デッキ・ブラシのような形をした道具で氷面をこすり上げる動作が特徴的なカーリングは、冬季五輪における人気種目の一つ。
この種目において今最も注目を集めている存在が、2010年のバンクーバー冬季五輪で日本の女子代表と熱戦を繰り広げた英国のイブ・ミュアヘッド選手だ。前大会は弱冠19歳で英国代表のスキップ(主将)として参戦。
13年には世界選手権を含む主要大会を軒並み制するなどしており、ソチ冬季五輪での金メダル獲得が有望視されている。
1990年4月22日生まれ、スコットランド中部パース出身。父親はアルベールビル冬季五輪に出場、兄弟は世界ジュニアカーリング選手権で優勝を果たすなどといったカーリング一家で育つ。9歳でカーリングを始め、ジュニア時代から国際舞台で活躍、2010年に開催されたバンクーバー冬季五輪では19歳で初出場ながらスキップ(主将)を務めた。13年にはカーリングにおける主要大会となる、国内選手権、世界選手権、プレーヤーズ・チャンピオンズシップの3つすべてを制覇し、グランド・スラムを達成。ソチ冬季五輪への出場が決定した最初の英国代表選手となった。ゴルフはハンディキャップが2の腕前。またバグパイプの世界選手権出場歴もある。
「大変なこともありましたが、『能力が十分なら、
年齢も十分』と自分に言い聞かせていました」
ご家族は、父親、母親、そして2人のご兄弟までもがカーリング選手であるというカーリング一家だと伺いました。ご家族で食卓を囲んでいるときなどにも、カーリング談義に花を咲かせているのでしょうか。
家族としてのくつろぎの時間を過ごしている間には、できるだけカーリングについての話題は避けるようにしています。というのも、いったんカーリングについて話し始めたら、必ず白熱した議論へと発展してしまうことを知っているからです。家族のメンバーがそれぞれ個別の意見を持っていて、しかも各々の意見が全く異なるので本当に困ってしまいます。
ここまでお話すれば、もうお分かりでしょう。実際のところは、食卓を囲んでいる間もカーリングについて話してしまうことが多いですね。
2010年に開催されたバンクーバー冬季五輪では、まだ10代であったにも関わらず、英国代表のスキップ(カーリング競技における主将)として大会に出場されました。年上のチームメートたちを率いるのは難しくなかったですか。
確かに大変なこともありましたが、「能力が十分であれば、年齢も十分」と自分に言い聞かせながら大会には臨みました。つまり必要な能力さえ備えていれば年齢など関係ない、ということです。チームメートたちとの年齢の違いについては気にせず、英国代表チームの一員として何ができるかという点に集中するようにしていました。

2010年に開催されたバンクーバー冬季五輪での
対日本代表戦で投球を行うミュアヘッド選手
バンクーバー冬季五輪において、カーリングの英国女子代表は期待されていたメダルを逃しました。敗因は何だったのでしょう。
単に私たちが本来ならすべきことをできなかった、というだけです。英国女子代表チームの全員が同時に不調の状態に陥ってしまっていました。
バンクーバー冬季五輪から4年が経過しました。あれから英国代表はどのような成長を遂げたと思いますか。
あのときと比べてずっと強いチームになったと思います。氷上での練習に加えて、ジムにおいてもかなりの量の筋力トレーニング、コンディショニング・トレーニング、有酸素トレーニングをこなしています。現在は、スコットランドにおけるスポーツや競技者の支援を行う機関である「スポーツ・スコットランド・インスティチュート・オブ・スポーツ」から多大な支援を受けながら、献身的な取り組みを行っているところです。
ソチ冬季五輪で金メダルを獲得する自信はありますか。
現世界王者としての実績を鑑みれば、私たちのチームには、五輪のような大きな大会を制する実力が備わっていると思います。我々のチームは、カーリングにおける主要大会をすべて制するグランド・スラムを達成しました。大会ごとに優勝国が異なるというのであれば話はまた変わりますが、グランド・スラムという形で主要な大会すべてを制したことで、私たちが真に世界最高のチームであることを証明することができたのではないかと自負しています。また私たちはグランド・スラムを達成した初めての欧州出身チームであり、さらには1年の間にグランド・スラムを達成したのは史上初と、この初物づくしの記録は私たちのカーリング選手としてのキャリアにおいて非常に大きな意味合いを持っていると思います。
冬季五輪に臨むに当たって何が一番の課題となると思いますか。
確かに五輪の舞台では厳しい戦いを経験することになるでしょう。でも、だからといって五輪を特別視することなく、ほかの競技大会と同じように取り組むことができれば、良い結果につながるのではないかと考えています。

ラトビアの首都リガで行われたカーリングの女子世界選手権の決勝で
スウェーデンを下し、ガッツポーズ
「ロンドン五輪を観戦して、
私たちも表彰台の上に立ちたいという気持ちを強くしました」
ソチ冬季五輪ではどの国が最大のライバルになると思いますか。
五輪ではすべての試合において手強い対戦相手と戦うことになると思いますが、最大の強敵はカナダとスウェーデンになるでしょう。
バンクーバー冬季五輪のカーリング女子における日本代表対英国代表の激戦と、あの試合でミュアヘッド選手が最後に見せたスーパーショットを覚えている日本人は多いと思います。
あの試合で英国代表は日本代表に負けてしまったので……。ただあのショットは今でもよく覚えていますし、これからもきっと忘れることのないプレーになるだろうと思います。
バンクーバー冬季五輪以降、日本代表選手との交流などはあるのでしょうか。
日本の女子代表とは今でも遠征先でよくお会いします。特にカナダ遠征でお見掛けすることが多い気がしますね。
カーリング選手として活躍しているだけではなく、ゴルフはシングル・プレーヤーの腕前、バグパイプでは世界選手権に出場するほどの実力を持っていると伺いました。それぞれ何か共通点はあるのでしょうか。
共通点は、すべて私の故郷であるスコットランドの伝統を受け継いでいるということですよ!
12年に開催されたロンドン五輪では、開催期間中に観戦に出掛けたそうですね。
ロンドン五輪は私にとって最高の思い出となりました。そしてロンドン五輪のメダリストたちのように、私もあの表彰台の上に立ちたいという思いを強くするきっかけになったという点でも、私にとって大きな意味を持つ出来事です。ロンドン五輪を観戦して以来、ソチ冬季五輪に向けての練習もよりハードに行うようになりました。

スコットランド西部グラスゴーで行われたフェスティバルで、
バグパイプを手にポーズをつくる(右端)
「注目されることを楽しみ、
また注目を自身の力にすることができるようになりました」
ロンドン五輪において、特に印象に残った場面などありましたか。
陸上の7種競技で金メダルを獲得した英国のジェシカ・エニス選手が競技を行う瞬間を、五輪スタジアムで観戦できたことは大変幸運だったと思います。私にとって、彼女は言わば生きた教科書です。精神的重圧に耐えるだけでなく、その重圧を精神力と自信に変えてみせる姿を見て、私もあのように振る舞いたいと感じました。実際、今では注目されることを楽しみ、またそうした注目を前向きに捉えて、自身の力にしています。
初の五輪出場となったバンクーバー冬季五輪においては、その辺りがうまくいかなかったというのが反省点です。周囲からの期待にきちんと向き合うことができなかったというか。ただ長期的な視点で見れば、そうした失敗を経験したことが、私の人生にはプラスに働くことになるかもしれないと思っています。
実際に経験してみなければ分からないことってあると思うのです。そうした失敗は時間をかけて咀嚼(そしゃく)し、必要なときにはきっぱりと気持ちを切り替えることが大切だと考えています。
最後に、ソチ冬季五輪への意気込みを教えてください。
バンクーバー冬季五輪のときには、私はまだ新米でした。今回は真の意味でチームを率いる立場にあります。だからこそ、今回のソチ冬季五輪は私にとってさらに特別な意味合いを持った大会となりそうです。
カーリング Curling
高度な戦略を必要とするため、「氷上のチェス」との別名を持つウインター・スポーツ。4人で構成されたチームが交互に8回ずつ石を氷上に滑らせるように投げ、最終的に氷上に描かれた円の中心に石を最も近付けたチームがその数に応じて点を得る。1人が指示を出し、1人が投げ、残る2人がデッキ・ブラシ状の道具で氷面をこすって石の方向や速度を調節。10セットを行い、総得点が多い方が勝者となる。
15世紀にスコットランドで発祥したとされており、現在でも国際大会で使用される石には同アルサクレイグ島特産の花こう岩が使用されている。また各選手にはワイヤレス・マイクが装着されるため、観戦者は試合中の選手の会話を聞き取ることができる。



パン柄トートバック販売中






外装やインテリアそのものが鑑賞に値する展示物のようなつくりとなっている、デザイナーズ・ホテル。多種のサービスが行き届いた大手ホテル・チェーンや、場合によっては宿の主人との個人的な交遊さえ深めることのできるB&B での宿泊も良いけれど、たまには趣向を変えて、デザイナーズ・ホテルに泊まってみるのもいい。
数えきれないほどのホテルが存在するロンドン市内にはデザイナーズ・ホテルもたくさんあるが、やはり相当に割高であるというのが現実。そこでここでは100ポンド前後で利用できる場所に加えて、ロンドン在住者が宿泊せずとも気軽に利用できるサービスを提供するデザイナーズ・ホテルを紹介する。






















ロンドン中心部のハイド・パークで開かれる「ウィンター・ワンダーランド」は、クリスマス・グッズを販売するストール以外にも様々な仕掛けや催し物がいっぱい。観覧車、アイススケート場、絶叫マシーン、マジック・ショー、DJ ブースなど、遊園地並みの大掛かりで充実したアトラクションが用意されている。また昨年好評だった氷の彫刻の展示スペースを今年は2倍に拡大。敷地内には飲食スペースもそろっているので、家族や友達と出掛ければ優に半日以上を過ごすことができる巨大なエンターテインメント施設となっている。
19世紀にタバコの倉庫として建設された建物をイベント・スペースとして再開発したロンドン東部の「タバコ・ドック」では、食べ物に特化したクリスマス・マーケットが実施される。入場券が若干割高にも思えるが、いったん入場してしまえば敷地内にあるほぼすべての食べ物の試食が無料。しかもそれらの試食品は、ミシュランの2ツ星を獲得したセレブ・シェフのミシェル・ルー・ジュニアや高級インド・レストランの「シナモン・クラブ」などがプロデュースしているものなので、実はかなりお得な料金設定となっている。
テムズ河に架かる跳開橋タワー・ブリッジ付近一帯を「モア・ロンドン」と呼ぶ。ロンドン市庁舎を始めとする近代的なビルが立ち並ぶこの地区でもクリスマス・マーケットが開催。ほかのクリスマス・マーケットとの一番の違いは、世界中から商品が集まるロンドンにしては珍しく、同地区を拠点として活動する、食べ物、ファッション、土産物の店舗や業者が中心となってストールを出店しているということ。また本物のトナカイも登場。夜空の下でライトアップされたタワー・ブリッジの麓で、クリスマスの雰囲気をたっぷりと味わうことができるはず。
ユネスコの世界遺産に指定されている、ロンドン西部の巨大な植物園キュー・ガー
デンズは、毎年冬になるとクリスマスにちなんだユニークな催しを開くことで知られている。今年の冬には、また新たな試みを開始。園内の湖沿いに英国人アーティストが製作したインスタレーション作品を並べ、日没後は約1.6キロに及ぶこの小道をライトアップする。冬の大自然とアートと光が融合した幻想的な光景は、ロンドンの新たな観光スポットとなるはず。食べ物のストール、メリーゴーランド、サンタ小屋、音楽の生演奏など、毎年恒例のアトラクションも充実している。
ロンドン中心部を流れるテムズ河の南岸沿いで開かれるクリスマス・マーケット。巨大観覧車ロンドン・アイから多目的施設のサウスバンク・センター前まで続く道に約80軒のストールが並ぶ。また一日に2回、聖歌隊の合唱が披露され、無料で見学可。さらにウォータールー駅側の入り口前ではほかにもたくさんのマーケットを開催しており、甘党を惹きつける「チョコレート・フェスティバル」や各地の特産物ばかりを集めた「リアル・フード・マーケット」、さらにはデザイナー商品を集めたマーケットなどの企画が目白押しだ。
DJが奏でる音楽に耳を澄ませ、カフェで提供されるケーキを頬張りながら、デザ
イナー・グッズの買い物を楽しむというユニークな趣向を打ち出すマーケット。しかもストールに並ぶのは、こだわりの品ばかり。70人に及ぶ英国人デザイナーがハンドメイドで制作した作品には、それぞれ創作のきっかけや制作の苦労といったストーリーがたっぷりと詰まっているのだという。デザイナー本人から指導を受けながらグッズ作りを体験できるワークショップに加えて、子供たちも一緒に楽しむことができる切り絵教室も開催される予定。
イタリアの著名シンガー&ソング・ライターであることに加えて、ピアニスト、画家、弁護士としても活動するという特異な肩書きを持つパウロ・コンテ。古き良きイタリア映画のサウンドトラックとして流れてきそうな渋い歌声が特徴だ。甘美なメロディーに合わせて「ドゥ・ドゥ」とささやくスキャットが印象的な彼の「イッツ・ワンダフル」は不朽の名曲。
プランBやディジー・ラスカルなどといった英ヒップホップ界のアーティストたちとも数多くの共演を果たしているライオット・ジャズ・ブラス・バンド。マンチェスター出身のメンバーが編成するこのブラス・バンドが、ファンク、ソウル、ヒップホップなどをごちゃ混ぜにした音楽で盛り上げる。クラリネット奏者のシャバカ・ハッチングスが前座として登場。
世界で最も権威ある音楽賞とされるグラミー賞を3回も受賞した超一流のベーシストが、クリスチャン・マクブライドだ。音楽の名門校ジュリアード学院を卒業し、40歳の時点で既に300以上の録音に参加、「最も多くの録音を行ったジャズ・ミュージシャン」との称号を得た売れっ子ミュージシャンの演奏を生で観賞することができる稀有な機会。
バーミンガム出身、弱冠20歳のルーベン・ジェームズは、英国のジャズ界で神童扱いを受けている若手ピアニスト。ジャズ、ゴスペル、ヒップホップ、クラシック音楽を取り混ぜた独創的な演奏で知られる。海外での注目も高まっていることから、「606クラブ」のような小規模のジャズ・バーで彼の姿を見られるのも今後は少なくなっていくかもしれない。
米ピアニストのブラッド・メルドーが、ドラム奏者のマーク・ジュリアナとコラボを行う。予め決められたルールなしに、アドリブを果てしなく続けるという形式で演奏を披露。ジャズをジャズたらしめているアドリブの魅力を十分に堪能できるパフォーマンスとなるはず。アフリカ・南米系の音楽を組み合わせた「サンズ・オブ・ケメット」とのダブル・ビル。
ロンドンで毎年夏に開催される音楽の祭典「プロムス」にも出演歴のあるウェールズ出身のピアニスト、グウィリム・シムコックが登場。大手ピザ・チェーン店「ピザ・エクスプレス」が所有するジャズ・バーで演奏を繰り広げる。複雑かつ高度な音楽理論を駆使して奏でられる彼のメロディーが、ピザが行き来する少々猥雑な会場に響きわたる、異色の音楽空間となるはず。
「浪人」という日本語を名とするこのバンドは、過去に「乱取り」「非思量」といったタイトルのアルバムを発表し、CDのジャケットには葛飾北斎の浮世絵を使用するなど日本文化から多大な影響を受けているのだという。自らの音楽ジャンルを「禅ファンク」と表現する、摩訶不思議なバンドが今年のロンドン・ジャズ・フェスティバルに参加する。















































