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日本で話題の「自衛権」、ドイツの現状は?

この夏、日本のニュースで「安全保障関連法案」「集団的自衛権」といった言葉を聞かない日はなかった。9月19日に安全保障関連法案が成立したことで、日本の自衛隊のあり方は歴史的転換期を迎えることになる。一方、第2次世界大戦の敗戦国として立場を同じくしたドイツは、軍備に関してどのような課題と直面しているのだろうか。この機会に考えてみよう。

第2次世界大戦後のドイツの「軍隊」

1945年5月に敗戦したドイツは、米英仏ソの連合国により、東西に分割統治されることとなった。その際、もちろん日本と同様に軍隊は解体され、再軍備が禁止された。しかし、東西冷戦時代を迎えた1950年頃から、東西ドイツを占領していた国々の状況にも変化が生じる。ソ連が東ドイツの再軍備を密かに進めていたことを受け、米英仏も西ドイツの再軍備に動き出した。東西ドイツは「自衛するため」、各々に軍隊を設置。名称は、第2次世界大戦中に使用されていた「ドイツ国防軍(Wehrmacht)」ではなく、東ドイツは「国家人民軍(Nationale Volksarmee)」、西ドイツは「ドイツ連邦軍(Bundeswehr)」と命名された。1990年、東西ドイツ再統一後は、東ドイツの国家人民軍が西ドイツのドイツ連邦軍に吸収合併された。

ドイツ連邦軍成立の直接のきっかけは、朝鮮戦争にある。1950年6月に、共産主義国である北朝鮮が、西側諸国が統治する韓国を攻撃した。このことは、西ドイツ国民に大きな衝撃と不安を与えた。なぜなら、朝鮮における南北分裂の構図は、ドイツの東西のそれと近似していたからである。

当時のアデナウアー西ドイツ首相は、東からの脅威に対抗する手段として、西ドイツが国家主家と自衛権を回復することを西側諸国に求めた。もちろん、これに対してフランスは強硬に反対。しかし、増大する共産主義の脅威の前に、集団的安全保障体制構築のための北大西洋条約機構(NATO)の枠組みの中で、条件付きの再軍備を認めることがドイツを西側に引き込み、さらには押さえ込むことに繋がることを、フランスも認めざるを得なかった。

その条件とは、①兵力の上限を12個師団、50万人とすること、②核兵器、生物兵器、化学兵器の製造はしない、③3000トン以上の軍艦、誘導ミサイル、戦略爆撃機はNATO理事会の3分の2以上の賛成と、NATO最高司令官の推奨なしには製造しないことである。これらを受け入れたドイツは、NATOへの加盟が正式に認められ、1955年11月12日、ドイツ連邦軍は創設された。

Dialog im Dunkeln

ドイツ連邦軍の任務

ドイツには1956年から徴兵制度があり、男子に対してのみ1957年から実施されてきた。徴兵制度が制定された理由は、敗戦後10年という当時、必要とされた軍人数を確保できなかったことにある。また、第2次世界大戦の反省から、各地で再軍備反対の声が上がった時代背景があった。

ここで忘れてはならないのが、NATOの存在である。ドイツはNATO加盟国であるため、「Casus Foederis(Bündnisfall)」という義務がある。これは、NATOのような国際的集団に属する国に対して不当に平和を侵害する国もしくは集団がある場合、同じ集団に属するほかの国は何らかの方法で解決を図る義務、つまり「集団的自衛権」の発動義務を負うというものである。このため、連邦憲法裁判所が定めた「防衛」の範囲は、NATO加盟国域内全体に適応されるのだ。ちなみに、ドイツ連邦軍がこれまでに派兵した案件は20件、現在派兵中の案件は16件である。

ドイツの徴兵制度

ドイツには1956年から徴兵制度があり、男子に対してのみ1957年から実施されてきた。徴兵制度が制定された理由は、敗戦後10年という当時、必要とされた軍人数を確保できなかったことにある。また、第2次世界大戦の反省から、各地で再軍備反対の声が上がった時代背景があった。

その後、東西冷戦時代には、ドイツが許される制限ぎりぎりの50万人弱の兵士がいたこともあったというが、1990年以降、その規模は半分以下にまで縮小した。それは、ドイツ連邦軍の任務の大部分が東西冷戦による防衛だったため、冷戦の終結、東西ドイツ再統一という国際紛争問題の解決に伴い、国防予算の削減という新たな目的を満たすためであった。

そういった連邦軍の機構改革の一貫として、連邦政府は2011年7月1日より徴兵制度を一時停止し、志願によって軍人を確保することにした。志願兵の場合、期間は12~23カ月であり、男女を問わず志願できることが特徴である。特筆すべきは、徴兵制度が撤廃ではなく、一時停止中ということだ。将来の国家の緊迫及び国際情勢の悪化に備えて、いつでも問題なく徴兵制が復活できるようにしてあるのだ。

この徴兵制度の一時停止による志願兵制度には、大きく2点の問題点があるとされる。1つ目は、軍人の数の確保である。安全性や自分自身のキャリアにプラスになるなどの観点から、魅力的な条件が見つからなければ、たとえ一時的にでも、青年が軍人になるという職業選択をすることはたやすいことではない。連邦軍は、職場としての魅力を十分に伝えていく努力の重要性を指摘されている。

2つ目は、元の徴兵制度で、その対象者が「良心的兵役拒否(用語解説参照)」をした場合、代替労働として行っていた社会福祉施設などで、労働に従事する人数が不足することである。実際、2009年時点では、約9万人がそれらの仕事を担っていた。これについては、連邦ボランティア役務(Bundesfreiwilligendienst)という制度を新規に作ることで不足を補うこととしているが、2014年に従事した人数は約4万2000人と、まだまだ少ない。

用語解説

良心的兵役拒否
Kriegsdienstverweigerung

戦争に参加することや義務として軍人となることを望まないこと。これは基本的人権のうち、思想・良心の自由の1つとして国際連合などでも認知されているが、歴史としては新しく、1900年にノルウェーから始まった。ドイツにおいては、この良心的兵役拒否により、兵役に代わって従事する民間業務のことを「Zivildienst(ツィヴィ)」と呼んでいた。

<参考>
■ドイツの実情(ドイツ連邦共和国外務省2003年5月版)
www.bmvg.de ドイツ国防省ウェブサイト
www.einsatz.bundeswehr.de「ドイツ連邦軍の派兵案件」
www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/ データベース「世界と日本」
■ 「ドイツ徴兵制を停止」国立国会図書館調査及び立法考査局(2011.07)

今井民子(いまい・たみこ) 気が付けば在独10年以上、日独両企業に勤務した経験を活用しながら尽きることのない好奇心を持って読者の皆さんに分かりやすく面白いニュース追跡を目指しています。日本人らしさを忘れずにドイツで生きていくことが目標です。よろしくお願いいたします。

最終更新 Mittwoch, 19 April 2017 19:27
 

Dialog im Dunkeln ~暗闇の中での対話への誘い ~

皆さんは、一寸の光も届かない暗闇の空間に置かれたとき、ご自分がどのような感覚を抱くのか、お考えになったことはあるだろうか。先立つのは、恐怖や不安、孤独といった精神的な変化か、あるいは静寂や冷たさなど感覚的なものか、はたまた不自由さか、その感じ方は千差万別であろう。このような未知の「暗闇の空間」での生活を、視覚以外の感覚を駆使しながら実際に体験できる場所がある。それが、Dialog im Dunkelnだ。

Dialog im Dunkelnが生まれるまで

Dialog im Dunkeln(以下、DID)は、1988年にドイツ人哲学博士アンドレアス・ハイネッケ(1955〜)の発案により始まった、ソーシャル・エンターテイメント。一切の光を遮断した空間の中を、グループごとに目の不自由な案内人の指示に従って進んでいき、いろいろな場面を体験するというものである。

アンドレアス・ハイネッケ

このような施設を思いつくに至った背景には、ハイネッケ氏の生い立ちと経歴が関係する。13歳のとき、自分はユダヤ人だと母親から聞かされる。母親はユダヤ人で、家族や親戚たちは強制収容所のホロコーストで犠牲となった。一方、父親はドイツ人で、その家族は以前、ナチス政権を強くサポートしていた。家庭という、ごく小さな社会単位でありながらユダヤ人とナチスが共存するという複雑な環境が、ハイネッケ氏に、他人を理解し認める寛大さについて考えさせた。

ドイツのラジオ局で働くようになったハイネッケ氏は、事故で視力を失った28歳の同僚と出会った。彼が人の助けなしに、いろいろなことができると知り、物事の見方が変わったという。その後、転職した盲人協会で、彼は目の不自由な人々に仕事をする際の指導を始めた。同時に、視覚障害者用電子新聞の作成や、求人情報をコンピューター検索できるシステムの構築などを手掛けた。しかし、これらはあくまで目の不自由な人々の生活を向上させるためのサービスに過ぎない。一番大切なことは、目の見える人と見えない人とのギャップを小さくし、壁をなくすことだと気付く。こうしたことが、DIDのアイデアへと繋がっていく。

Dialog im Dunkeln

暗闇で生まれるもの、期待されるもの

ハイネッケ氏によるとDIDは、第1に視覚障害者の雇用をもたらすもの、第2に人々が心を開くきっかけを作ることを狙いとしている。心を開くには、信頼が必要。暗闇では、先入観や偏見が存在せず、皆が平等になれるという。そして、対話を通じて現実を探求して欲しいと願っている。

暗い夜が、目からその働きを奪う。

それだけ耳が鋭くなる。

視覚から取り上げたものを、

倍にして返してくれるのだわ。

これは、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』(Ein Sommernachtstraum、1590年代中頃、福田恆存訳)の一節である。シェイクスピアは、すでに気づいていたのかもしれない。完全な暗闇は視覚を排除するだけでなく、まったく新しく驚きの経験を可能にすることを。この一節をハイネッケ氏が実現させた、そんな風にも思える。

私が体験した暗闇 Dunkel Café

DIDとは少し趣が違うが、同じく暗闇を体験できるという意味でDunkel Café での二度の体験をご紹介しよう。

案内人を先頭に一列に並び、前の人の肩に手を掛けながら入っていく。まさしく漆黒の闇。慣れないものだからへっぴり腰になりながらそろそろと進むと、人の出入りを知らせるブザーが鳴る。そして、カウンターに着席。ここでは、飲み物やスナック類が注文できる。

体験前、五感から視覚を奪ったらどうなるのかと不安に感じていた通り、明るい場所へ逃げ出したい気持ちに襲われた。しかし、その気持ちを抑えて案内人と話すこと十数分、不思議と落ち着いた。これは、案内人のゲストに対する温かい心遣いによるところが大きい。

案内してくれたのは、母国の戦争で視力を失ったイラン人や、先天性白内障の手当てが遅れて失明したドイツ人。視力を失った背景や程度はそれぞれ違うが、各人が自分の状況を受け入れ、自分ができることに取り組んでいるという印象を受けた。暗闇の中で注文されたものを提供したり、会計時の手際の良さには驚かされたが、彼らにとっては日常の世界。「見えないのにいろいろなことができるなんてすごい」と思うのは、何か違う気がした。

暗闇では、いかに視覚からの情報に頼っているかが分かり、コミュニケーションの大切さを痛感。また、ここでは健常者が手助けをしてもらう側。環境が変われば、役割も変わる。良い意味で相互に依存し合う関係は、信頼なくして成り立たないものだということを、暗闇の中で感じた。

暗闇の世界を体験してみよう!

1. ダイアローグ・イン・ザ・ダーク

ハンブルク
Alter Wandrahm 4, 20457 Hamburg
予約:040-3096340
www.dialog-im-dunkeln.de

フランクフルト
Hanauer Landstr. 137-145 60314 Frankfurt am Main
予約:069-90432144
http://dialogmuseum.de/dialog-im-dunkeln

日本
東京都渋谷区神宮前2-8-2 レーサムビルB1F
問い合わせ:03-3479-9683
www.dialoginthedark.com

2.食事やカフェをしながら暗闇を体験

ベルリン
Unsicht-Bar Berlin
www.unsicht-bar-berlin.de

ハンブルク
Unsicht-Bar Hamburg
www.unsicht-bar-hamburg.de

ケルン
Unsicht-Bar Köln
www.unsicht-bar-koeln.de

ミュンヘン
zum Blinden Engel
www.zum-blinden-engel.de

ニュルンベルク
Estragon Nürnberg
www.estragon-nuernberg.de/de/events/event-nolightdinner.htm

ブレーメン
Universum Bremen
www.universum-bremen.de/cafe-im-dunkeln

用語解説

ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)
Dialog im Dunkeln

ドイツでは、ハンブルク、フランクフルトにある。日本では、1999年から10年間は短期イベントとして開催、2009年からは東京で常設化されている。日本おいては約16万人が、世界規模でみると現在32カ国130都市以上で開催され、これまで800万人以上がこの施設を体験している。ソーシャル・フランチャイズとして展開している。

<参考>
www.dialog-im-dunkeln.de “Dialog im Dunkeln”
■『夏の夜の夢』ウィリアム・シェイクスピア 福田恆存訳(新潮文庫)
■ ドイツニュースダイジェスト「私の街のレポーター・ハンブルク
『暗闇の中のダイアローグ』」(17.12.2010)
■ Andreas Heinecke(Wikipedia)、その他

筧 美恵子(かけひ・みえこ) 大学卒業後、婦人服のパタンナーとなる。その後一転し、電機メーカーにて主に輸出関連業務に10年間携わる。その頃からドイツとの馴染みが深い。2006年4月からニュルンベルク在住。幅広い視野を持って、分かりやすい記事の発信を目指す。健康のため、ジムで筋力トレーニングに日々励んでいる。

最終更新 Mittwoch, 19 April 2017 19:32
 

郵便配達や保育園 ストによって圧迫された日常

今年、ドイツ国内で長期にわたって続いたのは、鉄道や航空パイロットのストライキだけではない。日常生活に大変な影響を与えたのが、ドイチェ・ポストの配達人と幼稚園/保育園の職員によるストライキである。約1カ月もの長きにわたり、ドイツの一部地域において郵便が滞り、ドイツ全土で多くの幼稚園/保育園が閉鎖された。これらのストライキはなぜ起こったのだろうか。今一度、考えてみよう。

ドイツの被用者(労働者)の権利「ストライキ」

「パイロットのストライキ」(弊誌第1001号、2015年5月1日発行)でも述べたように、被用者はドイツ連邦共和国基本法第9条「結社の自由」第3項で労働組合によるストライキの権利が認められている(内容は労働協約に限る)。そのため、被用者はより良い労働協約を勝ち取るために、まずは労働協約について争議を行い、解決しない場合にはストライキを行うことが許されている。

ドイチェ・ポストのストライキ

ドイチェ・ポスト株式会社(Deutsche Post AG)の労働組合は、6月8日から徐々にストライキを拡大させていき、その後46日間も続いた。このストライキの最初の引き金となったのは2014年にドイチェ・ポストが子会社DHL Delivery GmbHを設立し、期限付きで2万6000人を雇用したことである。この雇用形態について、労働組合は2015年1月、「外注をしないとした協定」に反する労働協約違反だと批判した。

2015年3月からは、ドイチェ・ポストの被用者が加入する労働組合(ver.di)が主導し、労働争議が始まった。数回の警告ストライキを経て突入した6月8日からの無期限ストライキは、6月29日には3万2000人を数えるまでに規模を拡大。その後、労使双方の話し合いの結果、7月7日に史上もっとも大きな軋轢となったストライキは終結をみた。

ドイチェ・ポストの被用者がストライキで勝ち得たものとは?

解雇からの保護の4年間延長(2019年まで)
手紙や輸送に関して外注しないとする業務の保護規定を3年間延長(2018年まで)
2015年10月1日の400ユーロの一時金の支払いと、段階的な報酬の増加(2016年10月1日に2%、2017年10月1日に1.7%)
研究生と約4500人の期限付き社員の、無期限雇用への移行
子会社DHL Delivery GmbHは存続するが、約7600人の小包配達人はドイチェ・ポストでの雇用を保障される

ストライキが収束した後、数日間は各家庭のポストが一杯になるほど大量の郵便物が届いたことは記憶に新しい。追記情報として、執筆現在の資料によれば、8月から9月まで、ストライキ解除後の郵便職員の残業時間調整のために、月曜日の郵便業務を小包と新聞の配達のみに制限するようだ。

幼稚園・保育園でのストライキ

また、2015年5月8日から幼稚園・保育園の職員によるストライキが無期限で始まった。一時は夏休みまでストライキが継続する可能性も取り沙汰されたが、6月7日からは労働争議調停に入ったことで、調停で結論の出る8月13日まで、幼稚園・保育園の職員が職場に戻ることになった。

ストライキが行われた5月8日から6月7日までの4週間、幼稚園・保育園に通う子どもを持つ両親は、仕事を休んだり、普段の生活を変えるなどして調整しながら、日中を子どもたちと過ごすことになった。一部に「緊急時のために子どもを引き受ける幼稚園・保育園」は用意されたが、限られた枠をめぐって親は奮闘を余儀なくされた。専業主婦や育児休暇などの理由で親が家にいる場合には「緊急には当たらない」として、暗に応募を遠慮するよう促されることもあったという。

教会系・私立の幼稚園・保育園ではストライキに参加しないところもあったため、実際にストライキを行っていたのは総数5万3415園中、約1万7500園。影響を受けた児童数は、約300万人中、180万人ほどに上った。

執筆現在、幼稚園・保育園の職員およびソーシャルワーカーは、所属する労働組合であるver.diとdbb、雇用者側の団体であるVKAとの間の調停者から、以下の内容を提示されている。

1.対象となる業種の給与体系グループを新たに作り直し、給与を2〜4.5%程度上げること

2.この調停案が採用された場合には、2015年7月から最低でも5年間有効とすること

しかし、彼らはこの妥協案について受け入れを拒絶し、再度のストライキ実施の警告を発している。このような労働組合側のかたくなな態度もあり、まだ解決に至ってない。しかし、使用者と雇用者のほかに、社会にはもう1つの当事者である子どもたちや、助けを必要としている人々がいる。彼らのためにも、両者は早期に落としどころを見つける必要があるのではないか。


幼稚園・保育園の教員の資格

ドイツで幼稚園や保育園の教員はどのような教育を受け、どのような待遇で働いているのだろうか。

2014年3月1日付の統計局による「青少年白書」によれば、幼稚園・保育園の全職員は52万7418人である。そのうち「養育者(Erzieher)」が67%の35万4976人、「社会教育アシスタント / 子ども世話人(Sozialpädagogische Assistent / Kinderpfleger)」が11%の6万727人である。残りの22%は学士以上の学位を持つ社会教育担当、特別支援教育担当(用語解説参照)、事務職員、職業訓練中の職員などとされる。ちなみに職員のうち95%が女性であり、また40%がフルタイムで勤務している。

さて、幼稚園・保育園の職員の大部分を占める「養育者」となるには、望ましくは中等学校(Realschule)の卒業資格を持ち、州により多少の差異はあるが、その後3年(フルタイム)から6年(パートタイム)の職業教育を受けて認定されることが必要だ。そしてその給与は、例えば州認定の養育者で8年の経験がある場合、月収2946.46ユーロである。これは電子工学技術者(Elektroniker)の給与と同水準である。ちなみに、今回のストライキで労働組合は、約3400ユーロという月収を要求していた。しかし、現在調停で提案されているのは月収3060ユーロである。

次に、「社会教育アシスタント / 子ども世話人」である。彼らは、基幹学校もしくは中等学校の卒業資格を持った上で、2年もしくは3年間の職業教育を受けて州から認定される(州により多少の差異あり)。給与については、州認定の社会教育アシスタント / 子ども世話人で8年の経験がある場合、給与は2589.68ユーロである。そして、「養育者」の場合と同じように、今回の調停では2651.01ユーロが提案されている。

以上のように幼稚園・保育園の教員になるためには、少なくとも2年以上の専門教育を受ける必要がある。したがって、それなりの待遇があってしかるべきというのが彼らの主張である。

加えて、現在、ドイツでは慢性的に幼稚園・保育園の職員が不足しているといわれる。そのため、子どもたちの将来を担う幼稚園・保育園の職員になることが、若者の職業選択時の「希望」や「夢」となり得るような待遇が必要かもしれない、と、ストライキによる混乱で困惑しながらも、一方では感じている。

用語解説

特別支援教育者
Heilpädagoge/-pädagogin

上記で触れた幼稚園・保育園の職員の統計の中で2番目に多かったその他22%に、この特別支援教育担当者は含まれる。人数としては2万人弱である。彼らは、幼稚園や学校などに勤務し、知的障がい、重複障がい、学校生活に支障がある発達障がいを持つ子どもたちの支援に当たる。彼らも今回のストライキでは、この職業がもっと尊重されるべきと主張している。

<参考>
www. arbeitsagentur.de ドイツ労働局
www.destatis.de ドイツ統計局
www.verdi.de 労働組合ver.di
www.tagesschau.de "Was die Kita-Schlichter vorschlagen" 23.06.2015
www.welt.de "Post stellt montags nur noch Zeitungen und Pakete zu" 11.08.2015

今井民子(いまい・たみこ) 気が付けば在独10年以上、日独両企業に勤務した経験を活用しながら尽きることのない好奇心を持って読者の皆さんに分かりやすく面白いニュース追跡を目指しています。日本人らしさを忘れずにドイツで生きていくことが目標です。よろしくお願いいたします。

最終更新 Donnerstag, 14 Januar 2016 12:48
 

ドイツ人をも悩ますゴミの仕分けとリサイクル

環境先進国ドイツといわれるだけあって、ゴミの仕分けは細分化されており、日本の良い見本という見方もある。しかし実際に住んでみると、「資源ゴミ」を捨てる黄色コンテナや、「その他のゴミ」を入れる黒コンテナに何を捨てたら良いのか、仕分けの複雑さや細かいルールに戸惑う人も多いのではないだろうか。事実、ドイツ人の中にも混乱している人はいるようだ。今回は、ゴミの仕分けに焦点を当て、現状と問題点をまとめる。

ゴミの仕分けの目的と現状

1991年発効の法律「包装廃棄物政令」に基づき、緑の再生マークが付いた包装材は、資源ゴミとして黄色コンテナへ捨てることとなった。この法律の主な目的は、増え続ける包装ゴミの削減だが、それほど成果が上がっていないのが現状だ。

黄色コンテナ1000個当たりの包装材の回収量

黄色コンテナ

ドイツ人も悩んでいる

ドイツの公共放送ARDによる、黄色コンテナに関するアンケート“Was darf in den Gelben Sack?”(黄色コンテナに何を捨てられる?、2013年2月14日~現在も回答受付中)によると、回答者の約86%が「今のシステムは理解できない・意味がない」、13%の人が「今のシステムは素晴らしい・分かりやすい」、約1%が「意見なし」(2015年7月16日現在)と答えている。8割以上の回答者が現行システムに疑問を抱いているという残念な結果だ。特に分かりにくいとされている例をいくつか挙げてみよう。そこから、システムの矛盾も見えてくる。

どのコンテナに、どうやって捨てる?

1.魚などの骨:生ゴミ用・茶色コンテナ(Biomüll)

筆者がスーパーマーケットで入手する無料のBiomüll用の紙袋には、魚の骨や肉の骨を入れることを禁止するマークが印刷されている。しかし、ニュルンベルクの清掃局のウェブサイトには、これらは生ゴミコンテナに入れて良いとする説明があり、矛盾している。

2.歯ブラシ:その他のゴミ用・黒コンテナ(Restmüll)

リサイクリング可能なはずのプラスチック製であるにもかかわらず、包装にのみ緑の再生マークがあり、製品自体には付いていないという理由から、黄色コンテナには入れられない。しかし、周囲のドイツ人たちに質問したところ、歯ブラシは黄色コンテナに捨てているという声も。また、緑の再生マークが付いている場合、包装紙は黄色コンテナに入れることが許されているが、青色の古紙コンテナ(Altpapier)に入れた方が、紙のリサイクリングに回されるので環境に優しい選択となる。

3.食用油:その他のゴミ用・黒コンテナ

家庭の調理で出る1~2リットル以内の油は、黒コンテナに捨てられる(ミュンヘンの清掃局のウェブサイトを参照)。その場合は、回収車がゴミ袋を圧縮する際に油が飛び出したりしないよう、新聞紙などに浸み込ませてから捨てるといった対応が必要。配管を詰まらせる原因にもなるので、決してトイレや流し台などの排水口には捨てないこと。

4.青いビン:緑色グラス用コンテナ(Grüner Glascontainer)

透明や茶色のグラス用コンテナに入れるよりは、リサイクリングの処理工程における支障が少ないという理由から、透明・茶色以外のすべての色のビンは、緑グラス用コンテナに捨てる。ただし、ガラス製の食器は、その品質によっては処理に支障を来す場合(高級ガラスが鉛を含むなど)があるので、黒コンテナへ。

5.容器洗浄の有無

Pfand(デポジット)付きのグラスに入った食品:Pfandグラス用の返却機やレジにて返却。容器は工場で洗浄され、そのまま再利用するため、家庭では簡単にすすぎ、ふたをして返却。ふたがないとビンの口が欠け、リサイクリング不能となる。

プラスチック容器に入った食品:黄色コンテナに入れる。容器はそのまま利用するわけではないため、食べ切っていれば洗浄しなくて良い(水の節約のため)。容器同士を重ねて捨てないこと。

※1~5は、筆者が在住するニュルンベルクの場合。都市によって分別方法が異 なることがあります。

リサイクルシステムの改善案

ベルリンでは、2013年から「オレンジコンテナ(Wertstofftonne:資源ゴミ用コンテナ)」を試験的に導入している。これは、緑の再生マーク専用の黄色コンテナに代わり、緑のマークを含むリサイクリング可能なすべての製品(プラスチック、金属など)を捨てられるコンテナである。大連立政権は今後、本格的にオレンジコンテナをドイツ全土に普及していくこと決め、リサイクリングの効率化とゴミの仕分けの明確化を進める考えだ。


包装や製品にある様々なマークやコード

包装や製品を手に取って見ると、1つのマークだけではなく、様々なマークやコードと一緒に印刷されているのが分かる。よく目にするものを中心に紹介しよう。

Recyclingsymbol Recyclingsymbol (インターナショナル)
リサイクル可能製品。
Recyclingsymbol mit Prozentangabe Recyclingsymbol mit Prozentangabe (インターナショナル)
表示数字の%はリサイクルされた割合。この画像では75%。
Grüner PunktGrüner Punkt (インターナショナル)
お馴染みの緑のマーク。購入時に、包装をリサイクル処理する会社DSDに費用を支払っている。
Recycling-Code Recycling-Code (欧州)
中心の番号が原料を表す(三角形の下は略称)
01: ペットボトル(PET/PEPE) 05: ポリプロピレン(PP)
07: その他(O)
81: 紙とプラスチック(C/PAP), 独スターバックスの紙コップはこれ
durchkreuzte Mülltonnedurchkreuzte Mülltonne (欧州)
電気製品を家庭ゴミコンテナに捨てるのは禁止。
MehrwegpfandsymbolMehrwegpfandsymbol(ドイツ)
洗浄してそのまま再利用するビン。
EinwegpfandsymbolEinwegpfandsymbol(ドイツ)
使い捨てのビン、潰すなどしてからほかのものへリサイクルする。
TidymanTidyman(インターナショナル)
ゴミは最適な方法で捨てること。

※ 上記のマークやコードは使用国が異なります。( )内を参照下さい。

用語解説

デポジット(預かり金)
Pfand

缶やビンなどに保証金を上乗せして販売し、それらの回収時に保証金を返金する制度のこと。主に再利用のグラスやプラスチックボトル、使い捨てペットボトルに適応。ほかにも、お祭りの屋台で提供される食器類にも掛けられていることがある。資源のリサイクルや、ゴミの散乱などの公害から環境を守るための方法の1つである。

<参考>
www.welt.de “Was Sie über die M g wissen müssen“(08.05.2015)
www.welt.de “Das große Müll-Missverständnis soll ein Ende haben“(13.06.2015)
https://daserste.ndr.de “Merkwürdige Mülltrennung: Was darf in den Gelben Sack?“(14.02.2013)
www.umweltbundesamt.de “Verpackung überall“(22.06.2015)
■ ドイツニュースダイジェスト「緑の再生マーク誕生から20年」(第848号、2010年12月24日発行)
■ ミュンヘンの清掃局: www.awm-muenchen.de

筧 美恵子(かけい・みえこ) 大学卒業後、婦人服のパタンナーとなる。その後一転し、電機メーカーにて主に輸出関連業務に10年間携わる。その頃からドイツとの馴染みが深い。2006年4月からニュルンベルク在住。幅広い視野を持って、分かりやすい記事の発信を目指す。健康のため、ジムで筋力トレーニングに日々励んでいる。

最終更新 Dienstag, 04 Juni 2019 16:06
 

4月に値下げされた公共放送受信料とは何ものか

「2015年4月1日、ドイツのいわゆる「公共放送受信料」が月当たり48セント減額された。電車の運賃が毎年のように値上げされ、昨年まで1ユーロで購入できていたはずのブレッツェルもそれでは買えなくなっているなど、見渡す限りどんどん物価が上昇している。そんな中、なぜ「公共放送受信料」は値下げされたのだろうか。その理由を探りつつ、「公共放送受信料」という制度の歴史と、今回の変更の背景について考えてみたい。

ドイツにおける受信料の成り立ち

日本には、NHKが徴収する「放送受信料」という、放送受信設備を持つ人が支払う費用があるが、同じようなものがドイツにも存在する。その歴史は1923年、ラジオに関する「放送受信機の設置および使用のための許可料(受信料)」の導入から始まったといわれる。その後、第2次世界大戦時のナチスによるマスメディアの濫用への反省から、公共放送はそれまでの国による管轄から州へと権限が移行した。

1950年にドイツ公共放送連盟(ARD)が結成され、放送受信機を持つ人々から「受信料」の徴収も引き続き行われた。「受信料」の徴収業務は、76年まで連邦郵便(Bundespost)が行っていた。その後、徴収業務の効率化を図るため、ARDに加盟する州放送協会が「受信料徴収センター(GEZ)」を設立し、徴収業務を引き継いだ。この当時の「受信料」は、制度の導入当初から続く「放送受信機の設置および使用のための許可料」という性格が色濃く残っていた。

その後、インターネットが普及し、PCや携帯端末でも放送を受信できるようになると、「放送受信機」の定義付けが難しくなってきた。そこでGEZは、従来の受信機(テレビやラジオ)のほかに、「受信機能を有する新装置(Neuartige Rundfunkempfangsgeräte)」というカテゴリを設けることで解決を図った。しかし、個人が受信機や受信装置を2つ以上持つなど、旧制度が現状と合わないことが明白になったため、2013年1月1日、それまでの「公共放送受信料(Rundfunkgebühr)」を「放送負担金(Rundfunkbeitrag)」として、問題の解決と料金の明確化および単純化を図った(詳細はニュースを追跡「ドイツにもある!公共放送受信料」27 April 2012 Nr. 916も参照)。

放送負担金制度が開始される以前、公共放送受信料は17.98ユーロであったが、新制度の放送負担金もその金額を踏襲した。しかし一方で2013年当時、徴収できる放送負担金の国全体の総額が不確定であったため、現状に合わせた金額と支払条件の調整を2015年に行うことを同時に取り決めた。

新しい制度の下、2013年の総徴収額が前年比2.5%増となったことが明らかになったため、2015年からの放送負担金の徴収額を減額して、総額を調整することが決定された。このような経緯から、「公共放送受信料」と呼ばれる放送負担金が月当たり48セント減額となったのである。

放送負担金の意味合い

「放送受信機の設置および使用のための許可料」であった公共放送受信料が、「放送負担金」と変更されたことで大きく変わったのが、その意味合いである。

この変更の骨格をなすのが、ハイデルベルク大学教授のパウル・キルヒホフ氏が2010年5月に提唱した「キルヒホフ鑑定書」である。その鑑定書によれば、費用の徴収の根拠を受信機所有とせず、公共放送によるサービスを享受する権利とすること、そして個人単位ではなく世帯単位で費用を徴収することが提唱された。これを踏まえて「放送負担金」制度が成立したのである。

国民の理解度と受け入れ状況

2013年に制度が変更された際、多くの人にとっては「受信料」の金額が変わらなかったため、新しい放送負担金制度は抵抗なく受け入れられたとされている。しかし一方で、受信料を免除もしくは減額されていた人で、制度変更後には支払うことになった放送受信機を持たない人や障がい者、負担が増えた企業などからは、「放送負担金制度は違憲である」として、訴訟が起きている。

執筆現在、どの裁判所からも「違憲判決」は出ていないものの、法律専門家の間では、徴収の公平性や、州と連邦政府の権限に関わる問題など様々な論点の議論が続いている。

公共放送のプログラムと目的

プログラム

プログラム

目的

杉内有介「世界の公共放送の制度と財源」報告(ドイツ)より

1. 個人および公共の自由な意見形成過程の媒体かつ要因として機能すること
2. 欧州・国内・地方の重要なできごとについての包括的な概観を提供すること
3. 国際的な相互理解,欧州統合,連邦と州の社会的な連携を促進すること
4. 情報,教養,生活情報,娯楽に役立ち,特に文化に寄与する番組を提供すること


私たちの生活と放送負担金

放送負担金の支払いについて

日本のNHKへの「放送受信料」について、「テレビを持っていないから」「皆が支払っていないから(公平ではないから)」支払わないという主張がある。ドイツでこのような論理が通用するかというと、非常に難しい。

放送負担金制度導入にあたって、GEZを前身とするARD、ZDFドイチュラントラジオ負担金サービス(以下、負担金サービス)は、住民登録局から全ての住民の情報を入手して、GEZの登録データと照合。そして2015年末までに負担金サービスに「未登録」であった全世帯に2013年以降の未払い分についての請求を行っている。この際、放送負担金の支払いが免除・減額されるのは、個人の場合は、公的扶助などの受給者や重度障がい者、その他の特例のみで、いずれも公的文書による証明が必要だ。

正当な理由なく放送負担金が未払い状態であると州放送協会が認定した場合、その人は「負担金債務者」となる。その場合、州ごとの規定により異なるが、負担金のほかに延滞付加金、負担金徴収のために必要となる第三者から請求された費用、強制執行の費用、行政文書のコピーの作成と送付費用など、追加で支払い義務が生じてしまう。

放送負担金の支払いを停止するための方法

負担金サービスからの請求により放送負担金の支払いを開始した人が、帰国や転居など、ドイツ国外への転出、または結婚や同居の開始による世帯の合算を理由に、放送負担金支払を停止したい場合がある。その際は負担金サービスのウェブサイト(下記参照)にある解約届(Abmeldung der Wohnung/en)を出さなくてはならない。

なお、放送負担金の支払いを止めるために認められる理由は、ほかの負担金支払者の元に転居する場合(もう一方の負担金支払者の番号が必要)、長期間外国に転居する場合(住民登録局による証明書が必要)、支払いを行っていた人が死亡した場合(届出人は本人ではない)、複数の住宅を持ち、そのうち1つを手放す場合、老人ホームもしくは福祉住宅に転居する場合(フォーマットが異なる)、その他の場合である。記入した届出書は、郵送かFAXで負担金サービスに送る。その後、負担金サービスから解約を認めるという主旨の文書が届く。解約を確定する文書が届くまでは、解約が成立したとみなされないので注意をしてほしい。

用語解説

料金
Gebühr / Beitrag

Gebührとは直訳すると料金、手数料という意味であり、特に役所などの業務に関する世界では「実際に利用したサービスへの対価」との意味合いを持つ。一方Beitragについては、料金という意味ではGebührと同様だが、実際利用したかどうかとは関係無く支払う費用、つまり負担金という意味合いを持っている。Beitragと呼ばれるものの代表格は保険料などである。

<参考>
www.nhk.or.jp「NHK受信料について」
■ 「始まったドイツの新受信料制度―全世帯徴収の「放送負担金」導入までの経緯と論点―」『放送研究と調査』(2013年3月)杉内有介著
■ 『ドイツの新しい放送負担金制度 : インターネット時代の受信料制度』(2014年12月)齋藤純子著
■ 「世界の公共放送の制度と財源」報告(ドイツ)『NHK放送文化研究所年報2012』杉内有介著
www.ard.de/download/74354/index.pdf 「キルヒホフ鑑定書」
www.rundfunkbeitrag.de
www.welt.de Die Welt “Das ändert sich zum 1. April für die Deutschen”

今井民子(いまい・たみこ) 気が付けば在独10年以上、日独両企業に勤務した経験を活用しながら尽きることのない好奇心を持って読者の皆さんに分かりやすく面白いニュース追跡を目指しています。日本人らしさを忘れずにドイツで生きていくことが目標です。よろしくお願いいたします。

最終更新 Donnerstag, 14 Januar 2016 12:49
 

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