独断時評


2012年をドイツから展望する

新しい年が明けた。多くの人々が昨年を振り返って、「2012年はもっと良い年になって欲しい」と願っているに違いない。

失われた信頼の回復を

2011年は、日本が第2次世界大戦以来、最も深刻な危機を経験した年だった。巨大地震、大津波、原子炉事故という三重苦が突然日本を襲い、日独修好150周年を祝うべき年に黒い影を落とした。

被災地の復興は、まだ本格的に始まってはいない。震災から9カ月以上が経った今も、33万人を超える人々が避難生活を余儀なくされている。

福島第1原発で発生した大事故は、4基の原子炉が重大な損害を受けて大量の放射性物質が環境にばらまかれるという、世界で初の事故である。福島の原発事故は、「日本では重大な原子炉事故は起こり得ない」という「安全神話」を打ち崩した。この事故によって、政府や電力会社が高さ15メートルの津波を想定せず、非常電源が完全に失われて原子炉が空焚きになる事態を全く考えていなかったことが明らかになった。

かつてドイツを始めとして世界各国は、日本に対して「技術大国」という信頼を寄せていたが、粉々になった原子炉建屋の映像によって、この信頼感は失われた。事故から時が経つにつれて、米や野菜、牛肉や魚介類だけでなく、粉ミルクまで放射性物質で汚染されていたことが明らかになった。チェルノブイリ原発事故の経験から、放射性ヨウ素やセシウムの人体への影響が現れるのは、数年経った後であることがわかっている。2012年は、日本について失われた信頼を回復するための第一歩を記す年だが、その道程は長く険しい。

ドイツ人の連帯に感謝する

ドイツのマスコミが東日本大震災と福島原発事故について行ったセンセーショナルな報道に、衝撃を受けた日本人は多い。そこから日独の国民性の違いを改めて痛感した人も少なくない。だが、ドイツ各地の友好団体や個人が、多額の義捐金を集めて日本に送ってくれたことも、我々は忘れてはならない。多くの親日家が、被災地からの映像を見て心を痛め、日本に対する連帯感を示してくれた。我々日本人は、この「財産」を大切に守っていかなければならない。

ユーロ危機という「炉心溶融」

だがドイツ、そしてヨーロッパも現在、深刻な事態に陥っている。メルケル首相は、ユーロ圏の公的債務危機を、「第2次世界大戦以来、ヨーロッパを襲った最も深刻な事態」と呼んだ。ギリシャの債務危機が表面化してから3年目になるが、EUは緊急融資などの対症療法に追われるばかりで、債務危機の病根を切除することに成功していない。

すでにポルトガルとアイルランドがEUに支援を要請したほか、危機はスペインやイタリアにも広がる様相を見せている。私は20年前から欧州通貨同盟について取材してきたが、まさかユーロ圏がサラ金の多重債務者のような国によって崩壊の瀬戸際に追い込まれるとは、予想できなかった。

また2011年には、金融業界を仰天させる事態が起きた。EUは、ギリシャの国債に民間の投資家が投資した元本の50%について、ギリシャ政府は返済しなくて良いという決定を行なったのである。ギリシャは、借金の半分を踏み倒すことを公に認められたのだ。かつて国債は、安全な投資手段と見られていた。政府は紙幣を新しく印刷してでも、借金を返すと信じられていたからだ。

だがギリシャの借金の半分が帳消しになったことは、この常識を打ち崩した。民間の投資家たちにとっては、想定外の事態である。ギリシャの借金踏み倒しによって、今後ヨーロッパの国債を買う投資家は大幅に減るだろう。各国政府にとっては、これまで以上に借金による資金調達が難しくなる。今年ユーロ圏加盟国が返済を迫られる借金と利子は85兆円を超えるが、前途は多難である。

EU諸国は、12月の首脳会議で、ユーロ圏加盟国を中心として財政規律を強化するための条約を締結することを決めた。これはメルケル首相が求めていた「財政同盟」、そして政治統合の強化への重要な一歩である。本来は20年前に行われるべきだった政治統合の強化が、今ようやく始まろうとしているのだ。あまりにも遅いスタートではあるが、方向性は正しい。

今年は、ユーロが救済されるかどうか、一部の国がユーロ圏を脱退しなくてはならなくなるかどうかを見極める上で、重要な年になるだろう。

極右テロの徹底解明を!

昨年は、ドイツ国内でも暗いニュースが多かった。ネオナチ組織NSUが過去10年間に全国でトルコ人やギリシャ人ら10人を射殺し、爆弾テロや銀行強盗を繰り返していたことは、我々日本人にとっても衝撃的な出来事である。極右が組織的なテロを繰り返していたことに、捜査当局が全く気付かなかったというのは、大きな不祥事である。1992年に極右が外国人を多数殺傷した時に比べて、ドイツ社会の反応が鈍いのも気になる。当時は今よりも多くのドイツ人が、外国人への連帯を表明した。今回は、非常に静かだ。捜査当局は汚名を返上するために、事件を徹底的に解明して再発を防いで欲しい。

筆者より読者の皆様へ
新年明けましておめでとうございます。今年も頑張って書きますので、よろしくお願い申し上げます。

6 Januar 2012 Nr. 900

最終更新 Donnerstag, 20 April 2017 14:48
 

EU条約とメルケル首相

「中途半端な妥協はしなかった」。ブリュッセルに集まった記者団の前で語るメルケル首相の表情は、厳しかった。12月上旬に開かれたEU首脳会議で、メルケル首相とサルコジ仏大統領はユーロ救済のためEU基本条約を改正することに失敗したのである。

その理由は、英国のキャメロン首相の反対だ。このため独仏は、英国を除く26カ国が財政規律を高めるために別の条約を結ぶという、「苦肉の策」を使わざるを得なかった。

具体的には、26カ国はドイツがすでに導入している「債務ブレーキ」を国内法に導入する。ドイツ政府は国内総生産の0.35%を超える財政赤字を抱えることを、憲法で禁止されている。ほかのEU諸国の場合は、0.5%が財政赤字の限界になる。

さらに、ユーロ圏に属する国が財政赤字や公共債務に関する規則に違反した場合、原則として自動的に制裁措置を科される。これまでは、制裁を科すかどうかについて財務相の理事会が事前に協議して決定する形を取っていたため、実効性のある制裁措置が行なわれなかった。

しかしメルケル首相は、この合意結果に本心では満足していないだろう。26カ国が結ぶ条約は、EU基本条約と並行して適用される。このため、規則に違反した過重債務国は、将来もEU基本条約の中の条項を盾にとって、制裁の適用を免れようとすることが可能だからだ。

EU基本条約本体の改正に比べると、追加的な条約の締結は拘束力が弱い。

ユーロ圏に加盟していない英国の反対によって、ユーロ圏の財政規律を高めるための努力が妨害された。メルケル・サルコジ両首脳のキャメロン氏に対する怒りは、深いに違いない。(これまでもサルコジ氏は、「ユーロ圏に入っていない国は横槍を入れないで欲しい」と英国を批判したことがある)

英国は、世界で2番目に大きい金融市場シティーを持つ。キャメロン氏は欧州委員会の権力がさらに拡大して、金融業界への規制を強めたり、金融取引に新たな課税が行なわれたりすることに危惧を抱いたのである。彼はEUの中で孤立してでも、国益を守る道を選んだ。だが今回の条約拒否によって、英国のEUにおける影響力や発言権が将来低下することは間違いない。

ユーロ危機の原因の1つは、各国が通貨を統合したのに、ばらばらの財政・経済政策を取っていたことにある。ドイツやオーストリアなど欧州北部の国々が、財政赤字を抑える努力をしていたのに対し、ギリシャやポルトガルは、競争力の低さを国債による借金で補っていた。このため南欧では「公的債務バブル」が膨らみ、一時的に景気が良くなった。だが投資家が国債を買わなくなると、バブルが崩壊したのである。

その意味でブリュッセルの合意は、「財政同盟」創設への第一歩であり、方向性は正しい。だが、この再出発はあまりにも遅すぎる。

ドイツ連邦銀行は、今から約20年前にEU加盟国がマーストリヒト条約に調印し、通貨同盟の創設を決めた時に、「政治的統合を強化しなければ、通貨同盟は失敗する」と警告を発していた。20年前にやっておくべきだった「宿題」に、ユーロ圏加盟国は今ようやく手をつけ始めたのである。欧州諸国の国債を投資家が敬遠するという未曾有の事態に直面するまで、症状の悪化を放置していた欧州委員会と、各国政府の責任は重い。来年、ユーロという患者の容態は、本格的に回復するだろうか。まだ楽観は禁物である。

23. Dezember 2011 Nr. 899

最終更新 Donnerstag, 22 Dezember 2011 10:52
 

NPDは禁止できるか

ネオナチ集団「国家社会主義地下組織(NSU)」による犯罪の爪痕は、広がる一方だ。NSUは過去10年間に、トルコ人やギリシャ人10人を射殺し、2件の爆弾テロを行なったほか、14件の銀行強盗によって60万ユーロ(6300万円)を強奪したことがわかっている。

しかし12月上旬になって、新たな容疑が浮上した。ザールラント州のフェルクリンゲンという町では、2006年から今年9月までの間に、トルコ人など外国人が住むアパートなどが10回にわたり放火され、20人が負傷したが、この事件もNSUの犯行である疑いが強まっているのだ。その理由は、NSUが連続殺人を自白するために作ったDVDが、フェルクリンゲンのイスラム教施設に送られてきたからである。

これまでザールラント州の警察は、なぜか極右による外国人に対するテロという見方を排除していた。DVDが送られてきたという情報を得て、慌てて極右テロという観点から捜査を始めたというが、こうした人々を犯罪捜査のプロと呼べるだろうか?「 ドイツの捜査当局は、右の目が見えない」という言葉がある。検察庁や警察が右翼に甘いことを批判する言葉だが、NSUの連続テロに対する警察の捜査の遅れは、この批判が的を射ていることをはっきりと示した。

ハンブルクなどで起きたトルコ人商店主らの射殺事件についても、警察は「トルコ人の犯罪組織による抗争」という偏見を持って捜査していたため、ネオナチのテロであることを、10年以上にわたり見抜くことができなかった。

11月29日には、重要な展開があった。かつて極右政党であるドイツ国家民主党(NPD)のテューリンゲン州支部の副代表だったラルフ・ヴォールレーベンが、NSUの連続殺人をほう助した疑いで、連邦検察庁に逮捕されたのである。捜査当局は、この男がネオナチのテロ組織をあやつる「頭脳」の役割を果たしていた疑いを強めている。

ドイツ政府は、過去にもNPDの活動禁止を連邦憲法裁判所に申請したが、捜査当局が多数の情報提供者をNPDの上層部に持っていたことがわかったため、裁判所は2003年にこの申請を却下した。ヴォールレーベンがNSUを間接的に支援していたことが立証されれば、政府のNPD禁止申請が、裁判所によって認められる公算が高まる。

メクレンブルク=フォアポンメルン州など、NPDが州議会に議席を持つ州では、同党にも国から政党交付金を支給される。外国人の排撃を求める危険な政党に、国民の税金が支払われているというのは、実に奇妙な話だ。

気になるのは、旧東ドイツの一部の市民の間に、今なおネオナチの支援者がいることだ。NSUの犯罪が発覚した後の11月25日には、ツヴィッカウのサッカー競技場で一部のファンが試合中に人種差別的な歌を歌ったほか、選手たちが更衣室で「勝利・万歳」というナチス式の掛け声を使っていた。旧東ドイツの州政府は、「外国企業は旧東ドイツへの投資に消極的だ」と嘆くが、NSUのような組織を10年以上も見過ごし、市民の間に同調者が残っている地域に、進んで投資する外国企業は、なかなか見付からないだろう。

今回の事件は、1992年にネオナチがメルンやゾーリンゲンなどで外国人ら17人を殺害した事件以来、極右グループが外国人を標的とした犯罪としては、最も凶悪な部類に属する。多くのドイツ人の間には、「一部の少数派による犯行。自分たちには無関係」と決めつけ、問題を矮小化しようとする傾向が見られる。だがドイツ社会の底流には、外国人に対する偏見が厳然として残っている。捜査当局だけではなく、ドイツ社会全体が極右問題と真剣に取り組む必要がある。

16. Dezember 2011 Nr. 898

最終更新 Donnerstag, 20 April 2017 14:46
 

「S 21」の教訓

2年前からバーデン=ヴュルテンベルク州を揺るがしていた、シュトゥットガルト中央駅の近代化プロジェクトをめぐる論争に決着がついた。11月27日に同州で行なわれた住民投票で、投票者の58.8%が建設工事続行に賛成したのである。興味深いことに、一時激しい抗議デモが繰り広げられたシュトゥットガルト市でも、回答者の半数以上が、工事の中止に反対した。

メルケル首相をはじめ、シュトゥットガルト21(S21)計画の推進派だったキリスト教民主同盟(CDU)など保守勢力とドイツ鉄道(DB)は胸をなでおろし、批判的な立場を取っていた緑の党のクレッチュマン州首相や環境団体は落胆の意を表した。

日本人の中にはS21論争について、「駅を近代化することが、なぜ悪いのか」と首をかしげた人もいると思うが、バーデン=ヴュルテンベルク州の市民たちはドイツの報道機関の予想に反して、常識的な判断を行なった。元々シュヴァーベン地方には、勤勉で節約を重視する、保守的な人が多い。そのメンタリティーを考えれば、彼らが現実的な決定を下したことは理解できる。

S21は、いくつかの教訓を我々に与えてくれた。まずドイツでは、州議会が承認した大規模プロジェクトでも、建設費用の高騰などが明らかになった場合、市民の抗議デモなどによって工事が中断され、多額の経済損害が生じる危険があるということだ。S21は中止に追い込まれなかったものの、建設プロジェクトが大幅に遅れたことは間違いない。

今後、州政府や企業は、大規模なプロジェクトには議会だけでなく、早い時期から住民や環境団体を参加させ、場合によっては住民投票を実施することが必要になるだろう。S21の経験に基づいて、これからドイツでは隣国スイスほどではないにせよ、住民に直接決定させる「直接民主主義」が増えていくに違いない。

脱原子力を決定したドイツでは、再生可能エネルギーで作られた電力を北部から南部へ送るための高圧送電網の建設が急務となっている。また再生可能エネルギーの比率が高まるまでの過渡期のエネルギー源として、石炭や天然ガスを使う火力発電所の建設も必要だ。しかし、どちらのプロジェクトも住民の反対によって建設工事が遅れている。

S21の経験は、これらのプロジェクトについても住民への積極的な情報公開が極めて重要なこと、そして時には住民投票によって直接民意を問うことが必要なことを教えている。政府や電力会社は、受け身の態度ではなく、能動的なキャンペーンを行なわなければ、住民の理解は得られない。

S21で、環境保護主義者だけではなく、シュトゥットガルトの多くの市民を激怒させたのは、バーデン=ヴュルテンベルク州の前首相マップス氏(CDU)の傲慢な態度だった。昨年9月30日に、マップス氏はデモの参加者に対して機動隊を投入し、警官の暴力、放水や催涙ガスによって約400人の市民にけがを負わせた。言語道断である。

今年3月に行なわれたバーデン=ヴュルテンベルク州議会の選挙でCDUが初めて大敗し、政権交代が起きた背景には、福島事故によって反原発ムードが盛り上がったことだけではなく、S21をめぐるマップス氏の強引な態度に対する市民の反感もあった。民主主義社会での利害の対立を解消する手段は、あくまで対話であり、暴力であってはならない。S21は、アラブ諸国で政府に対して抗議デモを繰り返す「怒れる市民(Wutbürger)が、ドイツにも数多く存在することをはっきりと示した。

ドイツ社会の決定プロセスは、S21によって今後大きな影響を受けることになるだろう。

9. Dezember 2011 Nr. 897

最終更新 Donnerstag, 20 April 2017 14:46
 

極右テロ・警察の大失態

旧東ドイツのネオナチ・グループ「国家社会主義地下組織」(NSU)が、10年以上にわたり全国でトルコ人やギリシャ人など10人を射殺し、爆弾テロや銀行強盗を繰り返していた事件は、ドイツの捜査機関にとって戦後最大のスキャンダルだ。

特に憤慨させられるのは、警察が「トルコ人の親族間の抗争ではないか」とか、「被害者は犯罪組織の一員で、もめごとに巻き込まれたのではないか」という先入観を持っていたことだ。10件の犯罪が、同じネオナチ組織による連続射殺事件だと考えた捜査員は、1人もいなかった。マスコミも、「トルコ人の間の内輪もめ」という警察の見方を鵜呑みにして、偏見に満ちた報道を行った。

しかも今回の犯人たちは、90年代に入ってから何度も軽犯罪を繰り返しており、1998年には警察の家宅捜索を受けている。この時にイエナのアジトからパイプ爆弾やTNT火薬、宣伝ビラなどが見付かったため、警察は逮捕状を取った。しかし、3人は検挙される前に姿をくらまし、その後13年間にわたって地下活動を続けながら、犯行を繰り返していた。

テロを準備していたことを示す物品が押収されたのに、容疑者がやすやすと逃げられたというのは不可解である。もしもこの時に、捜査当局が3人を逮捕していたら、10人の犠牲者は命を落とさずに済んだかもしれない。そう考えると、警察の責任は大きい。連邦政府が、被害者の遺族に1万ユーロの賠償金の支払いを検討しているのは、当然のことだ。

さらに唖然とさせられるのは、国内のテロ組織やスパイなどを監視する諜報機関、連邦憲法擁護庁(Bundesamt für Verfassungsschutz)が、この事件についての情報を全くキャッチできなかったことだ。憲法擁護庁は、テロ組織などにスパイを送り込むことを許されている。たとえばNSUのメンバーたちが以前属していた「テューリンゲン祖国防衛隊」のティノ・ブラント代表は、憲法擁護庁から金をもらって、同庁に情報を提供していた。彼が受け取った報酬は10万ユーロ(約1000万円)に達する。憲法擁護庁は、こうした情報源を持っていたにもかかわらず、13年間に全国で行われてきた殺人、爆弾テロ、銀行強盗がNSUのメンバーによるものだということを掴むことができなかった。これでは、何のためにネオナチに多額の報酬を与えて情報源として雇っているのかわからない。しかもこの報酬は、国民の税金から支払われている。ネオナチの情報提供者は、この報酬を極右団体の活動に使うことを許されている。我々の血税がネオナチの活動を間接的に助けているというのは、正に噴飯物ではないか。

3人の男女が、本名の健康保険や免許証も使わずに13年間も地下生活を送るには、友人たちによる支援が不可欠だ。今回の事件の背景には、極右思想に対する旧東ドイツ社会の寛容さもあるように思われる。

憲法擁護庁が極右による連続テロをキャッチできなかった原因の1つは、2001年の同時多発テロ以降、同庁がイスラム系テロ組織の監視に多数の人員を割かざるを得なくなり、極右への監視が手薄になったことだ。また、憲法擁護庁は諜報機関であるために組織が縦割りになっており、各州の間で横の連絡がなかったことも災いした。NSUは、そうした組織の弱点を知っているかのように、バイエルン州からハンブルクまで、州の境を越えて広域的に犯罪を繰り返していた。連邦政府は警察と憲法擁護庁の組織を改革して事態の再発を防がなければ、犠牲者たちが浮かばれない。

2. Dezember 2011 Nr. 896

最終更新 Donnerstag, 20 April 2017 14:46
 

<< 最初 < 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 > 最後 >>
64 / 114 ページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


Nippon Express SWISS ドイツ・デュッセルドルフのオートジャパン 車のことなら任せて安心 習い事&スクールガイド

デザイン制作
ウェブ制作