#15 完熟バナナ、譲ります

Kleinanzeigenが好きで、スキマ時間につい見てしまう。日本でいうところのジモティーに当たる、主に個人間の物品をやり取りするプラットフォームなのだけれど、家具・家電をはじめ、土地までも売られている。特に好きなカテゴリーは古い椅子で、日本では珍しいヴィンテージチェアが湧水のごとく出てくるから飽きることがない。その構造とフォルムを眺めるのが好きなのだ。しかし、この街にはよほど椅子が余っているのだろう、市内だけでも毎日相当な数の出品がある。
Kleinanzeigenでは販売だけでなく、無料での譲渡もできる。「Zu Verschenken」(あげます)で検索すると、これもなかなか面白くて、空の卵パックや、庭木の枝、大量の土なんかも出品されている。それを通して他人の暮らしぶりを垣間見たり、自分の思いもよらないところに「手放したい&欲しい」のニーズがあるもんだなぁ、と感心したりする。
あるとき、一つの出品タイトルが目に留まった。「熟れたバナナ差し上げます」と書かれている。そして、真っ黒になったバナナの写真。これは今日中に食べないと手遅れになるやつだ。説明欄には「急いでバナナブロートにでもして食べてください」と書かれている。それを読むとおなかが空いてきて、今すぐ引き取りに行こうかと一瞬考えたが、少し遠いし、やっぱりすごく要らないのでやめた。
それにしても、ネットを介して見知らぬ人にバナナを譲れるなんて、面白い時代だ。おなかを空かせたご近所さんに完熟バナナは引き取られ、おいしいバナナブロートになりましたとさ、めでたしめでたし。そんな平和なハッピーエンドを願った。



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック




