテクノ・フロアに登場する。

www.nature-one.de

8月13日(水)~8月17日(日)
キームゼー

キームゼー・サマー
CHIEMSEE SUMMER

CHIEMSEE SUMMER

ブラック、レゲエ、ポップと多彩な音楽が楽しめるフェスティバルには、5日間の期間中に100以上のバンドが登場。レゲエ界からは、65歳の現在も現役で活躍するジミー・クリフが、ドイツのシンガーソングライターで、ヨーロッパ版グラミー賞・エコーでベスト・ミュージック・ビデオ賞にノミネートされたボッセも登場。自分の好みの音楽を開拓できるかも。

www.chiemsee-summer.de

8月23日(土)19:30
ベルリン

ベルリン野外オペラ「魔笛」
Open Air in der Waldbühne Berlin: Die Zauberflöte

ベルリン野外オペラ「魔笛」

毎年恒例、一夜限りの夏の野外オペラで、今年はモーツァルトの「魔笛」が上演される。ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団やコーラスとともに、悪人ザラストロ役で登場するのは、ドイツ内外で引っ張りだこのバリトン歌手アンテ・イェルクニカ。劇場に引けを取らない大掛かりな演出に加え、夕暮れ時の野外オペラは、背景の自然と相まって迫力満点。

www.deutscheoperberlin.de

リヒャルト・シュトラウス生誕150周年!
リヒャルト・シュトラウス・フェスティバル

リヒャルト・シュトラウス・フェスティバル
Richard Strauss Festival 2014

リヒャルト・ゲオルク・シュトラウス
Richard Georg Strauss
1864–1949
シュトラウス
ミュンヘンに生まれ、宮廷歌劇場の首席ホルン演奏者であった父親の影響で、子どもの頃から英才教育を受ける。6歳で作曲を始め、学生時代にはソナタやオーケストラの楽曲に着手した。生涯で手掛けた作品にはオペラが多く、ドイツの後期ロマン派を代表する作曲家として偉大な功績を残した。

2014年6月11日(水)~19日(木)

リヒャルト・シュトラウスが、死去するまでの40年間を過ごしたガルミッシュ=パルテンキルヒェンにおいて、生誕150年を記念した盛大な音楽祭が催される。プラハ放送交響楽団がオープニングを飾り、期間中は様々なアーティストによるコンサートも開催される。

www.gapa.de/Richard-Strauss-Festival


最終更新 Donnerstag, 04 Juli 2019 15:22
 

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