#13 フェイク・モンチッチ

うちの近所には、知る人ぞ知るリサイクルショップがある。シニア世代がボランタリーで運営するこのお店は、レジで何となく値段を決めてくれるスタイルで、どれだけ買っても5ユーロを超えたことがない。すぐにサイズダウンしてしまう息子の服の大半はここで調達している。
ある日、息子を連れて冬服を探しに行くと、ぬいぐるみの入ったカゴの中に興味深いものを発見した。モンチッチである。いや、正確にはモンチッチのフェイク品。これはおそらく旧東ドイツ製だろう。サル型のおしゃぶり人形という点は一緒だが、顔は全然違うし、すごくごわごわしている。
すると、これまでぬいぐるみに全く興味を示さなかった息子が、それを手に取り興味深げに眺め始めた。うーん、これは……と躊躇する僕のところに、わらわらとおじいさんおばあさんが集まり、「モンチッチ!これはレアものだぞ!」と騒ぎ始める。いや待て、これはモンチッチではないぞ、と僕は心の中で呟いたが、結局、僕らはこいつを買って帰ることにした。お値段は1ユーロ。レアものという割には格安だった。
そして息子は今や、保育園のお昼寝のとき、このモンチッチと一緒に寝ているという。家では日本語、保育園ではドイツ語という言語環境のズレがあるなかで、かつて世界的ブームを巻き起こした「Monchhichi/モンチッチ」という名前が、双方に通じることに安心を覚えているのかもしれない。いずれにせよ、息子はこのモンチッチが好きになったのだ。そう思うと、僕にもかわいく思えてくるから不思議なのであった。



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック






