#12 さよならのかわりに

前回に続き、タンデム(語学交流)の話。日本語学習中のタンデムパートナーから、「さよなら」はいつ使うのか? という質問をされた。いい質問である。僕たちは普段「さよなら」をあまり使わない。その代わりに、親しい人には「またね」「じゃあね」と言うし、仕事などフォーマルな場では「お疲れさまです」や「失礼します」と言って別れることが多いかもしれない。
きっと初級日本語の教科書には「さようなら」が書かれているはずだし、僕も小学生のころは「先生さよおなら」と言っていた記憶がある。でも大人になって「さよなら」を言うとき、そこには余計なエモさが生じたり、あるいは「あなたとはもう会いません」というメッセージが含まれてしまったりしそうで、ちょっと扱いづらい言葉なのである。
彼にそのことを説明すると、ドイツ語にも似た言葉があると教えてくれた。一つ目は「Lebewohl」で、直訳すると「元気に生きてね」という意味だが、深く決定的な別れの言葉である。例えば、死にゆく人や、戦地へ旅立つ人を見送るときなど。これは日本語の「さよなら」よりもずっと重さがあるみたいだ。
もう一つ、「Auf Nimmerwiedersehen」というのがあるらしい。これは「Auf Wiedersehen」(また会いましょう)の否定型で、直訳で「二度と会うか!」という、口論の末に吐き捨てる言葉である。あるいは旅先のバーで出会った相手なんかに、冗談を込めて言うこともできるらしい。日常では無用だけれど、ここぞという時ぜひ使ってみたい言葉なのであった。



インベスト・イン・ババリア
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