Hanacell

Nr. 17 日独で違う、数の計算方法

今回は小学校の算数についてご紹介しましょう。ドイツで買い物をして、レジで店員からお釣りをもらうとき、アレ? と思う人は少なくないはず。たとえば17 ユーロの品物を買って20 ユーロ渡すと「18、19、20 ユーロ」と足し算しながら返されるからです。私は頭の中で引き算しているのに店員は足し算なので、非常に戸惑いました。数の計算方法は世界共通だと思い込んでいましたが、外国にいるとそうではないことが分かりますね。

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イラスト: © Maki Shimizu

私は娘をドイツの学校に通わせながら一緒に宿題をして、いろいろな教科書を見てきましたが、最も理解に苦しんだのが算数。実は、途中からどうしてもついていくことができなくなりました。それと言うのも、計算方法が日本とはまるで違うのです。

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たぶん、上のような図式になるのではないかと思います。しかし、ドイツの子どもが書くと次のようになります。

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計算は一の位から始まらず、1027×200 からスタートしています。表記方法も違いますね。割り算はさらに複雑そうにみえるのですが、娘に言わせると日本の計算方法のほうが面倒で、ドイツ式なら「速くて間違えない」と主張するので不思議です。

しかもドイツの算数の授業には、ちょっとしたこだわりがあるようです。それは、計算ドリルをあまり使用しないこと。計算練習をひたすら繰り返すようなことはさせず、答えに行き着くまでの思考プロセスを重視しています。たとえば同じ割り算でも等分除や包含除といった考え方の違いを理解させる。正しい答えばかりを求めずに「計算や工夫の仕方は色々あるよ」というスタンスなのです。おまけに「計算ドリルは時代遅れでしょう。日本や韓国ではまだ使用しているようですね。ドイツではもうそのような学習方法はとっていません。子どもには自分の頭で考えさせるからです」と、書店の教科書アドバイザーに言われたこともあります。

ドリルの是非はともかくとして、これはまったく私の個人的な印象なのですが、算数に関して言えば、日本の方がはるかに分かりやすい教え方をしていると思うのです。しかし興味深いのは、どうやら数の世界も言語と同じで、子どもの頃に一度学んだ数字の扱い方は、大人になっても忘れず身に付いてしまうこと。ドイツ式に慣れ親しんでいる娘を見ていると、確かに文章問題が多いので、計算に慣れる機会があまりなく、単純な計算ミスが心配になったこともありました。これでは暗算の苦手なレジの店員がいても仕方がないと思ったものでした。ただ、娘にはドイツで学んだ方法が頭にしっかりとインプットされているので、日本の方法では難しく、不慣れに感じるそうです。

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イラスト: © Maki Shimizu

ちなみに九九の覚え方もドイツ方式。ドイツにも九九(Einmaleins)があります。日本のように韻を踏む記憶しやすい覚え方ではなく、二の段だったら「2、4、6、8・・・」のように、答えの数字部分を丸暗記。日本のリズミカルな九九を教えても、娘はまったく覚えてくれませんでした。

 
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