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ジャパンダイジェスト
Fr. 05. Jun. 2020

ドクターの診察室
ドクターの診察室: 健康に関する悩み・質問にDr. 馬場が答えます!

新型コロナウイルスもし検査で陽性だったら?

新型コロナウイルスに感染していないか心配です。もし検査で陽性と判断されたら、ドイツではどうしたら良いのでしょうか。また、よく聞く自宅隔離とは何でしょう。

Point

  • PCR検査では現在の感染有無を判定
  • 抗体検査は最近・過去の感染有無を判定
  • PCR陽性の場合は2週間の自宅隔離が基本
  • 重症感染者と高リスク患者は入院して治療
  • 「回復」はロベルト・コッホ研究所(RKI)の基準で判定する
  • 予防の基本は「手洗い・距離・換気」

CR(RT-PCR)検査とは?

● 症状が軽い人の場合

感染者との接触がなく症状が軽い場合、掛かりつけ医(Hausarzt/-ärztin ハウスアルツト)または専用検査施設にて、鼻咽頭拭い液(スワブ)を採取してもらって調べます(RKI)。



PCR検査と対応の流れ
PCR検査と対応の流れ

● 現在のウイルス遺伝子の有無を知る

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)遺伝子に特徴的な部分の配列だけを切り出して増幅させ、ウイルス遺伝子の有無を判定。採取時点での感染の有無が分かります。

● PCR検査の精度は?

「陽性 = SARS-CoV-2感染」という特異度(Specifität)が高いのが特徴です。一方「陰性 = 感染なし」ではなく、①感染のごく初期、②採取した検体中のウイルスが少ない時、③綿棒が鼻咽頭に達しなかったような時は、感染していても「陰性」となることも。強く疑われる場合は、繰り返し検査が必要とされています(3月の放射線医学誌 EJRの論文)。

抗体(Antikörper)検査

● 血液を用いて検査

ハウスアルツトで採血し、検査ラボで血液(Blut)の中の抗体の有無をELISA法(抗原抗体反応を利用して微量生体物質を定量する方法)によって測定します。

● 最近・過去の感染の有無を知る

感染後の時間経過と共に異なるタイプの免疫グロブリン(Ig)抗体が産生されます。Ig-M抗体、Ig-A抗体の増加は最近の感染を、Ig-G抗体増加は過去の感染を示し、Ig-A抗体とIg-G抗体を同時に測定できる診断キットもあります(ドイツのEUROIMMUN AG社)。信頼性の高い診断キットは供給が追いついていない状態です。

● 米国住民の抗体検査

米国シリコンバレーのあるサンタ・クララ(Santa Clara)郡の住民を対象に行った抗体検査結果では、PCR検査で確認された感染者数の約50倍がすでに感染している可能性が示されました(4月17日の英国の科学雑誌 Nature誌)。一方、抗体陽性が長期的に再感染の予防に繋がるのかどうか、必ずしもまだ明らかではありません。

陽性の場合は2週間の自宅隔離

● 入院は重症患者、高リスク患者のため

PCR検査で陽性判定が出ても症状が軽く、重症化のリスク(免疫不全、高齢、慢性疾患)が無い場合は、14日間自宅で隔離生活(häusliche Quarantäne、Häusliche Isolierung)を送ります。 その間もハウスアルツト(または担当医)と連絡を保ちます。

● 自宅での隔離生活はどのように?

外出の禁止、共同生活者(家族)との接触も制限、外部の第三者(郵便配達人、配送業者、隣人、友人など)との直接接触も避けます。同居者がいる場合、感染者はできるだけ自室内にとどまり、共用キッチン、浴室への立入りは必要最小限にします。

● 自宅隔離中の衛生管理

RKIのガイドライン(3月24日)にのっとって、住居内の衛生管理、洗濯、掃除、消毒、ゴミ処理を行います。

● 自宅隔離中に症状が悪化した場合

仮に自宅隔離中に症状増悪がみられた場合は、ハウスアルツトに速やかに連絡し、保健所と協議して入院の手続きがとられます。

● 感染者の同居者の扱い

同居者も感染リスクが高いため(4月15日付のRKIの接触者カテゴリー1に相当)、感染者の自宅隔離終了後(あるいは最後に会った後)14日間は、同居者も保健所(Gesuntheitsamt)への状況報告、1日2回の検温、症状の有無を自己チェック、接触者の名前を記録します。症状があれば、PCR検査が行われます。

自宅での2週間の隔離生活

  • •保健所へ連絡
  • •ハウスアルツトとの連絡を保つ
  • •最初から無症状であれば14日で終了
  • •最初に症状があれば14日以上経ち最後の48時間に症状がなければ終了
  • •自宅での生活
    ・外出は禁止
    ・共同生活者(家族)との接触に制限
    ・外部者との接触は避ける
    ・衛生管理の規定あり(洗濯、掃除、消毒、ゴミ処理など)

「治りました」の基準

● 回復者の数は?

ドイツでは、累積感染者16万人のうち79%が回復者(wieder gesund、genesene Fälle)として報告されています(5月2日現在、ベルリーナー・モルゲンポスト紙)。ただし、「治った」とする国際的な基準はなく、回復を通知する義務もないため、あくまで推測数です。

● 自己隔離者の「回復」

最初から症状がない感染者は14日間の自宅隔離の終了で「回復」とされます。何らかの症状があった場合は、14日間以上の自己隔離を行い、最後の48時間に症状がなかった場合を「回復」とします(4月17日発表のRKIの定義)。

● 入院感染者の「回復」

症状が48時間以上なく、最後の24時間以内に行われる2度のPCR検査が陰性の場合に「回復」とされます(同上の定義)。

● 退院して自己隔離へ移行した場合

入院中に症状が改善し、退院して自宅での隔離生活に移った場合、退院してから少なくとも14日間の自己隔離を完了し、最後の48時間に症状がなかった場合を「回復」とします(同上の定義)。

● 回復後、再び陽性の報告

PCR検査で陰性になった後に再陽性となった感染者が、韓国では5月2日までに335名おり(韓国疾病予防管理局の発表)、WHOも含めその原因が議論されています。

感染の流れを読む

● 実効再生産数 relative Reproduktionszahl = R

1人の感染者が何人に感染を拡げたかを示します。Rが1より大きいと感染拡大の恐れがあり、 1より小さい場合は感染は収束の方向です。現在のドイツは「0.79」(5月2日のフランクフルター・アルゲマイネ紙)です。

● 新感染者数の増加率 Wachstumsrate

ドイツの1日当たりの感染者数の増加率は3月の一時期は最大で46%もありましたが、生活・行動制限が始まった後の5月1日には1%まで低下しています。

● 累積感染者数 Gesamt-Fallzahlen

今までにPCR検査にて「陽性」と判定された人の総数です。国、地域によって検査基準や検査処理能力も異なるため、単純に数だけを比較するのは注意が必要です。

今後も注意すること

● 基本は「手洗い・距離 ・換気・人混みを避ける」

手指へのウイルスの付着は、ちょうど塗りたてのペンキの世界を手で触れ回るのと似ています(4月15日のNHKのNews Upより)。手洗いをこまめに、他人との距離は1.5メートル以上、頻繁に部屋の換気を行い、人混みは避けるようにましょう。

● 十分な睡眠と休息

睡眠は感染に対する抵抗力を高め、睡眠不足は免疫を低下させます。在宅ワークで1日中コンピューターに向かっているような、過大なストレス生活も好ましくありません。ウォーキング、ジョギングなどの運動がおすすめで

 
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馬場恒春 内科医師、医学博士、元福島医大助教授。 ザビーネ夫人がノイゲバウア馬場内科クリニックを開設 (Oststraße 51, Tel. 0152-05412673)、著者は同分院 (Prinzenallee 19) で診療。

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