政府、SPD主導の年金受給年齢引き下げ案を承認
経済界などから批判の声
連邦政府は1月30日、年金受給年齢の63歳への引き下げを盛り込んだ年金改革案を承認した。これに対し、経済界などから批判の声が上がっている。
ドイツの年金制度では、これまで65歳とされていた受給年齢を段階的に67歳に引き上げていくことになっていたが、社会民主党(SPD)および左派党がこれに反対していた。このたび、SPD主導で導入が決まった年金受給年齢の引き下げ案は、45年間年金保険料を納めていた場合に63歳から年金を受給できるというもので、納付期間が45年に満たなかった場合も65歳から受給が可能になる。
メルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)は同案について、「高齢者や病気の人など、社会的弱者に配慮したもの」と説明している。一方、ドイツ商工会議所のヴォルザイファー所長は、「高齢の熟練労働者の労働力が必要とされており、部分年金と組み合わせた柔軟な年金制度こそが求められる」と発言。また、シュレーダー元首相(SPD)は自著の中で「年金受給年齢63歳の導入は、根本的な問題解決にはならない」と批判している。