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独断時評

伊達 信夫
伊達 信夫 経済アナリスト。大手邦銀で主に経営企画や国際金融市場分析を担当し、累計13年間ドイツに駐在。2年間ケルン大学経営学部に留学した。現在はブログ「日独経済日記」のほか、同名YouTubeチャンネルやX(旧Twitter)(@dateno)などでドイツ経済を中心とするテーマを解説している。デュッセルドルフ在住。

第2回 忙しい人のためのドイツ語 ニュースチェック方法

特にドイツ在住の日本人ビジネスパーソンの皆さんは、日々のドイツ関連ニュースの収集に意外と苦労されているのではないかと思う。今回は、数あるドイツ語ニュースサイトの中からおすすめのサイトを取り上げ、ウェブ翻訳ツールをうまく活用することで、効率よくドイツのニュースをチェックする方法をご紹介したい。

  • ドイツのニュースは国際性豊かで質が高い
  • ドイツ関連ニュースは英語や日本語での収集が困難
  • 良質のドイツ語サイトにウェブ翻訳ツールを使えば、かなりのフォローが可能

ドイツのニュースを読めば世の中が見えてくる

日本のニュースは事件、芸能、スポーツなど話題性や娯楽性を追求する傾向があるのに対し、ドイツのニュースは政治、経済、社会について深く掘り下げた上でシャープにまとめたものが多い。ドイツが欧州単一巨大市場の中枢を担っているという事情もあってか、ドイツに影響が大きい他国、特に欧州、米国、中国の重要テーマも常にしっかりカバーされている。ドイツ語さえできれば、毎日のニュースを見ているだけでドイツとこの国を取り巻く世界に対する理解が自然と深まるともいえるだろう。

しかし、残念ながらドイツ語は結構難しい。ドイツ語に限らず、高度な外国語の習得には3000時間が必要だといわれており、1日2時間みっちり勉強しても1500日、つまり4年ちょっとかかってしまう計算になる。ドイツ駐在を終えてちょうど日本に帰る頃にやっとドイツ語ができるようになるのでは、在任中の仕事に活かすのにとても間に合わない。むしろその時間はもっとほかのことに使うべきだ。

他言語でのドイツ関連ニュースでは不十分

ビジネスで使えるちょうどいいドイツ関連の日本語ニュースは、少なくとも無料ではなかなか手に入らない。ドイツに関して日本語で報じられるのは、普段ドイツに全く関心のない一般の日本人にも関わる重要なニュースだけである。

BBCやフィナンシャル・タイムズなどの英語のニュースに頼ろうとしても、そもそもドイツに関連する記事が少なすぎる上、ドイツをナナメ上からシニカルに描写しようとする英国特有のバイアスには厳重な警戒が必要だ。例えばフィナンシャル・タイムズは、統一通貨ユーロが誕生した際、ファンダメンタルズが十分に収束していない複数国での単一通貨導入は非常に危険であり、強行すればすぐに崩壊するだろう、といった否定的な報道をずっと繰り返していた。日本からユーロ導入をウォッチしていた人々をかなりミスリードしていたはずである。

従ってドイツ関連ニュースを入手するには、信頼できるドイツ語のソースを自力で開拓し、そこでのニュースをウェブ上で翻訳しながら読むしかないという結論になる。

3つのおすすめニュースサイト

日々のドイツ関連ニュースチェックに最適と思われるのは、下記三つのニュースサイトである。私が実際に毎日チェックし続けているドイツ語メディアのなかでも、ドイツに住む日本人のビジネスパーソンが見逃している可能性が高い重要なニュースを最もうまくカバーしてくれている。少なくともドイツのメディアでどんなニュースがチョイスされているか、どのように見せようとしているかが分かるので、毎回面白い発見があるのではないかと思う。ドイツ政府の新たな政策の方向性とそれに対する専門家や関連業界などの意見をうまくまとめたニュースが非常に多く、ウクライナ戦争に限らず、中東やアフリカでの紛争についても高い優先順位で報じられている。残念ながら日本がニュースで取り上げられることは少ないが、奇異な事件や大規模な災害、原発関連は大きく報じられることがある。

これらをグーグル翻訳などのウェブ翻訳ツールを駆使しながら、例えば15分や30分と時間を決めて、上から順に読み進めていってほしい。ドイツ語・英語間のウェブ翻訳の精度はかなり高いので、日本語訳が怪しいときは、英語翻訳にしてみよう。

1. Tagesschau(ターゲスシャウ)

ドイツ第1公共放送(ARD)の主力番組で、直訳すると「今日のショー」。ドイツで最も古く、最も信頼され、毎日1013万人が視聴するニュース番組(2022年)である。ドイツ人のビジネスパーソンたちも必ず見ているので、迷ったらこちらのニュースサイトをチェック。
https://www.tagesschau.de/

2. Deutschlandfunk(ドイチュラントフンク)

公共ラジオ局ドイチュラントフンクのニュースサイトは更新頻度が高く、1日約20件のニュースをまとめて一覧表示してくれるので、一括してウェブ翻訳で読める。個人的にはこちらがイチオシ。ドイツ語のリスニングの訓練にもなるので、ポッドキャストもぜひ聴いてみてほしい。
https://www.deutschlandfunk.de/nachrichten/barrierefrei

3. Google News(グーグルニュース)ドイツ版

グーグルアカウントにログインして使い続ければ、自分の関心に合わせてニュースを選んで掲載してくれるようになるのが特徴。一つのニュースに対して3~4件のニュース記事のリンクが表示されるので、読み比べする際にとても便利である。
https://news.google.com/foryou/

 
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