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おすすめの本&音楽


あっぱれ技術大国ドイツ

あっぱれ技術大国ドイツ あっぱれ技術大国ドイツ
熊谷 徹(著)
新潮文庫

ISBN: 978-4-10-132233-9

ドイツは、日本と並ぶ物づくり大国として世界中で知られています。アウトバーン上を時速200キロで走っても安定している自動車、ゾーリンゲンの切れ味の良いナイフ、ドリルなどの電動工具は代表選手として有名ですね。「メイド・イン・ジャーマニー」と言えば、多くの人が憧れを抱いた時代もありました。

しかし、この国の物づくり文化には、まだまだ知られていない面がたくさんあります。たとえばドイツの中規模企業の中には、世間では無名なのに、特定の製品について世界のマーケットシェアの70%から80%を支配している会社がたくさんあることをご存知ですか? ドイツ南西部のあるミニ企業が、世界中の有名な歌劇場のオペラ・カーテンの大半を作っていることを知っていましたか? しかもこれらの中規模企業は、ドイツ経済の中で大きな役割を果たしているのです。

2011年に、日独両国は修交関係の樹立から150年を迎えます。これを記念して、ドイツに20年間住んでいるジャーナリストで、本誌に「独断時評」を連載している熊谷 徹さんが、ドイツの経済や産業についてわかりやすく解説した本を出版します。この本は『あっぱれ技術大国ドイツ』という題名で、日本では2010年12月25日に発売されます(ドイツでは2011年1月前半の配本予定です)。

ドイツには日本と同じく、凝り性の職人さん、細部にこだわる技術者がたくさんいますが、その背景はどこにあるのでしょうか? なぜドイツは物づくりに強いのでしょうか?バーデン=ヴュルテンベルク州に世界的に有名なメーカーが集中しているのはなぜ? 人件費が高いこの国で、将来も変わらず物づくりを続けていけるのでしょうか? この本は、そうした疑問に答えようとするものです。

またこの本は物づくりだけではなく、ドイツの歴史や国民性をも探求します。さらに、熊谷さんが描いた楽しいイラストもどっさり掲載されています。特にドイツにお住まいの皆様には、この国を理解する上で参考になるのではないかと思います。


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最終更新 Donnerstag, 23 Mai 2019 17:32
 

春の嵐―ゲルトルート―

春の嵐―ゲルトルート― 春の嵐 ―ゲルトルート―
ヘルマン・ヘッセ(著)、高橋 健二(翻訳)

新潮社
ISBN: 978-4102001011

『春の嵐』は、1910年、ヘルマン・ヘッセが33歳の時に著した小説。孤独の中にあって、幸福とは何か、幸福であることの真の意義とは何かを問う作品。『車輪の下』の物語にはどうも深く入り込めず、ヘッセの小説から遠ざかっていたのだが、ふいに手に入ったこの小説には、心打たれるものがあった。

主人公クーンは、青年時代に気になる女の子の気を引こうと無茶をする。そんな若気の至りの代償としては大きすぎる事故の結果、足が不自由になったクーンは、誰もが謳歌する青春の一切を諦めて音楽を志すことに。

クーンの作曲した音楽は音楽学校の教授には受け入れられなかったが、有名なオペラ歌手のムオトによって見い出される。孤独を愛するクーンと、社交会の華と輝くムオトという、一見対象的な2人の間に友情が芽生えたのは、ムオトもやはり孤独な男だったから。

作曲家として成功しはじめたクーンの前に現れた女性ゲルトルートは、彼を魅了する。だが、美しい令嬢ゲルトルートとムオト、そしてクーンの三角関係は、マンガ『タッチ』(あだち充)で描かれた、南と達也、和也の3人のように真っ直ぐに向かい合う関係にはなりえなかった。クーンは、足の不自由な自分に同情するゲルトルートの心を知り、深く傷付き、恋心に対して傍観者であることを決意する。

クーンの経験する挫折や後悔、そして嫉妬の感情は、足を失わないまでも、誰もが経験するもので、自分自身も身に覚えがある。目の大きさ、足の長さ、声質、学歴、職業、何でも自信を喪失する要素になりえるが、それが何だと言うのか。実はそんなものは自分の幸せとは別次元のものかもしれないよ。そう、クーン(ヘッセ)は言っているような気がする。クーンは、1つの不幸と引き換えに、自分に対してどこまでも正直であるという幸せの鍵を手に入れたのかもしれない。自分に正直に生きることは実際、難しい。

「人は年をとると、青春時代より満足している」と言うムオトの言葉があったが、この言葉に実感を持てる年になったら、もう一度この本を読んでみようと思う。(高)


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最終更新 Donnerstag, 23 Mai 2019 17:33
 

わたしたちを忘れないで ドイツ平和村より

わたしたちを忘れないで ドイツ平和村よりわたしたちを忘れないで ドイツ平和村より
東 ちづる(著) ブックマン社

ISBN4-89308-409-7

デュッセルドルフの日系のお店やホテルに入ると、そのかたわらにある募金箱。「FRIEDENSDORF INTERNATIONAL」のスカイブルーのロゴが目を引くこの箱の設置は、女優・東ちづるのパワフルな行動力が約10年前に勝ち得た成果の1つだ。

本書には、ルール地方の小さな街オーバーハウゼンにある『ドイツ国際平和村』で敢行された「世界ウルルン滞在記」のロケを通し、筆者自身が子どもたちとの出会いの中で感じたことや、募金箱設置の協力を得るために奔走したことなどが、情感たっぷりに口語調で綴られている。

国際平和村は、戦争や災害によって傷つきながら、母国での治療が困難な子どもたちをドイツに連れてきてヨーロッパの医療を受けるチャンスを与え、治療とリハビリの後に再び母国に帰すという医療援助を中心に活動している団体。アフガニスタンやアンゴラなど、世界各国から200人以上の子どもたちが常時、国際平和村を通して協力病院で治療を受けている。

弊誌でも、2年前に「ドイツ国際平和村とウルルン滞在記」と題して特集を組み、東さんや本書にも登場する撮影クルーの仕事ぶりを間近で見た。子どもたちの傷跡、泣き顔や笑顔に触発されて心から沸き上がる怒りや疑問、焦りといった衝動が彼女の原動力になっているようだった。ボランティアというと、とても崇高な行為と美化されがちだけど、そういうことではなく、自分の衝動に従ってできることをやってるだけなんだと、東さんのボランティア精神には徹底的に「犠牲」文字が排除されていることが本書の端々から伝わってくる。

2000年に出版された本書は国際平和村の現状と異なる部分もあるが、本質は変わらない。奪われた子どもたちの笑顔を取り戻すために必要なことは、私たち1人ひとりが子どもたちの存在を「忘れないこと」。(高)

ドイツ国際平和村「Dorffest」
9月11日(土)10:00 ~ 18:00
12:30~ 日本語によるドイツ国際平和村の活動紹介・施設案内

※参加希望の方は、下記のメールアドレスへお問い合わせ下さい。
Email: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
Friedensdorf International
Rua Hiroshima, 46147 Oberhausen
www.friedensdorf.de


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最終更新 Donnerstag, 23 Mai 2019 17:33
 

幸せいっぱい!ドイツの旅 ロマンティック街道へ。

madame FIGARO japon 幸せいっぱい!ドイツの旅 ロマンティック街道へ。幸せいっぱい!ドイツの旅 ロマンティック街道へ。
madame FIGARO japon 2009年12月5月号
阪急コミュニケーションズ

ISBN: 4910273311290

ドイツ観光の王道中の王道である「ロマンティック街道」。オレンジ色の屋根、パステルカラーの壁、石畳の道が続く街並み。古き良き中世の名残が感じられる街に一歩足を踏み入れると、その徹底した街づくりのせいか、「まるでテーマパークみたい」と、東京ディズニー・リゾートを訪れたときと似たようなわくわく感に包まれたことが強く印象に残っている。

ドイツに居を移してすぐに駆け回ったドイツ初心者旅行だったこともあり、各街の見どころに焦点を当て、いわゆる「美味しいとこ取り」をして、ローテンブルク→アウグスブルク→フュッセン、そして締めにノイシュヴァンシュタイン城を見て回った。一度行ったらもう満腹と、その旅の中で私のロマンティック街道体験は完結していた。ところがどっこい、ロマンチック街道開通60周年を記念して企画された雑誌フィガロの特集「ロマンティック街道へ。」を読んでいたら、がぜん旅心が疼いてきた。

マイン川が流れる悠久の都、ロマンティック街道の出発地ヴュルツブルクではフランケンワインを堪能したい。歴史あるワイナリーも捨てがたいが、「コンクリートの卵」と表現される革新的なコンクリート製の樽で熟成されたワインも試してみなければ。ディンケルスビュールでは、地元っ子気分で裏道を散策。アーティストやアンティーク商が多く住むというこの街では、何気ない日常のひとコマが絵になるだろう。

それぞれの街が辿ってきた歴史、自然、芸術、そして今を生きる人々の営みに目を向けさせるショップや見どころの紹介があり、心がほっこり温かくなる旅のヒントが満載。

ロマンティック街道の上辺だけをなぞる旅では物足りないという皆さん、ポイントは感じる心! 狙いは小都市! ! 自分だけのロマンティック街道体験をどうぞ。私も、妹が今年の冬にドイツに遊びに来る予定もあることだし、ロマンティック街道を再訪問してみよう。(高)


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最終更新 Donnerstag, 23 Mai 2019 17:33
 

バロックの輝き P.P.ルーベンス

バロックの輝き P.P.ルーベンス忍冬の葉蔭で
バロックの輝き P.P.ルーベンス
内藤 秀夫(著)

オンライン注文: www.naito.de / 25ユーロ

「忍冬(スイカズラ)の葉陰で」とは、ペーター・パウル・ルーベンスと、彼の最初の妻イザベラが寄り添い、手を取り合う様子を描いた絵を指す。永遠の愛、献身の愛のシンボルであるスイカズラの下、穏やかな表情を浮かべる2人。結婚式直後の絵と言われているこの作品はミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵されているという。

この絵をタイトルに冠する本書は、17世紀、バロック時代のヨーロッパを代表する画家ルーベンスを主軸に語られる物語。「忍冬の葉陰」から「愛」を、「バロックの輝き」から「平和」を願ったルーベンスが、何を見て、何を感じていたのかを垣間見ることができる。

ルーベンスと聞いて、最初に思い浮かべたのが、子どもの頃にテレビで見たアニメ『フランダースの犬』。画業に憧れていた主人公ネロが最後に一目でも、と見たがっていた絵画(アントワープ大聖堂にある「キリストの昇架」と「キリストの降架」)の作者、ということだった。また、学校の美術の時間に見たルーベンスの自画像は射抜くような視線がちょっと怖くもあり、不機嫌そうな巨匠だとも感じていた。

ところが、本書を読む限り、私の認識はかなり間違っていたようだ。ドイツで生まれ、アントワープを故郷とするルーベンスの両親の物語から、17世紀のヨーロッパの様子、ルーベンスが経験した恋愛までを詳細に追う中で、彼の寛容さとチャーミングな人柄が伝わってくる。さすがは、その時代の権力者と友好関係を築いた名外交官として名を馳せた男。

本書の中で随所に見られるのが、テンポ良く紡がれる会話。飽くなき好奇心で相手を質問攻めにしてみたり、愛する人に優しい言葉を掛けたり。現代を生きる読者に、ルーベンスの外交の妙とバロックの息吹を感じて欲しいと願う筆者は、ルーベンスのことを古くからの友人について語るかのごとく雄弁に、親愛の念を持って綴る。

これを機にヨーロッパ各地にあるルーベンスの作品をじっくり観てみたい、そう思わせる1冊だ。(高)


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